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写真家、田舎に住む  Vol.1 田舎に暮らし始めました

憧れ?の田舎暮らし

1年前の2019年4月。私は福島県の会津美里町に古民家を購入し家族4人で暮らし始めました。「いつかは仕事を辞めて田舎に移住して、のんびりと暮らしたい…」と、会社員時代から、いや、社会人になる前の東京で大学生をしていたころからいずれは田舎で暮らそうとうっすらと、でも確実に思っていました。

「いつかは田舎暮らし…」と思っている人は結構多くいるのではないかと思います。

でも現実的には、だいたい50代くらいまではどうしたってまとまった「お金」を稼がなければならない。そして、自分がやりたい仕事が地方でできるかという問題も大きいですね。自分のやりたい仕事でかつ稼げる仕事が田舎になればなるほど極めて少ないし、だからこそ田舎から都市に人口が流出し続けているわけで。現金を稼ぐ仕事をすっぱり諦めるとすると「ほぼ完全自給自足」に移行しないといけないから、ハードルは結構高い。私も現在43歳。小学校と年長の2人の子持ち。自給自足を目指すわけでもないし、そうでなくてもお金は絶対必要。

会社を辞めて田舎に暮らしたい、という希望はまず何よりも家族の理解あるいは共通願望が必要なのはもちろんです。幸い妻は田舎に暮らすことが嫌ではないというよりむしろ賛成でした。しかし、収入のことは私以上に現実的な考えでしたので、会社を辞めることはかなり慎重(女性はやっぱり男より現実を見ていると、思います)。それでも何年も言い続けていたことも効果があったのか、辞めることも受け入れてくれて、みんな納得での生活が始まりました。

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ーーこれが我が家。築100年以上ーー

なぜ東北、会津

東北は私の故郷ではありません。故郷は別にあり、そこも十分田舎です。きっかけは2005年から3年間の仙台暮らし。新聞社に勤めていた11年間で仙台の支局に転勤になりました。東北地方に放り出され、ひとりで担当する管轄は東北6県の全土!今までの人生で住んだことはもちろんなく、旅行ですら1回くらいしか足を踏み入れていない東北。職業柄、その地のことを深く知ることが多いので、3年間の中で私は東北の風景や人柄、特に「みちのく」と呼ぶにふさわしい伝統も含めた風土やその気配(これは言葉などでは言い表せませんが)がとても好きになりました。「いつか会社を辞めたら、住むなら東北のどこかだ」と、この頃に確信しました。その中でも特に好きな地方のひとつに「会津」がありました。

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ーー米どころ会津。うちの集落周辺も一面の田んぼ。JR只見線が走っていますーー

私の職業は写真家

40代の家族持ちはお金が必要です。必要でない生き方もできますが、それは目指していません。私は会社を2014年で辞めました。そして独立した「写真家」になります。職業的な呼称で言えば「カメラマン」でしょうか。わかりやすくいうと、写真(群)を作品として発表する活動(この一面を「写真家」と今後称します)と、お金を稼ぐ撮影などの仕事をする活動(これを「カメラマン」と称します)をやっています。会社を辞めた時は「写真家でもカメラマンでも、東京とか都市にいる必要は全くないよね」と思っていました。東京にいなくても作家活動はできるし、私の興味が惹かれる撮影対象は都市より地方。そして、写真の仕事だって地方にもあるでしょ、地方にいることでその地方の撮影の依頼がきやすいこともあるでしょ、と。だから、その点での躊躇はゼロでした。しかしながら、両者ともそれはかなりの間違った認識でした。それでも、独立してから6年間生ているし、なんとなく続いています。会社にいた頃の悩みとは全く別の悩みが次々と生まれていますが、それでも続けては来られています。

仕事でない仕事が山のように!

この1年、収入のための仕事をしている時間より家の仕事をしている時間の方が圧倒的に多いです。その次が作品作りや写真展などの発表のこと。そう考えるとほとんど仕事をしていないことになりますが…。まずは家の改修を延々と続けています(DIYというやつですね)。何しろ築100年の家。ここに引っ越す前に居住空間だけは整備しないといけないので、リビングと土間は業者にお願いして改修してもらいましたが、家の改修ってかなり費用がかかります。ので、あとは自力!そして草刈りやら冬のための薪の調達(うちには薪ストーブがあります)等々。1銭の収入にならない仕事が山ほどあります。

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ーーひたすら、大工。ーー

現代社会のシステムの限界を思う

突如出てきた新しいウィルスの蔓延。ものすごく今社会に影響しています。私の「田舎暮らし」とは関係ないようで、しかし思うところが多くあります。今の生活の中で「密」になる場面はほぼありません。ステイホームしていても、大きな庭があるし、家の外を出歩いても人に会うこともあまりなし。生活においてステイホームでのストレスはゼロです。東京に住んでいた頃を思い返せば、都会の人たちは今家に居続けることがどんなにストレスか想像がつきます。東京に住んでいた時、社会構造が限界だと感じてきました(非常に曖昧な言い方ですが)。都会での働き方や生き方は、もうできないな〜と思ったのです。9年前の東日本大震災の時も、色々と強く思うところがありました。それを改めてこの時期に思うのです。

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ーー学校休業の長女と通園自粛の次女、近所を自転車と一輪車ーー

写真家が田舎で暮らす日々を綴っていきます

ざっと書いてきましたが、田舎生活の日々、その中で思うこと、写真家活動と仕事のこと、などそれぞれ詳しいことはそれぞれ綴っていきたいと思います。

また、これから(仕事も辞めて?)田舎暮らしに一歩踏み出したい!と思っていらっしゃる方の参考になるような情報も書いていきたいと思います。(子どもの頃からずっと田舎に住んでいる方々には、さっぱり魅力がわからないかもしれません、福島の友達とか…)。

楽しい読み物のつもりで書き綴ります。あくまで不定期に。ステイホームの中、色々なものに飽きてしまったら読んでみてください。

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