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わたしはこの曲を、作曲家を、もっとたくさんの人に知ってもらいたい ための日 #20

今日にぴったりな、今日のための音楽を紹介

ハンス・ロット(1858–1884) /  交響曲第1番 ホ長調 

なかなか真っさらに晴れた空を見上げることができない日々のなかで、とくに今日は大きく激しい雨の音にわたしは目覚めた。もうものすごく叩きつけるような音と時々光る灰色の空。これは、朝のはじまり?とすこし疑ってしまうくらいだった(雷ってわたしの中で夕立とともにやってくるのがベストタイミングなイメージなの)けれどそれは一瞬の出来事で一気に青空が顔をだした。今年の夏は、どんな夏だろう。夏は本当に、毎年すべてがあたらしい。


わたしはこの曲を、作曲家を、もっとたくさんの人に知って欲しいのです

わたしがこの曲と出会ったのは本当に偶然のことで、出会えたことはとても幸運だった(!)ハンス・ロット。彼はアントン・ブルックナーの愛弟子であり、グスタフ・マーラーの学友であったオーストリア出身ロマン派時代の作曲家だ。
この素晴らしい音楽家たちに囲まれ認められていたにも関わらず、彼はあまり知られていない。25歳という若さで精神障害を患い、亡くなってしまったからだ。
その彼の数少ない作品の中でも、才能や感性、そして精神状況までがすべて感じられる、彼を知るための素晴らしい楽曲がこの交響曲である。
4楽章からなるこの作品は、師匠であるブルックナーや友人であったマーラー、そしてこの時代に高い名声のあったブラームスなどの作品に似ているフレーズがいくつも登場する。しかしそれらよりも何かが不自然であり新鮮であり、次は何がくる?と思わず聞き入ってしまうような突発的な部分が多くある。これはまるで彼の生涯を表しているようである。とりわけマーラーは彼の音楽を高く評価していて、死後も楽譜を所持して研究していたそうだ。
いろいろな作品を混ぜたびっくり箱のような作品である。それに効果的に作用しているのが、狂ったように(この表現はきけば、うんうん、となる)鳴り響くトライアングルだ。

日本での初演は、2004年らしい。これだけでも親しみのある同時期の作曲家たちとの差を感じてしまう。もちろん作品のクオリティはとても素晴らしい。


ハンス・ロットが精神疾患に陥ってしまった原因のひとつはブラームスにあるらしい。尊敬していたブラームスに完成したばかりのこの曲を見せたところ、厳しく批判されてしまったそうだ。そして完成の4年後に彼は亡くなっている。

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