印象派といえばドビュッシー、彼の音楽を聴いてみよう のための日#34
今日にぴったりな、今日の音楽を紹介
クロード・ドビュッシー(1862-1918)/ ピアノと管弦楽のための幻想曲
あたらしい環境にいってみると、たくさんの過去の記憶がまったく別のものに見えてくる。すべて知っていたと思っていた街たちはまるで違う存在になる。そんな経験をしたことがある?
ということで今日は、ローマに留学していた頃のドビュッシー が描いた作品をきいてみようと思う。
印象派といえばドビュッシー 、彼の音楽を聴いてみよう
フランス作曲家にとって、登竜門のようなコンクールで「ローマ賞」というものがある。当時これに受賞すると、ローマに奨学生として留学する権利を与えられいた。印象派を代表するドビュッシー も、その機会を得たひとりであったが、彼はこのローマ留学にあまりいい思い出がないらしい。
この頃、ドビュッシー は慣れない地で過ごすことに相当なストレスを抱えていた。実際に彼は、ローマ留学を途中で切り上げてパリに帰っている。いまでは彼の大作のひとつとして知られている交響組曲「春」も、実際にローマで披露するはずだった演奏会までに楽譜が仕上がらず、「印刷所が火事になってしまった」とウソをついたそう。(それほどまでに)
そんなローマ時代に描かれた作品にあたるのが、「ピアノと管弦楽のための幻想曲」である。何度か試行錯誤を重ねた上でやっと世に出されている。
ドビュッシー たちの印象派時代の音楽が流行る前、ひとつの曲の中での調性の変わり目は、せいぜい楽章の切れ目かソナタ形式の展開部など、そして変わる調は関係調(主で使われている調性に性格の似ている近い調のこと)ばかりであった、しかしこの頃から、ニュアンスのぼやけたものがパリの芸術家たちの間で人気になった(絵画でもちょうど、モネやマネ、ルノアールの時代)
そういった変化をドビュッシー の作品では多く感じることができる。
「ピアノと管楽器のための幻想曲」でも、その様子を伺えるフレーズが多く出てくる。特に2楽章では調性の変化が大きく、タイトル通りの「幻想」を楽しむことができる。また、全体を通してめまぐるしい変化が多いので飽きることなく最後まで聴き通すことができる作品だと思う。全24分
終わりの方が、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番に似ているなあといつも思う
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