【ベンチャーマネージャー向け】拡大する組織で果たすべき「責務」を決める、プロジェクト・煉獄杏寿郎について
こんにちは!経営管理SaaSのログラスでカスタマーサクセス責任者をしている浅見と申します。
2023年が始まりましたね!本年もよろしくお願いいたします。
今日は新年気持ちよくスタートしていくために、12月に実施した取り組みについてお話をしていきます。
今回の取り組みはログラスに限らずスタートアップや新規事業を推進する組織に共通して起こりやすい課題だと思っておりますので、少しでも参考になればと思い、プロジェクトの進め方まで詳しくお話していきます。
以下の方に特に読んでいただければ嬉しいです!
・ベンチャー/スタートアップ等、短期で急拡大する組織のマネージャー
・新規部門の立ち上げに関わっている方
・事業組織支援に関わるHRBPの方
背景
ログラスは2019年に創業し、現在4期目に入っているスタートアップです。
お陰様で事業も組織も日々成長することができていますが、この1年の変化は特に大きく、組織規模は3-4倍にまで大きくなってきました。
私が入社した2021年12月においてはビジネスサイドは片手で数えるほどしかいない状況でしたが、今では各チームが組成され、専任のマネージャーがつくまでになりました。
そんな中で、組織拡大に伴う成長痛を感じる場面もあり(後述します)、2023年により飛躍をしていくための時間をしっかり取っていこう!という気持ちからビジネスサイドでオフサイトMTGを実施することになりました。その中の主要コンテンツが、プロジェクト・煉獄杏寿郎になります。
プロジェクト概要
このプロジェクトはなにか
2023年も成長をし続けるために、各チームの責務を定め、何を全うするのか?を決めていくためのワークショップを行うものです。
責務とはなにか
日本語的な意味は責任や義務を示すものになりますが、本プロジェクトにおいては下記の様な定義をしました。
各チームが事業の中で担う役割をよりわかりやすく示し、やること/やらないこと(≒他チームに任せること)の判断の拠り所となるもの
🙅♂️会社ミッションである「良い景気を作ろう。」に寄与する、は抽象度高すぎる
🙅♀️アポ数を増やす、売上を上げる、などは出すべき具体的な成果であり責務ではない
責務は事業のフェーズに応じて変化する
ミッションは存在理由であり長期目線で設定するもの
ビジョンは中期的(5~10年先)に担っていくもの
責務は、現在の事業フェーズや戦略を踏まえた今から1年間担うべきものを示す
なぜ責務が必要なのか?
ログラスはこの1年、会社としても事業としても非常に大きく成長をさせていただきました。(本当にありがとうございます!)
一方でその急拡大に伴って、「成長痛」とも言えるような問題も少しずつ発生してきました。これらの問題が現状では大きなエラーには繋がってはいないのですが、この問題にしっかりと向き合い、課題を紐解きながらあるべき姿に近づいていきたいと考えました。
今回はこの1年の活動をしっかりと振り返りながら、自チームの内省に留めず、他部署からの意見やフィードバックを交換していきながら責務を定めていくことで、「お互いが背中を預け合いながら、やるべきことに集中している状態をつくりたい」、という想いを胸にこのプロジェクトの立ち上げに至りました。
プロジェクトのゴール
1日のワークショップを通して、下記をゴールとして設定しました。
ゴールを設定する時には、アウトプット(何を決めるか)だけではなく、アウトカム(どういう状態になっているか)までこだわるように意識しました。
各チームからのフィードバックを踏まえた”やること/やらないこと(≒他チームに任せること)の判断の拠り所”となる責務が言語化できている
事業の成長に貢献する、という観点からもチームに閉じたものでなく、チームを交えて言語化していくことに意味がある
次の日から、チーム内、チーム外から責務をベースとしたフィードバックが発信されるようになっている
なお、責務のアウトプットイメージとして参考にしたのは、メルカリさんのチームミッションでした。ミッションと表現されていますが、具体的に担うべき責任や起こすべき行動が言語化されており、私たちが定めたい責務と非常に近いものだと思いました。
(これらの策定プロセスや内容について各チームごとにしっかりと記事にされているのは流石すぎると思いました・・・!)
名称の由来について
煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)さんは、漫画「鬼滅の刃」の登場人物です。非常に人気のキャラクターであり、めちゃくちゃな強敵に主人公たち含めて追い込まれている中、「俺は俺の責務を全うする!! ここにいる者は誰も死なせない!!」という名言を残した偉大な方です。
私たちが今回全員で議論して決めたいと思ったものが責務であり、責務と言えば煉獄さん!ということでこのプロジェクト名になりました(笑)
ややネタな感じはありつつも、参加者にとってキャッチーである、思い出しやすいものとしてプロジェクト名を工夫することは地味に大事だとは思います!
プロジェクトの進め方
大きくは3つのパートで構成しています。(各パートの詳しい進め方は後述)
意見の発散や整理はKPTのフレームワークを使用し、相互に意見交換しながら責務を固めていくような進め方をしました。
個人ワーク(発散)
まずは個人で責務を考える(ベースとなる考えを言語化する)
その責務をベースに、Keep(よかった点)、Problem(問題点)のファクトをあげていく
チームばらばらワーク(発散)
個人で考えた自チームの責務を発表
他チームから、自チームに対するフィードバック(ファクトベースで)を受けていく
チームごとで考えるワーク(議論・収束)
自分の振り返り、他チームからのフィードバックを持ち寄り、チーム内で共有
上記をもとにした、Try(今後のあるべき行動)を考えていく
それらを抽象化させて、責務として固めていく
KPTについて知らない方は、BOXILさんの記事がわかりやすくまとめていらっしゃいましたのでご覧ください!
それでは、以下各パートの説明をしていきます。
Step1:個人ワーク(発散)
このパートのゴール
各パートではゴールを設定し、それらをクリアしてもらうことを参加者には意識してもらいました。最初の個人ワークでは下記を設定しました。
自分の言葉で責務を言語化できている
ファクトベースで自チームの良かった点、問題点が洗い出せている
自分としての考えをまとめ、次のパートで他チームに発表できる
進め方と進行上のポイント
参加者にワークシートを配り、自分の考えをまとめてもらう時間をつくりました。
ワークシートには自身が考える所属チームの責務と、その責務に紐づくKPT(ここではKeepとProblemの抽出のみ)を記入してもらっています。
一部だけ内容をお見せしますが、しっかり時間をとって書き出してみることで色んな視点での振り返りがでてきます。
とくに理由まで掘り下げて書いていただくことはとてもおすすめで、このあとの意見交換パートでもより深い議論ができるようになります。
Step2:チームばらばらワーク(発散)
このパートのゴール
各チームからのフィードバックを受けて、次のパートでディスカッションをするための新たな視点を得ることができている
進め方と進行上のポイント
個人ワークでまとめてもらったものをベースに意見交換を進めていきます。
下記のような手順でチーム内で時間を使ってもらいました。
個人ワークでまとめた内容をグループ内で発表してください(5min)
他チームの方は聞きながら、フィードバックをポストイットに書いてまとめてください
ポストイットに書いた内容を詳しく説明しながら、そのままお渡ししてください(5min)
終了したら、次の方(チーム)に移っていきます
ここは私自身もチームに入らせてもらって参加しましたが、想像以上に様々なフィードバックをいただきました。とても盛り上がった。
例えば私はカスタマーサクセスチームにおりますが、
(インサイドセールスチームから)もっとヒアリングの質を高めていきたいので、Loglassの機能ではなくお客様のペインを理解できるような情報を共有してほしい
(フィールドセールスチームから)お客様に安心して選んでいただき、ご注文~導入の体験をよりよくしていくためにも、一定のフェーズが進んだ商談にも同席してほしい
など、自チームからじゃでてこない様な期待の声もいただくことができました。
もちろんすべての期待に応えることは難しいことではありつつ、それらの意見を踏まえていきながら責務を定めていくことが、背中の預け合いという観点においてはとても重要だったと思います。
なお、便宜上この記事ではフィードバックと表現しておりますが、ログラスではこの行動をFeed forwardとしてValueに設定しており、非常に体制にしております。
(以下、セールス髙橋さんの解説記事)
Step3:チームごとで考えるワーク(議論・収束)
このパートのゴール
いよいよラストスパートです。
このパートでは、プロジェクト達成基準を満たすアウトプットを出す(≒責務の第1案を定める)ことをゴールにしています。
進め方と進行上のポイント
これまででてきた意見をまとめて、Try(起こすべき行動)について議論する
まずは、個人ワークで考えたことや、他チームからいただいたフィードバックで持ち帰ってきたものを共有します
いきなり責務を定めるのではなく、Keepをより伸ばす、Problemの解決に近づけるTry(起こすべき行動)について話すようにします
そうすることで、責務の先にあるやること/やらないことをより具体的にイメージすることができるからです
Tryをもとに、責務の言語化を進めていく
Tryが決まってくると、具体的にやるべきことが見えてくるので、最後はそれらを抽象化させながら責務として言語化していきます
責務は多すぎるとそれらを果たすことがとても難しくなるので、最大でも2-3つに絞るようにしました
このパートもとても盛り上がり、各チームで模造紙にアウトプットをまとめてもらいました。(以下はフィールドセールスチームのアウトプット)
Step4:一次発表&最終フィードバック
このパートのゴール
各チームで定めた責務を発表して、最後のフィードバックをもらう時間をとります。
各チームで定めた責務について発表
発表の際には、意図が伝わるように議論のプロセスや設定の経緯についても簡単に説明をします
他チームは自分たちが理解することがとても大事ですので、気になった点、わからない点についてしっかりフィードバックをします
進め方と進行上のポイント
当日は1チームあたりの発表タイム3分、フィードバックタイム7分で進めました。
ここまでうまく進めていれば、かなり洗練されたフィードバックが飛び交っていきます。場合によっては進行として収束パートであることを参加者に意識してもらい、拡散させないような工夫が必要かもしれません。
Step5:最終FIX
このパートのゴール
発表時のフィードバックをもとに、責務も最終FIXを進めていきます。
なお、FIXした責務はいつでも見返せるように、パワーポイントやGoogleスライドなどでまとめていくとよいでしょう。
進め方と進行上のポイント
議論やフィードバックで盛り上がり、1日でここに至れない可能性もありますが、そうだったとしてもできるだけ間をあけずにFIXまでもっていけるように進めるのがおすすめです。期間が空いてしまうと、熱が冷めてしまったり、議論のし直しが発生して堂々巡りとなる恐れもあります。
おわりに
最後に、運営全体のポイントやログラスとしての振り返りを述べておきます。
超重要:議論に臨むためのマインドセット
概念的なディスカッションは、目的を意識することや、参加者同士の目線合わせがとても重要になります。
そのため、参加者には以下を各パートの中で自分や相手に繰り返し問いかけてほしい、とかなり強く説明をしました。
考えている時間軸は正しいか?
今回で言えば、現在から1年先の中であるべき姿を考えていく
意思決定の拠り所に近づけているか?
売上をあげる、アポ数を増やす、チャーンを防ぐなどはあげるべき成果であり責務ではない
他チームからみても理解できるものか?
チーム間でも健全なフィードバックができるようにしていくためのものなので、知ってもらうことや、理解してもらうことをより意識して言葉にしていく
フィードバックをする側も、相手のチームの責務を理解すること、本気で任せていきたいことを考えていく
タスク処理的な議論の進め方になっていないか?
責務を決めることがゴールではあるが、決めることが目的ではなく、行動を変えていくことが目的なので、そのために必要な議論をする
集中して議論に臨めているか?
今回はあえてパソコンをメインにせず、ポストイットや模造紙を使用しての議論やアウトプットをメインとした
そのため、ワークショップ中はパソコンを開かず議論に集中する
責務を定めてみてどうだった?
結論としては、今のログラスのフェーズにぴったりな時間の過ごし方ができたと思いました。
まず、急拡大する中でなかなかビジネスサイドが一同に集まって交流したり、ひとつのテーマに沿って議論することがなかったので、このように集中して同じ時間を過ごすことができたプロセスがとてもよかったと思いました。
チームごとでランチなどもいってもらいましたが、どのチームもとても楽しそうでした!
責務については冒頭でも申し上げた通りですが、決めること自体には大きな意味はなく、責務を全うするために行動すること、発信することに意味があると思っています。
ログラスのビジネスサイドとしても運用はまさにこれからなのですが、早速責務に基づき、こういった発信もするべきでは?といったコミュニケーションがSlackでもされていました。
このように責務から事業の成長に紐づくアクション、意思決定がどんどん生まれていくように私たちも意識していきたいと思います!
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お読みいただき、ありがとうございました!
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私自身がなぜログラスに入社したのか、という想いはこちらのnoteに書いていますが、今も変わらずまっすぐ事業に向き合いながら、素敵な仲間たちと仕事ができています。
ログラスって何やっているの?という方はこちらの髙橋さんのnoteをご覧ください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
2023年もどうぞよろしくお願いいたします!!!!!
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