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#51 ミッション,ビジョン,バリュー

~この3つは何が違うのか,どう関係しているのか,具体的に経営にどう役に立つのか~

緊急事態宣言が解除されて2週間(前回#50の記事を上げたのもちょうどその頃で5/21)が経ちました。さすがに3か月間停滞していた仕事がドバッと押し寄せてきて,またちょうど大学院の授業(Zoom遠隔で5時間半は結構疲れる)と重なり,なかなかnoteを更新できませんでした。

やっと土曜部になり筆を執ることができたわけですが,今日はここのところ院生達と議論した「ミッション,ビジョン,バリュー」について考えてみたいと思います。何を議論したかというと,この3つを図示化するとしたらどんな図が良いか,ということです。院生のひとりはビラミッド図を描いてきた(ピラミッドの上から,ミッション,ビジョン,バリューとなっている)のに対して,教官である私は下のようなベン図のほうがしっくりくるのではないか,と提起しました。

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確かに抽象度でいうと,ミッションが存在意義や経営哲学的なもので形而上学的であるということで言えば,ピラミッドの最上部でよいかもしれません。またビジョンはそのミッションを視覚化,イメージ化,ビジュアライズした具体的な将来像ということで言えば,ミッションより抽象度が低いということになるでしょう。そしてバリューは,日々の現場での活動の中から固定化されていく価値観であり,行動様式や習慣であるということから,最下層部の抽象度の低いレイヤーでよいのかもしれません。確かに「ミッション,ビジョン,バリュー」で画像検索すると,ピラミッド型に描かれているものが多くヒットします(ベン図も少しは出てはきますが)。

しかしながら個人的には,これら3つはそのように直線的に考えるものではなく,相互に関係しあっているもののように感じます。現実的には,ミッションは創業者あるいは経営者の個人的な価値観や哲学などが反映され,ビジョンは経営者を中心とした経営幹部が中長期的な経営のシナリオを書く中で設定され,バリューはもっとも現場に近いワーキンググループが直に外部環境と接触する中でボトムアップ的に形作られていくものだと思います。ですから直線的なピラミッド図よりも,複合的なベン図の方が相応しいのではないかと感じるのです。

ところで筆者がビジョン経営のコンサルティングをする際には,①経営者からのヒアリングでミッションを明確にする,②経営企画部門を中心にして中期経営計画などとの整合性を担保しながらビジョンを設定する,③現場のマネジャーやリーダーたちとのグループディスカッションを通じて具体的な行動パターンや考え方からバリューを設定していく,ということを並列的に進めます。それを洗練させる中で,ひとつのフィロソフィーに収斂させていく(ベン図の中心)というイメージの方がしっくり来るし,コンサルティングの効果も高いと考えています。

経営者の皆様はどう感じられるでしょうか。別にこれに正解があるわけではありませんので,ご自身の経営を振り返る際の材料にしていただければと思います。ミッションについては,以前の記事(#39 ミッション=会社の使命とは?)にも私の思うところを書いておりますので,お時間があればご一読ください。

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#経営 #ビジネス #エッセイ #コンサルタント #ビジョン #ミッション

正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html