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#39 ミッション=会社の使命とは?

~知識は存在に関わるものから行為に関わるものに変わった(P・ドラッカー)~

人間には寿命があるように,企業にもライフサイクルがあります。しかしながら,人は寿命が尽きれば存在しなくなるのとは違って,企業は組織再編などを通じて再生し継続することができます。企業の継続を意味する「ゴーイングコンサーン」という言葉を最近はあまり聞かなくなりましたが,企業を取り巻く環境と調和して存続するという意味で,SDGs=持続可能な開発目標,という言葉がそれに代わって語られるようになった気がします。

それでは,企業が継続し続けることには何の意味があるのでしょうか。その問いに答えるためには,企業は何のために存在するのかという「ミッション=使命」「経営理念」が明確である必要があります。つまり,企業が存続しまた成長し続ける理由は,それらの使命や理念を具現化し続けるためということであり,そいいう意味で企業は「公器」である,ということができるでしょう。

また,企業たる会社組織には「ミッション=使命」「ビジョン=将来像」「バリュー=行動指針」が揃っていることが望ましく,これらがないと集団としての凝集性は高まりません。そして組織の凝集性が高まらないということは,様々な組織機能の生産性や効率性が高まらないということにもなります。生産性や効率性が高まらないと企業の存続を危うなりかねず,そういう観点からしても,ミッション・ビジョン・バリューは大切,ということになります。

ところで,これを人間個人に置き換えてみると,人生の目的は人の役に立つためとか社会で価値あることを為すためとか考えると,どうも生きていくのが窮屈になってしまいます。人の役に立ちたくても何らかの事情で叶わない人は人として生きていく価値がないのか,というと,それは違うと思います。人は生きているだけで価値がある,生きるということを経験する(生きることを楽しむ,と言えれば幸せ)ためにこの世に生まれてきたのではないでしょうか。

また人間は,皆が皆,著述や絵画というような形ではないにせよ,何らかの自分の生きてきた証を後世に残してていきたがる存在のようにも思えます。しかし,本当に自分の足跡を後世に残したいという意図があるのかどうかは疑問であり,きっと当人としては,その時にそうせざるを得なかったという内実があったということなのではないでしょう。

そう考えてみると,会社は社会的意義のある活動をしないと存在価値がないのかというとそうでもないような気もしてきます。つまり会社経営の初期段階では,企業=経営者個人が自分の寿命の中でいかに生きていくかという問題であり,経営者本人に会社経営をする内実があればそれでいいということなのではないでしょうか。経営者は自分の生きた証を「会社」というものに残しておくというよりも,会社経営を通じてただ自分の生を体現しているだけなのかもしれません。

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#ビジネス #エッセイ #経営 #コンサルタント #ミッション #ビジョン









「知識は存在に関わるものから行為にかかわるものに変わった」とはドラッカーの言葉です。

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