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小説「舟を編む」三浦しをん

三浦しをんの長編小説。
あぁ何か小説を読みたいなぁと書店をふらふら物色していると、ふと目に入った文字「舟を編む」。なんて詩的なタイトルなんだろうと惹かれてしまう。思わずジャケ買い(死語ですか?)してしまう。調べてみると2012年の本屋大賞受賞作品だった。これは期待値が高い。

とある出版社が新しい国語辞書「大渡海」を作るというお話。辞書を作ることが小説になるとは大変な驚きだった。言わば裏方の物語である。小説とはどう書くのだろう、エッセイとはどう書くのだろう、自称詩人である私だが詩とはどう書くのだろう(一篇書き上げて次に書こうとすると必ず詩ってなんだっけ?とスタート地点に戻らされる)、と常に思うわけだがさてさて辞書を作るとは?など考えたこともなかった。詩を書くにあたって辞書は欠かせない物。とはいえ紙ではなくぽちぽちっとググってしまう今日この頃、良くも悪くも久しく辞書に触っていない。よくよく考えてみたらひとつの言葉を端的に正確に文章にしなければならないし、その文章でさえ言葉の集合体であるのだ。新しく生まれる言葉があれば死んでゆく言葉もある。言葉とは生き物でありナマモノである。保存方法も保存状態もひとつひとつ異なる。これは大変な作業だ。もしかしたら言葉に取り憑かれた同志なのかもしれない。

言葉を扱う自称詩人としては大変お勉強になる小説であった。たった三行でも文章を書くことが好きな人には是非読んで欲しい作品である。自分が伝えたいことが正確に言葉にできているのか、もう一度その言葉の本来の意味を辞書で調べてみようではないか!と息巻いてみる。つい「息巻く」を調べてしまう。

あらためて言葉の大切さ、大切さというより重要性みたいなものを思い知ったわけである。何かをを書く時、人に何かを伝える時、言葉を間違えてしまわないように、頭の中一冊の分厚い辞書が欲しい。語彙力不足の私としては切に願う。それでも人は間違えるのだ。一生関わってゆくものだからこそ日々己の言葉と向き合い続けてゆきたい。

そして辞書には紙質というものも重要らしい。ぽちぽちではなくたまには辞書を触ってみよう。映像化された作品もあるようなので観たいと思う。

最後に「詩集を編む」という言い方をする詩人もいるが「編む」って素敵な言葉だなぁと思い、詩作用メモに残しておく。

#読書感想文
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