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ジブリの新作『君たちはどう生きるか』を観てきました。感想と考えたこと


こんにちは!yukiです。

スタジオジブリの新作、
宮﨑駿監督の
『君たちはどう生きるか』

話題になっていますが、
僕も先ほど観てきました。

コペル君が出てくるかな?
と思っていたので、
ぜんぜん違くてびっくりしました笑

新鮮なうちに、
記録を残しておこうと思います。


ネタバレしないよう、
気を付けて書きました

しかしこの映画は、
まっさらな状態で観たほうが
良いかもしれません。

少し内容にもふれているので、
気にされる方は、映画鑑賞後に
ご覧いただけると嬉しいです。



僕の感想は、一言でいうと、

「めっちゃ好き!」

です。


ダンテの『神曲』を感じる


いきなりぶっ飛びます。

映画を観ているときから、

「ダンテの『神曲』っぽい感じだな」

と思っていました。

ダンテの『神曲』は、
西暦1300年ころに書かれた、
イタリア文学の古典です。

古いですが、
すごく面白いんですよ!

作者のダンテ自身が
地獄・煉獄・天国を旅する物語で、
あらすじは次のような感じ。

愛する女性に先立たれ、
悲しみを引きずるダンテ。

彼は政治闘争にも敗れ、
故郷フィレンツェを追放されてしまった。

人生に絶望し、
“迷いの森”に陥ったダンテのもとへ、
古代ローマ詩人の霊が現れる。

「ダンテよ、
 “あの世”を見に行かないか。
 私がそなたを案内しよう」

ダンテは詩人に連れられ、
地獄の門をくぐり、
“下の世界”へと入っていく。

ダンテは地獄を巡る旅で、
かつて自分を苦しめた人々や、
凄惨な地獄の光景を目にしていった。

地獄巡りを終えたダンテは、

「地獄に落ちるほどではないが、
 何らかの罪を犯した者」

が、苦行によって
その身を清める煉獄れんごくへ向かう。

煉獄で身を清めることで、
天国に行くことが許されるのだ。

煉獄の終点にたどり着いたダンテは、
亡くなった愛する女性と再会を果たす。

そして愛する女性と共に天国を巡り、
“大いなるもの”に謁見するのだった。


ダンテはこの旅を通して、
恋人を失った悲しみと後悔や、
人生への絶望を乗り越えていきます。

“自分の過去と向き合い、和解する旅”
だったと言えるでしょう。


『君たちはどう生きるか』にも、
同じテーマ性を感じます。


『君たちはどう生きるか』では、

  • “死”への門と、刻まれた文字

  • 門をくぐった直後、船乗りが現れる

  • 呪われた者が炎に焼かれる

など、
あえて『神曲』との関連に気付ける要素を
入れているんじゃないか、と思います。


また、『神曲』の案内人は詩人ですが、
『君たちはどう生きるか』だと
“悪魔的な者”が案内人となります。

西洋の悪魔は、
人間の欲望につけこみ、
誘惑して罠に落とします。

旧約聖書では、
ヘビに姿を変えた悪魔
アダムとイヴを誘惑しますよね。

『君たちはどう生きるか』の序盤では、
そんな世界観も感じるのです。


ほかにも、
「白雪姫」っぽいなあと
思うところがあったり、

日本を舞台としながらも
西洋的な要素を感じたのでした。

『君たちはどう生きるか』は難解?


この映画は、とても抽象的なうえ、
明確な説明がされないまま
物語がどんどん進んでいきます。

終わってからも、
たくさんの「?」が残っている笑

難解といえばその通りだと思います。

しかしここまで抽象度が高いと、
逆に解釈の自由が生まれてくる。

クラシック音楽を聴くときと同じで、
「今の自分が受け取れるメッセージ」
をキャッチしようとすれば、
たくさんの宝物を受け取れると思います。

まさに右脳で楽しむ映画ですね!



明確な説明がされないまま
物語がどんどん進んでいくのは、
最近のアニメ映画のトレンドです。

新しい設定がいきなり出てきても、
「そういうものなんだな」
深く考えずに受け入れないと、
楽しみにくくなってしまうのです。

この映画ほど抽象的ではないですが、
「鬼滅の刃」などは、まさにそう。



アニメ映画は“時代の流れ”を反映していて、
“その時代の人々に響くもの”が作られます。

『君たちはどう生きるか』の設定にも、
近年大ヒットしたアニメ映画との
共通点が見られるのです。

それは、

「現実世界←→非現実世界」

という構図です。

非現実世界は、
『君たちはどう生きるか』だと“下の世界”。

『ONE PIECE FILM RED』では“ウタワールド”、
『鬼滅の刃 無限列車編』では“夢の世界”。

他にもあるでしょう。

これらの映画で、
主人公は選択を迫られます。

現実を逃れて理想の世界で生きるか?
苦しむと分かっていても、現実に帰るか?


私たちの日常で非現実世界といえば、
“ネット世界”ですよね。

これからメタバースが広まっていくと、
非現実世界にいる時間の長い人が
どんどん増えていくと言われています。

非現実だったものが、
もはや現実になってしまうのです。


“理想の世界”を与えられたとして、
私たちはどう生きていけば良いのだろうか…

これらのアニメ映画は、
時代の変わり目にいる私たちに、
メッセージを投げかけているように感じます。

ジブリの“旅”


『君たちはどう生きるか』では、
過去のジブリ作品を彷彿とさせるシーン
つぎつぎと現れます。

『風立ちぬ』っぽいと思っていたら、
『トトロ』、『もののけ姫』、『ナウシカ』、
『ラピュタ』、『千と千尋』、『ポニョ』、
などなど…

あそこまでハッキリと
気付けるようにしているのですから、
ちゃんと意図があるのでしょう。

ダンテが『神曲』で心の旅をしたように、
この映画は宮﨑駿監督自身の心の旅でも
あるのではないかと思います。

宮﨑駿監督が、
スタジオジブリと共に歩んできた、
長い歳月。

『君たちはどう生きるか』に散りばめられた、
これまでのジブリ世界を巡ることで、
きちんと区切りをつけているような…

そして宮﨑駿監督の
“生き様”が伝わってくるような…

「僕はこうやって生きてきた。
 君たちは、どう生きるのか?」

と、問われているように感じます。

主題歌の、米津玄師「地球儀」も、
宮﨑駿監督の生き様が伝わってくる
すばらしい歌だな、と感動しました。



この映画は抽象的です。

だからこそ、
広く解釈の余地があります。

もともと意図された世界はあるでしょう。
しかし、それだけが正解でないことは、
監督自身よく分かって作っているはずです。

どの年代でも、
その人の置かれた状況に応じて、
何らかのメッセージを受け取れる。

“心の鏡のような映画”かもしれませんね。




映画の余韻に浸りながら、
駐車場で車に乗ろうとしたとき。
突然、涙があふれてきました。

時間差!
なんで今?!

運転どころじゃないので、
しばらく車の中で号泣。

主人公の魂の輝き、ひたむきな姿、
彼を支えるたくさんの愛、
未来へ踏み出す力強さに、
心洗われたからかもしれません。

闇があるからこそ、
光がいっそう輝いていたのです。


とにかく、めっちゃ良かった!!

時間をおいて、
ぜひまた観たい映画です。




最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは、今日も良い1日を!



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