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輝ける魂の記録・スルタノフのピアノ演奏


こんにちは!yukiです。

今日は、
若くして亡くなったピアニスト、
アレクセイ・スルタノフの演奏を
ご紹介したいと思います。

ほとばしる情熱、圧倒的な輝き…

ウズベキスタン出身のスルタノフは、
自らを燃やし尽くすことによって
光を放つようなタイプのピアニストでした。

きっと、彼の演奏から、
勇気とパワーを貰えることと思います。


スルタノフの演奏


さっそく演奏動画を紹介しますね。

ラフマニノフ作曲、
『ピアノ協奏曲第2番』3楽章です。

10分程度とやや長いですが、
キャッチーなメロディーが多く、
迫力もあるので、楽しめると思います。



なんて輝かしいのでしょう。

小柄で、少年のようなあどけなさ
そんな見た目からは想像もつかない、
溢れでる巨大なエネルギー

この映像を見るたびに、
全身の細胞が震える感じがします。

このとき、スルタノフは19歳。

アメリカで行われた
ヴァン・クライバーン国際コンクールに
優勝したときの演奏です。

闇から“再起”した作品


せっかくなので、
少しだけ作品紹介もしますね。

この『ピアノ協奏曲第2番』は、
ラフマニノフの作品の中で、
最も有名な楽曲のひとつです。

特に1楽章の冒頭を聴くと、
「あっ、これか!」
ってなる方が多いと思います。

(※先ほどの動画は3楽章です。
 あとで1楽章も貼りますね。)


作曲当時のラフマニノフは28歳。

2年前に発表した交響曲が世間で酷評され、
重い心の病になってしまいましたが、
その苦しみを乗り越えて作曲したのです。

闇の中を彷徨った2年間。
その果てに掴んだ、まばゆい光…

彼の“再起”を体現したような
この輝かしい作品は、
当時から絶大な人気を得たのでした。

病の魔の手


さて、スルタノフに話を戻しますね。

スルタノフは幼い頃から、
早熟な天才として評価されていました。

それゆえに、
子どもらしく遊ぶ間もなく、
厳しい訓練を課せられていたそう。

努力の甲斐あって、
世界的な名声
を得てからは、
各国で演奏活動を行い
いつも聴衆を熱狂させていました。

身長約160cmと小柄長髪なのも、
話題性があったようです。


奥さまのデースとの出会いも、
漫画みたいにドラマティックなのです。

巨匠・ホロヴィッツが
モスクワ音楽院に演奏にきたとき、
チケットは人気すぎて手に入りませんでした。

でもどうしても聴きたい…

スルタノフほか音楽院生の数名で、
屋根の上からホールに忍びこもうとしたところ、
1人の女性がバランスを崩し、
屋根から転落しそうになります。

彼女の手を掴んで
助けたのがスルタノフ。

そこから恋が芽生え、
やがて結婚に至ったのだそうです。
ドラマティックですね!


スルタノフの
若々しくてエネルギッシュな演奏は、
20代後半になるにつれて
内省的な深みも持つようになり、
音楽家として成熟していきました。

・・・しかし、
31歳になった彼を、
病が襲ったのです。

脳卒中でした。

左半身不随となり、
左目の視力も失ってしまったのです。

ろくに話すことも
できなくなってしまいました。

幼い頃から自由に遊ぶこともできず、
ピアノに全てを捧げてきた人生。

ようやく手にした輝かしい力は、
何の役にも立たなくなってしまった…

いったい、
どれほど絶望したことでしょう。

再起と挑戦


ピアニストの道を
突然絶たれたスルタノフは、
発症から2年ほどの間、
音楽を聴くのも嫌がったといいます。

しかしその後、
なんと彼はピアノを再開したのです。

デースや周囲の人々の
あたたかい手助けを受けながら…。

立ち上がることはおろか、
ほとんど話すこともできない状態。

動ける右手も、
グランドピアノを弾く力はない。

それでも、キーボードを使って、
必死でリハビリに取り組みました。

やがてスルタノフとデースは、
介護施設や病院などで
コンサートを行う
ようになります。

デースが伴奏を弾き、
スルタノフはメロディーを奏でました。

どれだけ多くの人が、
その姿に勇気づけられたことでしょう。



スルタノフは、呼吸不全により、
35歳という若さで亡くなりました。

彼は、生涯を通して、
ピアノによって人々に
勇気を届け続けた
のでした。

没後20年以上が経ったいまも、
スルタノフのファンは大勢います。

彼の不屈の精神は、
世界中の人々に
パワーを与え続けているのです。


最後に、
冒頭の動画のフルバージョンを
掲載しておきますね。

偉大なピアニストに、心から感謝です。





最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは、今日も良い1日を!



(今回のカバー写真は、
 ピアノの内部の写真でした!)



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