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お茶畑のある町、優しい大学生【バングラデシュ旅行記5】

こんにちは!yukiです。

今回は、
バングラデシュ旅行記の5回目。

当初、「バングラ旅行を5回に分けて…」
と言ったのですが、
3回ほど多くなってしまいそうです。

もうしばらく、
バングラデシュの様子を
お楽しみいただけたら嬉しいです。


今回は、
列車に乗っているところから始まります。

それでは、どうぞ!


お茶の産地・スリモンゴルへ


2時間遅れで出発した列車は、
緑豊かな田園を走り抜けていきます。

流れる景色をぼんやり視界に入れながら、
イヤホンからの音楽をたしなむ、
至福のひととき。

やがて、黄緑色の明るい田園は、
なだらかな丘陵に茶畑が広がる風景へと
変わっていきました。

ボックス席の向かいに座っている、
サングラスにイヤホンの青年に
話しかけられます。

「目的地、
 スリモンゴルって言ってたよね?
 もうすぐだよ。」

「おー、そろそろなんだね!」

スリモンゴルは小さな田舎町で、
お茶の生産地として知られています。

列車が駅につくと、
青年と僕の会話を聞いていた
周りのお客さんたちが、

「スリモンゴルついたよ!」

って口々に教えてくれました。

おじいちゃんから、
子どもまで。

あたたかいなあ。


青年もやっぱり親切で、

「スリが増えてるから、
 荷物から目を離さないようにね。
 良い旅を!」

「ありがとう、
 きみも良い1日を!」

と握手してお別れしました。

田舎町とはいえ、ここはバングラ。
駅を出ると、
沢山の人が道を行き交っています。

交差点の側にボロい宿(失礼)を見つけ、
もう薄暗い夕方だったので、
お茶畑には翌日行くことにしました。

美しいお茶畑


翌朝。
郊外のお茶畑に向かって歩き始めます。

町を出てすぐ目に入ってきたのは、
うすくもやのかかった、幽玄な風景。

終わりが見えないほど、
どこまでもお茶畑が続いていました。

ようやく静かなところに来られた。
落ち着くなあ。

都市部は、
人混みも排気ガスもヤバすぎました。

てくてくと小道を歩き、
たまにすれ違う人と言葉を交わしながら、
気持ちのよい空気に浸ります。


そういえば、
バングラデシュに来てから、
一度も青空を見ていません。

田舎のスリモンゴルでも同じでした。
季節的なものかもしれなけれど。



腰掛けるのにちょうど良い、
柔らかな草が生えた斜面を見つけ、
ハーモニカを取り出して吹き始めます。

こういうときの曲は、
いつも「Moon River」。

あー、やっぱ田舎っていいなあ…



・・・なんか旅情に浸ってる風ですが、
このとき、マダニに刺されました笑

スナフキン気取りの代償は大きかったです。

「血豆ができた、何でだろう。痛い」
と思っていたら、3日後に外れ…

(恐怖)

幸い、病気にはなりませんでした。

2人の大学生


町に戻り、あてもなく
ぶらぶらと歩いてみます。

やっぱりこの町でも、
お茶の誘いを受けて
しばらくおしゃべりしたり、
写真を撮ったり。


バングラの旅で困るのは、
ほとんどWi-Fiが見つからないことです。

宿にも無いので、
日本と連絡も取れなければ、
調べものもできません。

そういうときは、
「Cyber Cafe」と呼ばれる
ネットカフェに行くのです。

道ゆく2人の男性に
場所を聞いてみました。

「Cyber Cafeね。
 近くにあるから、連れてくよ!」

2人は大学生で、
体格のいい優しそうな青年はヴィパル
細身の好青年はリヤーズといいました。

「ここだよ!」

「助かったー、ありがとう!」

「いえいえ。じゃあね!」

2人に手を振り、
薄暗いCyber Cafeに入ります。

ホコリっぽくてガラガラの店内で、
日本と連絡を取って調べものを済ませ、
ほっと一息ついて外に出ると、
なんとまだ2人がそこにいました。

「あれ、どうしたの?!」

「いやー、
 僕ら今日時間あるから、
 せっかくだし
 町を案内したいなと思ってさ。」

「まじ?
 いいならお願いしたい!」

「決まり!行こう!」



しかし、もう夕方。

市場を見に行ったりしているうちに
日が暮れてしまいました。

「ヴィパルとリヤーズは、
 夜ご飯食べる?
 ちょっとお腹減っちゃって。」

「オッケー、
 じゃあ食堂行こうか!」

しかし、食堂では、
彼らは食事を頼まず、
チャ(紅茶)だけ。

「あれ、帰って食べるの?」

「ここらへんだと、みんな、
 夜10時くらいに食べるんだよ。」

「そうなんだ!
 でも、案内してくれたお礼に、
 なんかご馳走するよ。」

「ありがとう、
 でもお腹減ってないから大丈夫。」


僕だけモリモリ食べていて、
ちょっと申し訳ない。

細身のリヤーズに尋ねられます。

「yukiはお茶畑を
 見に行ったでしょ?」

「うん、さっき行ったよ。」

「知ってた?
 あそこの労働、過酷なのに、
 全然儲からないんだ。」

「だいたいどのくらいなの?」

「そうだねえ、
 28kgお茶を摘んで、報酬は1ドル
 けっこうヤバいよね。」

「まじかあ…」


外国人の僕は、どこへ行っても、
「きれい〜」
といって眺めるだけ。

しかし、綺麗な見た目のウラには、
金儲けや搾取の思惑が渦巻いている
可能性があるんだな…と。



お店を出て、

「もうちょっと
 連れて行きたいところがある」

という2人についていきます。

着いたのは、小さな広場。

噴水のある池があり、
暗闇のなか水浴びしている人がいます。


「あそこで水浴びするんだね…」

「アハハ、あれは“汚水プール”さ!
 あんなとこ、普通入らないよ。
 もしかして入りたい?」

「いや、遠慮しとく笑」


池の周りには、
ずらっとが立ち並んでいます。

壁にはレリーフが彫られていました。
お茶摘みをしている人、
頭に袋を載せて運ぶ人、
銃を持った兵士の行進…

兵士が行進するレリーフの前で、
2人は立ち止まりました。

「これは、
 “フリーダムファイター”だよ。
 yukiは知ってる?」

「うん、
 パキスタンから独立した戦争で
 戦っていた兵士だよね」

「そうだよ。
 僕らが平和に暮らしていられるのも、
 彼らのおかげなんだ。
 みんな、彼らを誇りに思ってるんだよ。」

“東パキスタン”だったバングラデシュは、
1971年に、
パキスタンから分離独立しました。

パキスタンのままだったら、
このベンガル地域に住む
ヒンドゥー教徒は暮らしにくかったはず。

バングラデシュとして独立したことで
共存の道を取れたのでしょう。

「スリモンゴルは、
 ヒンドゥー教徒が多いんだよ。
 近くに寺院があるから、行ってみよう」

ヒンドゥー教の寺院は
インドでも何箇所か行っていましたが、
目の大きな神様は初めて見ました。


楽しい時間はあっという間。

小さい町とはいえ、
親切に宿まで送ってくれて、
お別れのときが来ました。

「何か困ったら、
 メッセンジャーで連絡してね。
 バングラデシュを楽しんで!」

「うん、ありがとう!
 本当に楽しかった、
 ヴィパルとリヤーズも元気でね!」

握手をして、
夜に消えていく2人。

本当に良い人たちだったなあ。

この優しさは、いつか必ず、
自分が誰かに回していかないと。


部屋に戻り、今日1日の楽しさと、
1人になったリグレットをかき混ぜながら
眠りについたのでした。



最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは、今日もよい1日を!



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