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静かに増える、開成高校の海外進学者

はじめに

この記事は海外大学への進学を盲目的に礼賛するものでも、国内大学への進学を貶めるものでもありません。

要するに、「東大は時代遅れ!これからは海外進学!」というノリの記事ではないことにご注意していただければなと思います。

開成高校について

簡単に、開成高校についてご紹介させていただきます。

開成高校は東京都荒川区、西日暮里にある私立男子校です。中高一貫校であり、1学年の生徒数は中学入試300人+高校入試100人の合計400人です。

運動会や文化祭などの学校行事も盛んなことで有名です。また、部活動でも特に文化系クラブは非常に高い実績を挙げています。科学オリンピックのメダリストも多く輩出しています。

脱線になりますが、最近ではプログラミング言語を開発し経済産業大臣賞を受賞した(当時)中学3年生の生徒さんがニュースになっていました。

また、東京大学大学院生でありながらピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを受賞され、ピアニストとしても活動されている角野隼斗さんも開成出身です。

開成高校は日本で最も東京大学の合格者数が多い進学校として知られており、現在39年連続で首位とのことです。受験用語でいわゆる「(関東)御三家」とされる高校の一つであり、男子校としては日本トップクラスの学力レベルです。

そんな開成高校ですが、2011年にOBである柳沢幸雄氏が校長に就任し、海外進学にも力を入れるようになりました(2020年に退任されています)。

結論

いきなり結論を書いてしまいます。

開成高校の海外大学進学者が静かに、しかし確実に増加しています。

開成高校は、生徒の進路を公式ホームページで公表しています(進学先の内訳はHPを御覧ください)。

米国のいわゆるアイビー・リーグや、英国ではキングス・カレッジ・ロンドン、ケンブリッジ大学といった有名大学への進学者もいらっしゃいます。

実は「東大・京大 合格者ランキング」といった週刊誌記事の見出しだけでは見えてこないのですが、2013年からは合格実績にも海外大学が表記されるようになりました。

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一人の生徒が複数の大学に合格するので合格者数を強調するのは控えておきますが、2020年は海外進学者が8人います。2012年以前も海外進学した生徒は例があるのかもしれませんが、今のようにまとまった数はいなかったと思われます。

柳沢先生は開成高校のOBであり東京大学の名誉教授でもありますが、ハーバード大学ではベストティーチャーに選出されており教育能力も評価されています。その影響を無視することはできないでしょう。

参考ですが、下のインタビュー記事は2018年ちょっとした話題になりました。

開成の進学に対する雰囲気について

開成高校の卒業生に話を聞くと、やはり校風の一つである「自由」にまつわる話が出てきます。これは進路についても同様です。

もちろん東京大学や早稲田、慶應といった大学への進学者は多いものの、一方でバレエダンサーやギタリスト、花火職人といった多彩な卒業生の存在を聞くことができました(花火職人になった生徒は伝説的な存在になっているそうです)。芸術大学に進む生徒もいますし、有名Youtuberもいますね。

私も有名進学校を卒業している身なので共感できるのですが、やはり受験に対する学校側の「圧」をあまり感じていない人が多い印象です。

これは「進学校あるある」かもしれませんが、東大合格者数といった数字に強くこだわっているのはマスコミだけのようです。教員が生徒の希望より合格実績を優先する、といったものも上位進学校では都市伝説ですね。

高校のクラス分けも、運動会のチームワークを優先して高2から高3のクラス替えがありません。そのため、文系や理系の混合クラスも存在しますし、特別な「医学部クラス」なども設けられていないようです。

進学についても、「海外進学に力を入れた」というよりは、「海外を考える生徒が現実に目指せるようになった」という方が正しいのかもしれませんね。


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