箔と染めで新しく生まれ変わる古着 NEW VINTAGE
YUKI FUJISAWAというテキスタイルレーベルをしています、藤澤ゆきです。noteのみなさま、はじめまして。
私は2011年から「NEW VINTAGE(ニュー ヴィンテージ)」という、古着に箔や染めを施す一点物の衣服を製作しています。
古くからあるものに、別の角度から光を当てることで新しい価値を生み出す。単なる古着のリメイクではなく、ヴィンテージにファッションとしての新たな価値を提案したいという想いで活動しています。作品と商品のあいだのような、一点物たちです。
代表作はアランニット「記憶の中のセーター」。無垢なアランニットを染め直し、金銀の箔をアラン模様に沿ってプリントしています。
実はこれらはぜんぶ、元々真っ白なニット。それを緑やピンクに染め直したあとに、一点一点、アトリエで箔をプリントしています。
80年代のアイルランドで作られた手編みのヴィンテージニットを中心に選んでいます。日本ではケーブルニット/フィッシャーマンニットという名前でも親しまれているセーターです。
新しい色を宿してあげると、やさしい白の雰囲気からまさに今の時代に生まれ変わってくれるのです。
・虫食いもひとつひとつ探して
ヴィンテージニット特有の、どうしても出来てしまう虫食い穴のダメージ。こうしてひとつずつ編み直しています。
わたしが特に好んで買い付けてるセーターは、ウール100%の白いアランニットで、約40年前のもの。美味しいウールなのでしょうか?よく穴が見つかってしまいます…。
しかも、年代が古いニットは染め直す時に糸が染める力に耐えらず、穴が空いてしまうことも。染め直した後にもくまなくチェックをして穴をリペアしています。
・箔のメンテナンスもできるんです
YUKI FUJISAWAのアイテムは箔のリペアや、穴などのダメージのお直しを承っています。末永く愛用していただけるように、そして子供や孫、次の誰かへと受け継いでいけるモノになってほしいなと願っています。
このように「NEW VINTAGE」はヴィンテージ素材に染や箔を施すことで、単なる古着のリメイクではなくファッションとして新しい価値を生み出すアートピースです。
「NEW VINTAGE」の他にも、YUKI FUJISAWAとして企業へのデザイン提供やブランドディレクション、舞台衣装を飾るなどテキスタイルを軸に活動しています。
左:GRAND KIRIN 新商品に合わせたノベルティーコースターのデザイン、右:東急ホテルレディースルーム ファブリックパネルのデザイン
2016年にはTOKYO新人デザイナーファッション大賞を受賞。2019年3月には、東京にある原美術館にて‘1000 Memories of’と題したプレゼンテーションを行いました。
この最新作は、ヨーロッパの1920年代の天然繊維のワンピース(shiftsと呼ばれるイニシャルの入った普段着)に、同年代、もしくはそれよりも過去の人々によって書かれたパーソナルな手紙や、記録写真をプリントしています。
ヴィンテージの服はそれぞれ過去の持ち主の「記憶」を持っています。そこへ、また別の人の記憶のかけら(手紙や写真)を重ねた作品です。
この服の新たな着用者は、過去・現在・未来の不特定なポイントをつなぐ架け橋となるでしょう。
この「1000 memoires of」 についても、お話ししたいことがたくさん。
次回のコラムで、お話ししますね。
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