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ゼロから始める伊賀の米づくり46:梅雨の晴れ間の溝切りライダー

父から継いで4年目の田植えを先月、無事に終えることができました。

父が健在の頃は父中心の取り組みであった我が家の兼業米農家としての取り組みですが、私の代に代替わりして以降は、母や弟などと情報共有を行い、役割の明確化と必要な準備・アクションをそれぞれが連携し、担当しながら行えるようになってきました。

そのような形で、毎年5月連休に田植えを終えた後に行うちょっとした作業として挙がるのが『溝切り』です。

溝切りとは?

溝切りは例年、田んぼの『中干し』を行う6月中旬〜後半までに行う作業です。

田植え後、1ヶ月が過ぎて青々としてきた田んぼ

田植えをしてから一度、田んぼの水をすべて抜いて田面を渇かす『中干し』の前に、田んぼの中を走って溝を作り、水を抜けやすくします。(人呼んでライダー)

混合燃料で動作する、乗用溝切機です

水を張ったままの田んぼの地中は酸素不足になり、化学反応によってメタンなどのガスが発生します。

これらのガスは稲の生育に影響するため、一度田んぼの水を抜いて土がひび割れるまで渇かし、根の生育を助けます。

その準備に、水を抜けやすくするのが溝切りです。

溝切りについては、各戸の管理している田んぼの土質によって行う必要があるパターン、必要ないパターンがあります。

また、溝切りをする際の溝のコースの取り方も、各戸によって異なるようです。

我が家の場合は、碁盤の目状に縦横無尽に田んぼを走ります。

乗用溝切機の仕組み

溝切り前に、まずはこの乗用溝切機のメンテナンスと点検を行う必要があります。

今回は、この溝切機の仕組みを見ていきましょう。

後ろから見た溝切機はこのような状態です

一見、バイクをとても簡素化した形のように見える溝切機ですが、その後方には溝を掘っていきための銀色の溝切板が備え付けられています。

続いて、前方を見ていくとハンドル、エンジン等が備え付けられています。

とてもシンプルな仕組みです

混合燃料を使用する、スターターを引くことで始動させるという点で、手持ちの草刈機と同じような構造をしていることが見て取れます。

父の代から使っているため、年季が入って見えます

そして、エンジンを始動させたら、次はハンドルの中央に備え付けられたコックに注目します。

ハンドル中央に黒いコックが備え付けられています

こちらのコックをひねることでエンジンの回転数を上げ、速度を出すことができます。

しばらく使っていなかった場合は、エンジンをかけて回転数を上げ、動作を確認します。

これらの確認を終えたら、いよいよ溝切りです。

梅雨の晴れ間の気持ち良い日に行うこととなりました

溝切り作業の実施

準備が終われば、いよいよ溝切りの作業を行います。

田植え後1ヶ月弱が過ぎた田んぼ。やや低温で生育はゆっくりしている様子

溝切りの場合は、最低限の長靴、グローブを準備すればほとんど普段着と変わりない装備で向かいます。

エンジンをかけ、田んぼの中を走り始めました

田んぼの中を走っていると、五感で田んぼの様子を感じ取ることができます。

オタマジャクシやカエルが水面を泳いでいく様子が見えたり、苗の隙間をトンボたちが飛び交っている様子も伺えます。

また、足の裏で土を踏むと石の硬さを感じたり、水温が場所によって異なり、温かい場所、冷たい場所があることもよく感じ取れます。

このような田んぼの様子を観察しつつ、一列まっすぐに走り切ると、今度は別の列を走るために田んぼの土の中や畦道を移動し、次のコースへ向かいます。

田んぼの中を歩き、次に進む列を見極めています

この時、きちんと脚にフィットした長靴でないと泥に足を取られてしまったり、ある程度の筋力がないと溝切機が持ち上がらずに苦労することになります。

幸い、日常的に習慣として筋トレも続けてきたからか、スムーズに作業を終えることができました。

今回、やや深水だったため碁盤の目状にコースを切った様子がわかりづらいので、作業を終えたら実際どのように見えるかは、以下の記事も参考までにご覧ください。

さて、今年も溝切りを終えることができました。

父から継いで4年目の溝切りですが、少しずつペースやより効率的なやり方を模索しながら、随分形になってきたように思います。

うっすらと見える十字状の溝切り跡と田んぼ

これから台風が増えたり、ゲリラ豪雨などの天候も予想されますが、柔軟に対処しつつ、今年も豊作をめざしていければと感じます。


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