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ゼロから始める伊賀の米づくり33:溝切りの季節

前回の記録では、6月半ばに差し掛かった田んぼの様子をお伝えしました。

今回の記録では、梅雨時期に行うことになる「中干し」前の「溝切り」についてまとめたいと思います。

「中干し」は、一度、田んぼの水を抜くことで土と稲の手入れを行うことです。

水に浸された圃場は、酸素不足になり、メタン等の温室効果ガスを発生させてしまいます。

また、そのような温室効果ガスを生み出すだけではなく、様々なガスが稲の根にダメージを与えることもあります。

その際、水を一度抜き、田んぼの土にひび割れができるまで乾燥させ、土中に空気を呼び込むことで環境が変わります。

また、苗についても水がなくなることでより深くまで根を伸ばし、しっかりとした稲に育っていきます。

この、「中干し」前に、我が家の田んぼで行っているのが、「溝切り」です。相棒は、こちら。

「のるたん」と言います。混合燃料で田んぼを走る、バイク風の見た目のマシンです。

「溝切り」は、田んぼの水の抜けがいまいちの田んぼで行うことがあるようです。

近所でやっているのは、うちくらいでしょうか。

「のるたん」に乗って田んぼの中を縦横無尽に走ることで、水が流れる道を作り、また、田んぼの隅々までを水路でつなげることができます。

水がやや少なかった箇所には水が引き込まれ、多すぎる水は碁盤の目状に設けられた水路を通り、全体へと行き渡ります。

縦横に走る水路が田んぼの隅々まで水を行き渡らせ、水を抜く際の導線となる

溝切りライダーをしていると、田んぼの中を泳ぐオタマジャクシたちの姿がよく見えます。

このオタマジャクシやカエルを狙って、ヘビやサギといった動物たちもやってくるのですが、人間もまた田んぼに入って生態系に刺激を与えているのです。

神社の森に水路が伸びていく

さあ、一通りライダーを終わらせ、それで溝切りが終わりではありません。

今度は、水路の交差点を足で踏んで轍をきっちりつなげていく時間です。

片手には鍬を持ち、一歩一歩踏み固めるように、ライダーで進んだ道を歩いていきます。

その時の心境は「巡礼」そのもの。

どうか、この一歩一歩が次の豊作へと繋がりますように。

そんな願いを込めて道を行きます。

実際のところ、人間が田んぼに足を踏み入れることで土中の環境が拡販され、空気と水が入れ替わり、入り混じり、結果的に稲の生育にも役立つ、ということもあるようです。

溝切りライダーが終わった後。奥の小麦畑では、小麦の収穫が行われています

さあ、これで「中干し」の準備も整いました。

今年の夏はどのような天気になるのでしょうか。

台風が多く当たるのか、梅雨が長引くのか、それとも冷夏か…

収穫まで見守っていきたいと思います🌾



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