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東南アジア紀行

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一秒でもズレていたら出会えなかった人々と、東の島国のちっぽけなひとりとの物語。 ほんの少し、目線を変えれば、ほら、世界はこんなにも新しい。
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#タイ

冒険の始まりの音

冒険の始まりの音

なにかに呼ばれる。
そんなものごとのはじまりが、確かにあると思っている。

なにかが、「今だよ」と囁く。
今回の旅の音は、一冊の本の中から聞こえてきた。

今回の旅もそうだったのだ。もちろん、行く前はそんなことを思ってはいなかった。
今になって振り返ってみて、ひしひしとそう感じている。

きっかけは一冊の本。メジャーなものではなくて、東京西荻窪の手作り作家さんが集まるお店だけに置いてある、自費出版

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そして私は旅をやめない

そして私は旅をやめない

初めて私が「沈没」した町が、タイにある。
ラオスをメコン川の向こうにのぞむ北部の町で、チェンコーンという。
窓どころかドアまで開けっぱなしにひた走るローカルバスに3時間揺られた先にある小さな町だ。

私はそのときベトナム・カンボジア・タイ・ラオスを巡る旅の途中。チェンコーンへの滞在は予定では一泊で、翌日には次の町へ向かうはずだった。
なのになぜだろう。バスを降りた瞬間から、「あぁ、私、ここにしばら

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