陶磁器31:日本の焼き物(山口県:萩焼)
おはようございます。
今日は朝から日差しがマイルドで、気温も20℃を下回っていて羽毛布団のお陰で涼しい中の温もりを感じながら起きられる、とても爽やかな朝。
さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
22回目の今日は、山口県の萩焼。
萩焼(陶器)
萩焼は山口県萩市一帯を中心に作られている陶器。
萩焼の特徴は、装飾がほとんど行われず素材の性質を活かして作られる、同じものが二つとない独特の風合い。釉薬との伸縮率を利用したひび割れ「貫入」と使い込むことによる表面変化「七化け」、「窯変」といった焼成時の変化などを利用して陶磁器の個性を出している。
古くから茶道の世界では、「一楽・二萩・三唐津」という表現を用いて茶人が好きな抹茶茶碗を京都の楽焼、山口の萩焼、佐賀の唐津焼の順番に格付けしていた。特にこの萩焼は現代でも茶人好みの茶陶として非常に有名で、使い込むことでより美しく風合いが変化する、奥の深い焼き物。
高台に切り込みがよく見られるが、この切り高台は萩焼のルーツである朝鮮李朝から伝わったもので、装飾の少ない萩焼では作品全体の印象を決定する重要な要素となっている。
萩焼には大道土、見島土、金峯土(みたけつち)を混合した胎土を使用する。これらの土は焼き締りが少なく保温性に優れているため、風合いの良さと相まってお茶を楽しむ用途に好んで使用されている。
歴史
萩焼の歴史は安土桃山時代の1592年(文禄元年)、豊臣秀吉の朝鮮出兵に遡る。当時茶の湯の文化がもてはやされ、茶器として高麗茶碗が評価されていた中、秀吉は陶工の招致を大名に指示しており多数の陶工が日本へ渡った。江戸時代前期の慶長9年(1604年)に後の萩藩開祖の毛利輝元が招いた李朝の陶工李勺光・敬兄弟が萩に移り、築いた御用窯が萩焼の始まりと言われている。
当初は高麗茶碗の手法がそのまま用いられたが、後に様々な流派が生まれる。また明治時代後期には伝統文化の再評価が起こり、三輪休雪が新たな作風を興している。
戦後の高度成長に伴い萩焼は発展を続け、1957年(昭和32年)に選択無形文化財に選ばれた。
1970年(昭和45年)には三輪休和(十代三輪休雪)、1983年(昭和58年)には三輪壽雪(十一代三輪休雪)が人間国宝に認定され、2002年(平成14年)に伝統的工芸品の指定を受けることとなった。
地理
山口県萩市は、島根県との接する日本海に面した街。カルデラで有名な山口県だがその代表格の秋吉台は内陸にある。瀬戸内海では岩国から始まって西に、山口市、宇部市から西端の下関市と続くが、この中で少し内陸に入った山口市の真北に位置する。
阿武川の三角州をメインとするこの街は、中国地域の背骨に位置する山間から日本海に流れ出るまでの長い間をかけてさまざまなミネラルを運んで来ており、良質な土が取れるというのも納得の立地となっている。
作り方
原土 萩焼は大道土、見島土、金峯土を作品に応じて混合して現土となる胎土を作るなど、窯元によって独自の土を混ぜたりそれぞれの配合がある。
水こし 原土を乾燥、粉砕し水槽で撹拌することによって砂や小石を取り除く。数回繰り返し、最後に沈殿した粘土状の土を取り出し、乾燥させる。
土踏み 水分がある程度抜けた後、踏み台に土を載せ踏み込む事により気泡を抜き土の状態を整える土踏みを行う。
土もみ 手を使って土を捏ね、土の状態を確認しながら状態を整えていく。70~80回方向を変えて2回行う。作品が均一の硬さとなるために欠かせない工程。
成形 土もみでととのえられた陶土で焼き物の形を作る。回転式のロクロによる成形のほか、手ひねりや型を使用する場合もある。
陰干し 成形されたものは2、3日陰干して水分を抜く。
仕上げ(削り)カンナを使って削り、形を整えていく。この時点で高台の削り出しや刷毛目、花瓶の耳付けなどの伝統的な装飾を行う。
仕上げ(化粧掛け) 作品が生乾きのうちに白土を水でといた泥漿(でいしょう)をかけ、表面の色合いを調整する。
素焼 仕上げ後は乾燥させ、素焼きする。温度は700~800度で15~16時間。素焼は作品の強度を上げるために行われるが、目的によっては省略することもある。
施釉 灰釉やワラ灰釉などの釉薬を掛ける。釉薬は焼成によりガラス質となり、表面を作る。灰釉は透明に、ワラ灰釉は乳白色に仕上がる。釉薬を掛けるには釉薬の中に作品を漬けるずぶ掛けと釉薬を流し掛ける柄杓掛けといった方法があり、作品の形状などにより選ばれる。
窯詰め 萩焼の伝統的な釜は小さな房のようなものが複数ある連房式登窯で、円形の板の上に複数の作品を重ねる「天秤積み」という方式で行われます。「天秤積み」が最も炎の入りを良くすることができるため萩焼では用いられることが多い方式だが、場合によっては棚積みや容器に入れたものを積み重ねて焼く匣鉢積みといった手法も使用される。窯に詰め終わった後は横口と呼ばれる薪の投入口以外をレンガと泥によって封鎖する。
焼成 焼成室を全て塞いだ後、下の房から火を入れます。1250~1300度まで温度を上げて焼成します。炎の色で温度を観察しながら薪の量を調節しなければならず、焼成時は丸一日程度窯につきっきりとなる。求める温度になった時点で色見とよばれる見本を引き出し、釉薬の具合を確認、色見が意図する状態になった時点で投入口を塞ぎ、火を消す。
窯出し 火を落とし数日放置して自然に作品が冷やされた後、密閉されていた投入口を破壊して作品を取り出します。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tokonameyaki/
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。