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思い出日記

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#スキしてみて

職業の貴賤を決めるのは誰か。あなたの価値を決めるのは誰か。

職業の貴賤を決めるのは誰か。あなたの価値を決めるのは誰か。

わたしは、自由でいたかった。「1つのことだけしかしない」なんて生き方はできなくて、でも、世間のことを知らなくて。はじめて働いた日から去年まで、「非正規雇用労働者」として働いてきた。そのほうが縛られずにいられると思ったから。

働く人としての誇りと、お金が無くては暮らしていけない現実と、自分はこのままでいいのかという不安。

わたしは自分が賤しい仕事をしているなんて、1回も思ったことはなかった。だけ

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必要なもの以外、なにも欲しくなかった。なにもかも捨てていたあのころ。

必要なもの以外、なにも欲しくなかった。なにもかも捨てていたあのころ。

なんでも切り捨ててきた。
物も、 気持ちも、人間関係も。
潔く、0か100かに。

*

あれはいつのことだったのだろう。高校に入ってしばらく経った日。
14歳のときはじめて手にした携帯に、たくさん集めた連絡先。もう連絡をとることなんてない。つながる手段をもっている必要なんてない。

そうおもって、ほんの数名の連絡先だけ残して、電話帳をクリアした。

あれはいつのことだったのだろう。働きはじめてし

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あの悲しかった日々、陽が沈んだ部屋の暗いベッドの上で、昔の自分を思い出していたのは

あの悲しかった日々、陽が沈んだ部屋の暗いベッドの上で、昔の自分を思い出していたのは

「あなたは、どんな子供でしたか?」

もしも興味がある人に、何でも質問していいよって言われたら、わたしは迷わずそう尋ねるだろう。

今の自分が居る場所は、必ず過去のどこかから繋がっているのだから。



17歳のわたしは、陽が落ちて暗くなった部屋のベッドの上で、ただ壁にもたれかかって座っていた。

なにをするわけでもない。なにがあったわけでもないのだけれど、ただなにかが悲しくて、ずっと涙を流して

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男の子にかけっこで勝てなくなった日。腕ずもうで勝てなくなった日。変わったのは私自身ではなく私の立ち位置だった。性自認と恋愛、そしてジェンダーについて

男の子にかけっこで勝てなくなった日。腕ずもうで勝てなくなった日。変わったのは私自身ではなく私の立ち位置だった。性自認と恋愛、そしてジェンダーについて

初めて近所の子に会った。小学校に入る少し前。

福岡県民にはおなじみのホームセンター・ナフコで買ってもらった新品の自転車を家の前で乗り回していた。

「お~い!」

多分、暑くも寒くもなかった。あれは、春のことだったんだろう。真昼の日差しに目を細めながら声のする方向を見ると、2人の男の子が自転車に跨っていた。

「名前な~ん?」「ゆかり~」「いかりちゃ~ん?」「ちがう!”ゆ”かり!」

そう言葉を

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