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自分の方法ではダメだったから習っているんじゃ?

みなさんは、何か習い事をしていますか?
私自身は、ギターを習っています。あとこれは、習い事じゃないんですけど、パーソナルコーチをつけてジムで筋トレしています。
習い事、私の周辺だと、ボーカルトレーニング、フラメンコ、ペルシャ語、ピアノ、英会話……などなど。みなさんはどうですか?

私は、教える側でもあります。小学生には作文で、中高生には小論文で、文章の書き方や自分の気持ちの表現の仕方を教えていますし、大人にも同じことをしています。

教える、教わる、両方の立場に立って、気づいたことがあるんですね。それは自分も含めてですが、自分の方法ではダメだったから習っているのに、自分のやり方を曲げない人がいるって事です。

例えば、私はバンドを組んでいるのですが、ギターに自信がないので習っています。弾けるか弾けないかって言ったら弾ける、人類をギターが弾ける人と弾けない人の2つに分けたら、弾ける側にいる(笑)んですけど。
自分の弾き方では、たとえミスなく弾けたとしても、バンドのグルーヴ感が出なかったりするし、ピッキングやビブラートで細かいニュアンスなんかがダサかったりする。一人で練習してると、毎回、「なんでこんなに下手くそなんだろう」と凹みます。1日1時間ぐらい練習時間取ってるんですが、時間の問題じゃなくって、練習方法も含めて、自分のやり方じゃダメだっていうことなんですよね。

自分のやり方では目的を達成できない。それが分かっているから、プロに習うって決めたはずなんです。

これ、教えてる方だと本当によく感じること。私の仕事の例で言うと、例えば文章校正方法の一つとして、音読を勧めているんですね。自分の書いた文章を書き終えたら、人に見せる前、メールなら送信ボタンを押す前に、一度音読してみてくださいって言ってるんです。黙読ではなく音読。これはプロとして言っているんです。適当に言ってるわけじゃなく。
実際、素直に実行に移した人から「本当に効果があった!」「こんなことで見違えるほど良くなるとは!」って感想ももらっていますし、この仕事を始めて34年ですが、34年間、毎年いただく感想ですし。また、自分自身も実践して、その効果を感じていますしね。
ちなみにこのnoteの記事だって、公開前に音読します。パソコンやスマホに読み上げてもらったりもしています。音読をすると、目からのチェックだけでなく耳からのチェックが入るし、目よりも確認速度が遅いので、例えば誤字脱字だけでなく、条件が落ちているとか、並列表記の時の言葉の終わり方が揃っていないとか、段落の中で主語が変わってしまっているから、何の話をしてるか分かりにくいとか、そういうところにも気が付きやすいんですね。

でもやらないんです(笑)
「音読はしましたか?」
「一度読み直したんですがね。」
「音読ですか?」
「いえ黙読で……」
音読と黙読の違いぐらい知っていますよね。でもやらないんです。何回言ってもやらないんです。音読したら受講料返金しますキャンペーンをしたいくらいやらないんです(笑)

特に、年齢が上がるほどやりません。
子どもはやります。素直に。大人ほどやらないんです。
音読以外でもそうです。その人その人で違うんですけど、あなたはこういうところが弱くて文章が書けなくなっているから、こういう練習をしたほうがいいとか、こういうとこに気を付けた方がいいとかアドバイスします。その時は分かったような返事をするんですけど、結局、やらないんですね。大人になればなるほど、年齢が上がるほどやらないんです。

このように、指導する側だとイライラするくせに、じゃあ、いざ生徒側になり、私にはそれができてるかってと言うと、やっぱりできてないんです。笑っちゃうんですが。

自分のやり方ではだめだからプロに習っている。まずは、その事実をもう一度確認する。そして、自分のやり方というものを一度全部ゴミ箱に捨てるイメージ。謙虚な人ほど覚えが速いっていうのはそういうことができるからなのかも。

保有効果と言うのかな。自分が長年やってきたことが、違っているとか、効果がないとか、そう言われるのがすごくイヤだって言うのは、心理的にあるよね。例えば、自分が集め続けているものが、もしかしたら意味がないかもと途中でうすうす気が付いても、ダラダラ集め続けちゃうことってありませんか。
過去の私が信じて始めたことが途中で誤りだと分かったら、決意した頃の私に謝って、その方法を捨てる勇気が必要なのかも。

私には、私のギターの練習の仕方があった。それには理由もあった。でも、その方法じゃダメだったと分かった。そこで潔く過去の方法を捨てられるかどうか。捨てるのはそれはものすごく大変だ。ある意味自己否定だもんね。

私には私がそうするだけの理屈や理由があった。例えばピアノはその方法で成功したとか、誰それが YouTube でその方法でやってるの見たとか、先輩ギタリストがそう言っていたとか、そういうことが積もり積もってた。
過去の私がその方法でいいと判断して続けてきたこと、時間をたくさんたくさんかけてきたこと、ずっと信じてきたこと。
でもそれじゃだめなんだって分かったから習ってるんだよな。

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