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これからの人生をどう生きたいか?映画「老後の資金がありません!」に笑って泣いて考えさせられちゃった件

結局世の中、お金がないと生きていけない。
でも、お金に振り回される人生は嫌だ。

こう思っている人は多いのではないだろうか。

そんな「やっぱりお金は必要よね」に加えて、アラフィフ世代になってくると、「老後の資金が不安」という心配まで追加される。

そんな、漠然とした不安をうまいこと救い上げて、シビアな現実を提示しつつ、コミカルかつハートフルに映画化したのが「老後の資金がありません!」だ。

予告編はこちら

宵越しの金は持たねぇ私も、お金がないのは不安


わたしは貯金が苦手で、どちらかというと宵越しの金は持たねぇという江戸っ子気質。京都生まれの群馬育ちなので江戸っ子ではない。念のため。

それはさておき、お金のこと。いざというときの蓄えが大事なのは頭ではわかっているのだが、

実際、生きてるうちしかお金は使えないし、美味しいものを食べるのも、美しい景色を見て感動するのも、オシャレをして気分がよくなるのも、生きているうちしかできない。

だからといって貯金をしなくていいわけではないのだが、お金に関しては無計画で、新卒で会社員になってから10年、結構まともな給料をもらっていたのにも関わらず、結婚して仕事を辞めたときの貯金がほぼゼロで、倹約家でわたしからはこっそり(ケチ)と思われているわが旦那様にドン引かれた。

旦那曰く、わたしは旦那と出会ってなければ、今ごろどこかで野垂れ死んでいただろう、と言う。

人生なんとかなると思ってきているので、実感はないが、確かにわたしが乳がんになったときも、旦那がしっかりもしものときのお金を用意してあったのでお金の難なく治療を受けることが出来たし、

息子を私立中学に入れたのも旦那がそれについて蓄えをしていたからだ。

と、書いていてやっと旦那のことを(ケチ)と思っていたが、めっちゃありがたいじゃん、と気づく。

専業主婦で小さい息子を育てていた時代は、育児の悩みも自由の利かなさもストレス。その上、倹約家の旦那さんから渡される生活費がうまく使えず、足りないことばかりで自分を責めて、しかも専業主婦で自分で使えるお金もないしで八方塞がりな気分で、発狂しそうになっていたので、ありがたみを感じる余裕もなかったので仕方ない。

その当時は必死だったし、そのときの自分はヨシヨシと撫でてあげたいぐらい頑張っていた。

しかし、そんな私も今年で48歳。息子は学費に加えて毎日コンビニで買い食いして帰ってくる。チビチビだけど1か月で見ると結構金がかかる。

一方、母は83歳。健在で一人暮らししているが、そろそろ何かあってもおかしくない年齢だ。

この50代という世代は、子どもに金がかかり、親の心配も必要になり、さらに自分の来たる老後にも思いを馳せなくてはいけない、板挟み世代。お金に関しては「三重苦」なわけだ。

「老後の資金がありません!」はその三重苦をしっかり描いていて、リアルなあるあるエピソードが満載だ。こうなったら最悪、なエピソードがモリモリに盛り込まれているので、ついついのめりこんでしまう。

娘に連れてきてほしくない男、ワースト1登場


本作の主人公、天海祐希演じる後藤篤子の娘はフリーター。そんな娘がある日突然、「自称ミュージシャン」な男を連れてきてしまい、結婚すると言い出す。しかも妊娠して反対もできない。蒼白になる両親をよそに、娘はめちゃくちゃ幸せそう。

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©2021映画『老後の資金がありません!』製作委員会


・・・全国の娘を持つ母が思い描く「最悪のパターン」だろう。

こんな感じのヤバいエピソードが盛りだくさんで、ついつい見栄を張って、葬儀屋に痛いところを突かれて大出費に終わるお葬式や、浪費家のキョーレツで困った義母の登場など、頭痛の種のオンパレード。

現実問題、笑えない話なのだが、そこを徹底的にコメディにして、テンポよく笑わせてくれるので、「あるある~」な感じでライトに入っていける。

笑えるシーンやエピソードはたくさんあるのだが、これを全部書いてしまうとネタバレ全開になってしまうので、いろいろ書きたくてうずうずしているが我慢しておく。そのうちネタバレバージョンのレビューをアップして、思いっきりあのシーンが爆笑!とか書いてみたいと思っているが、今回はまだ公開中なのでガマン。

詳しいことは書かないが、この不安定な世の中で、自分の身に迫りくる現実を笑い飛ばせる上に、あったかい気持ちになって、観た後には自分がどんな人生を送りたいか?をしっかり考えさせられる秀作だ。

裏の主役は草笛光子

この映画は一応天海祐希が主役なのだが、裏の主役は草笛光子。ダントツ草笛光子。ぜったい草笛光子。最高だ。

昔は絶世の美人女優さんで、最近はいい味出してるマダムという印象だった草笛光子だが、この役で大好きな女優さんになった。美人の大女優でお高くとまっている印象をぶち壊したこの仕事で、今後、彼女の役の幅はめちゃくちゃ広がるんじゃないだろうか。

脇を固める俳優陣の松重豊も素敵すぎるし、さりげなく強烈な竜雷太、藤田弓子、そしてちょっと忘れてたけど、一時期売れてた白目ピスタチオ、最近見かけないスリムクラブとか懐かしい芸人、そしてナイスすぎる演技を炸裂させた三谷幸喜と、飽きないキャスティング。そこはさすがTBS。テレビ制作会社が入ると、キャスティングが惜しみない。

とにかく見ていて飽きないし、テンポよく進むので、楽しい時間があっという間。なのに最後はホロリと泣ける落としどころが申し分ない。

全然貧乏に見えない「あえての天海祐希」


ちなみに主人公の天海祐希は、どこにでもいる50代の主婦設定なのだが、どう考えてもこんな美人でシュッとしてる人が所帯じみた主婦なわけがない。

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地味なシャツを着ても美しさが際立ってしまい、演技は面白おかしくやっているけど、どう見ても、貯金がなくて困ってて、毎日豚もやし鍋食べて、ボウリング1ゲームだけやって節約してる人には見えない。

完全なミスキャストか??と思いきや、よく考えてみたら、もしこの役を本気で所帯じみてしまう女優さんがやったら、絶対に笑えないだろうと思った。現実問題がリアルすぎて、所帯じみた女優さんがやったら、ドンヨリしてしまうだろう。

たとえば田中裕子みたいな、地味で貧乏な役をやらせると、とんでもなくハマってしまう人がやったら、ほんとにしんどくて笑えないだろう。

だから、美しすぎる「あえての天海祐希」がハマっていたのだ。

自分はどう生きたいかを考えさせられる


そんな絶妙なキャスティングでさまざまな事件が巻き起こるドタバタコメディなのだが、そのストーリーの中でも、自分はこの先、どういう風に、何に価値を置いて生きたいか?をしっかり考えさせてくれる良作でもある。

いろんな選択肢があって、その中に「うん、それいいね。わたしもそう生きたいな。」って思う生き方の提案もあったりして、明るい気持ちになる。

見栄を張って、目先のお金に不安ばかり抱いて、お金に振り回される人生より、人生を楽しめる工夫をして生きたいなと思える。

そんな夢想をしつつ、とはいえ、やっぱりお金はないと立ち行かないし、年齢で仕事に制約が出てくるという現実もじわじわ感じるお年頃で、そこが揺れ動くアラフィフ世代の主婦。

50代になると仕事も選べなくなってくる


ちょうど最近、違うパートを探そうといくつか応募したのだが、今までのキャリアを経歴書にして出したら逆にドン引かれてしまったり、どちらかというと余計な主張はせずに言われたことやる人が欲しいんだな、と感じることがあった。

息子は14歳。もう14歳だけど、まだ14歳の部分もあって、手がかかる。主婦の宿命、晩御飯もルーティンに入っている。だからやっぱりフルタイムでがっつり正社員で仕事を探すのは抵抗があるので、結局探すのはパート職だ。けれどパートに求められる仕事のほとんどは、余計な主張はいらない仕事だ。自分の機転は活かせても、キャリアを活かして仕事を選ぶというのは現実難しいということを思い知らされた。

アラフィフでもまだまだ若いつもりだったけど、世間的に見たら、パートだって60歳くらいまでが限界だろう。今の立ち仕事だってずっと続けるのはキツイ。だからって仕事を変えるのもタイムリミットがある。

わたしは息子に自分の面倒をかけたくないし、そのためには自分で自分の食い扶持くらいは稼げるようになっていなければならない。

もちろん旦那の年金もあるが、なんというか、専業主婦時代の経験から、それだけを頼っていてはいけないな、という気持ちがある。

だが現実がこのように、せいぜいパート止まりで60過ぎたらパートも微妙、となると、微々たる年金でチマチマ生活するしかない。

人生経験が活きる仕事をこれからの10年で探す


そう考えると、今から「歳をとっても稼げる何か」を準備しておく必要があるなと思った。今までの経験が活きて、婆さんが婆さんであることの価値を活かせる何かを、この10年で見つけて、積み上げていく必要があるなと実感した。

そんな仕事、何があるだろう?

熟したほうが良い仕事ができることは何だろう?

そう考えると、俳優さんや漫画家、作家などは、年齢を追うごとに熟成されていく仕事だなぁと思う。ちょうど訃報が届いた瀬戸内寂聴さんも作家だったが、晩年は人生相談やら講演で、若かりし頃の激しい経験に加え、老いてこその熟練アドバイスが仕事になっていた。もちろん、その職業につけばすべての人が熟練になるわけではないが、比較的息の長い仕事だなと思う。

そんな感じの方向性で、たとえば自分の得意な部分を使っていろいろやってみて、よさげな部分をまた伸ばす、という試行錯誤をやっていけば、手ぶらでパートにいそしむよりも、違う10年後が待っているような気がする。

たとえば私がいまやっている「書く」こと。書けば書くほど語彙が増え、経験値が増える。老眼と肩こりはひどくなるだろうが、音声入力もできるし、なんとかなるだろう。

たとえば今までの経験を棚卸して、カウンセラー的な何かをやってみるのもいいかなと思う。一時期SNS起業もかじったので、集客をするために何をすればよいのかはある程度わかっている。

そうやって、自分の身に起こっていることを客観視させてくれて、老後の自分のことまで考えさせてくれる映画って、意外とないと思う。

どう生きるか?はどう死ぬか?につながっている


生き方は、死に方につながっているなと思う。

人は、生まれたら必ず死ぬのだ。
人生100年としても、50で折り返し。人生の午後にさしかかっている今、美しいデクレッシェンドを描いていきたいなぁと憧れを持つ。

そして、どんな婆さんになりたいか?を考えたときに、この映画に出てくる草笛光子みたいなカッコいい婆さんになりたいなと思う。

だからこそ、今できることは何か?今を楽しみながら、人生の午後を楽しむための工夫をして、毎日を過ごしていこうと思う。

明日はわたしの48歳の誕生日。
まずは明日からまた新たな1年を踏み出していこうと思う。

今日もお読みくださりありがとうございました!





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