見出し画像

<ラグビー>2022~23シーズン、インターナショナルラグビー及び日本代表関連等

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 日本ではリーグワンが終わり、大学の交流戦があるものの、ひとまずメジャーなラグビーはお休み。次は7月のテストマッチとザ・ラグビーチャンピオンシップ、そして9月にはいよいよRWCフランス大会が開幕する。

 ところで、「100分で名著」の「ヘーゲル精神現象学」は、22日で最終回となったが、政治と社会科学の教科書として理解する終わり方だった。しかしそれは、私が期待したものとは正反対だった。弁証法とアウフヘーヴェン(止揚)というのは、純粋な論理学としての哲学用語だと私は理解しているが、それが目の前の政治をどうやるか、人は社会のコミュニケーションをどうとるかといった、現実的な人生論になっていた(なお、カントの最大の失敗は、自分の哲学を現実の政治に関係させようとしたことだと思っている。これはサルトルも同じだが、ハイデッカーは、ナチズムに利用されたこともあり、距離を置いたのが正解だった)。

 私が哲学に求めているのは、こうした人生論や社会論ではなくて、「人はどういう生き物なのか」、「私とは何か」、「自己と他者との関係」、「言葉とはなにか」、「心とはなにか」、「精神とは?」、「神という概念はなぜ浮上するのか」といった、どちらかというと心理学や精神分析学が近い分野なので、世間一般から見れば、「霞を喰う仙人」の如く浮世離れした方向性になっている。・・・実際、霞(と酒?)だけで生きられたら、どんなに良いかと願っているのだが。

1.スーパーラグビーパシフィック第14週結果

 スーパーラグビーパシフィックのレギュラーシーズンも、今週と来週で終わり、トップ8チームによるプレーオフに入る。チーフス、ブランビーズ、クルセイダーズ、ブルーズ、ハリケーンズの5チームは、プレーオフ進出がほぼ確定している。また、モアナパシフィカは、プレーオフ進出は無理な最下位にいる。

 そのため、今週と来週のゲームは、残る3チームのプレーオフ枠をめぐって、ハイランダーズ、レッズ、レベルズ、ウェスタンフォース、フィジードルア、ワラターズの6チームの戦いが注目される。私的予想では、ハイランダーズ、レベルズ、フィジードルアが入るのではないかと予想している。
 
 5月27日時点での、プレーオフ出場チームと対戦予定(左側がホーム)。

 チーフス(1位確定)対ハイランダーズ、クルセイダーズ対レッズ、ブルーズ対ワラターズ、ブランビーズ対ハリケーンズ。このままなら、3試合がNZ勢対オーストラリア勢の対戦となり、もしNZが全勝すれば、準決勝はNZ勢同士の対戦となる。

ハイランダーズ35-30レッズ

 順当ならハイランダーズがプレーオフに向けて前進する。もしプレーオフに進出しない、または進出してもホームゲームがない場合は、SHアーロン・スミスがフォーサイスバー・スタジアムでの最後の試合となる。

 レッズは、SOトム・ライナー、12番CTBジェイムズ・オコナーのBKが機能し、試合開始から連続トライを挙げて、0-14とリードする。その後ハイランダーズも反撃するが、前半を14-21のレッズリードで終える。

 後半に入り、レッズは2つのPGで14-27と点差を拡げるが、ハイランダーズは、この試合がホーム最後となるSHアーロン・スミスの、高速ピンポイントパスで連続してトライを返し、70分には28-27と逆転した。しかし、粘るレッズに75分にPGを入れられて28-30と再逆転されてしまう。だが、スミスの最後を勝利で飾りたいハイランダーズは、後継者となるSHファラウ・ファカタヴァが、80分にゴール前ラックからパスダミーによる値千金の逆転トライを挙げて、35-30の劇的な勝利を決めた。

レベルズ52-14ウェスタンフォース

 ウェスタンフォースは調子を上げているが、地力でレベルズが上回るのでは?

 レベルズは順当に前半を19-7とリードする。後半も先に得点し続け、最後は一方的な試合となって、レベルズが大勝した。

フィジードルア47-46モアナパシフィカ

 誰がどう見ても、ドルアの方が強い。一方、モアナの監督アーロン・メイジャーは、今シーズン終了後に辞任する。

 ホームで強いドルアは、前半17分まで3連続トライして、21-7とリードするが、その後モアナに反撃され、前半を26-24で終える。後半に入ると、再びドルアが先行し、55分に47-27まで点差を拡げる。しかし、ここからモアナが連続トライして、66分には47-41の6点差に迫った。そして79分、ドルアにシンビンが出る絶好のチャンスをモアナが得て、ついに1点差となるトライを挙げる。ここでコンバージョンが決まれば、劇的な大逆転勝利となったのだが、惜しくも外れてモアナは惜敗した。

クルセイダーズ42-18ワラターズ

 優勝を目指すクルセイダーズとしては、ここで負けてはいられない。

 クルセイダーズは、前半12分にシンビンを出したものの、快調に得点し続け、28-8で前半を終える。後半はトライの応酬となったが、ワラターズのコンバージョンが決まらなかったこともあり、実力通りに快勝した。クルセイダーズ13番CTBレスター・ファインガアヌクは、シンビンになった以外は、アタックの中心として大活躍だった。

ブルーズ36-25ハリケーンズ

 総合力ならブルーズだが、ハリケーンズの破壊力が機能すれば、ハリケーンズが勝てる。

 豪雨の中で、両チームともに信じられないミスが連続する混乱状態となり、相手のミスを突いたトライの応酬という不安定なゲームとなった。しかしハリケーンズは、ラインアウト及びゴールキックのミスが影響して、勝てた試合を負けてしまった感が強い。

 一方のブルーズは、WTBマーク・テレアが4トライの大活躍で、彼一人の活躍で勝利を得たようなものだったが、プレーオフのホームゲーム開催(4位以上)へ向けて大きく前進した。

ブランビーズ21-31チーフス

 先週負けたブランビーズは、巻き返しにくるだろうが、チーフスとしてはここで勝っておきたい。もしかすると、決勝の前哨戦になるかも知れない。

 アウェイゲームながら、チーフスは、前半を7-17とリードし、後半は60分までに7-31と勝負を決めて、ブランビーズを一蹴した。チーフスSOの元オールブラックスであるジョシュ・イオアネが良いプレーをした他、21番SHコルティス・ラティマーがインターセプトからトライをするなど、交代出場ながら存在感を見せていた。

2.北半球のクラブ選手権結果等

(1)チャレンジカップ決勝


グラスゴーウォリアーズ19-43ツーロン

 イタリア代表として142キャップを得た、NO.8セルジオ・パリッセは、ツーロンでのこの試合を最後に引退した。39歳だった。

(2)ヨーロッパラグビーチャンピオンズカップ決勝


レンスター26-27ラロッシェル

 ラロッシェルのNO.8グレゴリー・アルドリット、SOアントワーヌ・アストワの二人が勝利に貢献した。今後のフランス代表での活躍が予想される。

(3)ユナイテッドラグビーチャンピオンシップ決勝


ストーマーズ14-19マンスター

 マンスターが12年ぶりとなる大きなタイトルを獲得した。南アフリカの巨人FWを要するストーマーズに、アイルランド代表を多数含むマンスターが勝利したことは、代表レベルでの戦いにも影響すると思われる。

(4)イギリス・プレミアーシップ決勝


サラセンズ35-25セールシャークス

 複数のクラブが財政的に破綻するなど、数々の課題を抱えているプレミア―シップだが、もともと潤沢な資金があるため、高いサラリーの選手を多数抱えているサラセンズが優勝した。

(5)バーバリアンズ48-42ワールドXV

 バーバリアンズは、エディー・ジョーンズが指揮し、7番FLに日本の山本凱(サンゴリアス)、SOにクエード・クーパー(ライナーズ)が入っている。一方のワールドXVは、スティーヴ・ハンセンが指揮し、SOにアダム・ヘイスティングス(スコットランド代表)、14番WTBにイズラエル・フォラウ(D-Rocks)が入っている。

 試合は両チームで14トライ(8T4C-6T6C)が行きかう乱打戦となった。前半33-28、後半15―14と点差は拮抗したものの、バーバリアンズが得点で先行して最後に逃げ切った。バーバリアンズでプレーした、ウェールズLOアルンウィン・ジョーンズは、引退試合を兼ねて2回コンバージョンキックを蹴ったが、いずれも外してしまった。

 ワールドXVでWTBをプレーしたイズラエル・フォラウは、ホモセクシュアルに対する差別発言でオーストラリア協会を解雇された経緯があり(その後母国であるトンガ協会と契約)、この試合ではLGBTQ支援グループからの抗議活動があった。

3.選手の引退、移籍関係ニュース


(1)選手の引退


マチュウ・バスタロー、34歳は、17年間のプレー人生を終えることを発表した。フランス代表のフィジカルに強いCTBとして一時代を築いた選手だった。

〇ウェールズLOアルンウィン・ジョーンズは引退を発表した。テストマッチ170キャップ(このうちブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズが12キャップ)の世界記録を持っている。

〇ウェールズのFLジャスティン・テュプリックも引退を発表している。シックスネーションズ優勝などに貢献した。

(2)選手やコーチの移籍・契約延長

〇元オーストラリア代表監督のデイヴ・レニーは、リーグワンの神戸スティーラーズ監督就任を正式に発表した。レニーは、チーフスで好成績を残した後、現在ワイルドナイツ監督をしているロビー・ディーンズに次ぐ二人目のNZ人監督として、大きな期待とともにワラビーズを指導したが、選手層の薄さもあって勝率38%となり、今年解任されていた。

ウェイン・スミスは、ブラックファーンズとオールブラックスのパフォーマンスコーチ就任を発表した。これは、監督に助言を与える立場のコーチとのこと。スミスは、既にアラン・バンティング監督のブラックファーンズのディレクターオブラグビーに就任していたが、RWC後は、役職を変えることになる。また、次期オールブラックス監督のスコット・ロバートソンとは、カンタベリー・クルセイダーズ・オールブラックスから続く協働関係がある。

〇クルセイダーズ及びオールブラックスWTBのレスター・ファインガアヌクは、今シーズン終了後、NZ協会との契約を延長しないことを決めたとの報道がある。おそらく、フランスのツーロン、リヨン、クレルモンのいずれかに移籍すると見られている。ファインガアヌクは、現在スーパーラグビーパシフィックでチーフスのショーン・スティーヴンソンとトップを分け合う、10トライを記録している。

〇オールブラックスのウィル・ジョーダンが2017年まで契約延長

 オールブラックスの21試合で21トライを記録している、スーパートライゲッターのウィル・ジョーダン、25歳は、2027年(次のRWCオーストラリア大会)までクルセイダーズ、オールブラックスとの契約を延長した。かつてのダグ・ハウレット、ジョー・ロコゾコ、ジュリアン・サヴェアに並ぶこの快速WTB/FBは、オールブラックスにとって大きな得点源であるばかりでなく、次のWR選出の最優秀選手になるチャンスを待っている。

4.南アフリカのトレーニングスコッド発表


 南アフリカのジャック・ニーナバー監督は、ザ・ラグビーチャンピオンシップに向けた33人のスコッドを発表した。

FW19人:トーマス・デュトイ、スティーヴン・キッショフ、フラン・マルアーブ、オックス・ニチェ、ジョセフ・ドウェバ、マルコム・マルクス、ボンギ・ムボナンビ、ルード・デヤーガー、エベン・エツベス、マーヴィン・オリー、RG・スナイマン、ピーター・スティフデュトイ、シヤ・コリシ、エヴァン・ルース、クワッガ・スミス、マルコ・ファンスタッデン、デュアン・ファルミューレン、デオン・フーリー、フランコ・モスタート
BK14人:ファフ・デクラーク、ジェイデン・ヘンドリクス、ハースケル・ヤンチース、コブス・ライナッハ、グラント・ウィリアムス、マニー・リボック、ダミアン・ウィルムゼ、ルッカンヨ・アーム、ダミアン・デアレンデ、ジェシー・クリエル、カートリー・アレンゼ、ウィリー・ルルー、マカゾレ・マピンピ、カナン・ムーディー

 URC優勝のマンスターで活躍したLOのRG・スナイマンが復帰し、負けたストーマーズでプレーした、PRスティーヴン・キッショフとフラン・マルアーブ、HOジョセフ・ドウェバ、LOマーヴィン・オリー、NO.8エヴァン・ルース、SOマニー・リボック、FBダミアン・ウィルムゼが入っている。また、日本からのマルコム・マルクスなど6人を含む、多数の海外からの選手がスコッド入りしている。

 なお、怪我で欠場しているキャプテンのFLシヤ・コリシ、LOエベン・エツベス、SHジェイデン・ヘンドリクス、PRトーマス・デュトイらは、怪我からの復帰待ちの状態となっている。また、イングランドプレミアーシップでプレーする、SOアンドレ・ポラード、CTBアンドレ・エスターハイゼン、FLジャスパー・ウィーゼは、プレミアーシップが終了したため、今後追加招集される予定。

5.スティーヴ・ハンセン元オールブラックス監督のRWC予想など


 オールブラックス監督として2011年と2015年のRWCを連覇し、現在リーグワンのトヨタヴェルブリッツの指導をしているスティーヴ・ハンセンが、今週トウィッケナムで行うバーバリアンズ(エディー・ジョーンズ監督)対ワールドXVのエキジビションマッチで、ワールドXVの監督を担当する機会を前に、メディアのインタビューに答えた。

 それによると、フランスRWCのプール分けで最も良いポジションにいるのは、オーストラリア(プールC:ウェールズ、フィジー、ジョージア、ポルトガル)とイングランド(プールD:日本、アルゼンチン、サモア、チリ)の2チームで、決勝トーナメントに入る前に、優勝候補と見られる強豪チームとの対戦を避けられる上に、これらのチームがつぶし合いをしてくれることが好条件になると述べている。

 しかし、オーストラリアとイングランドが優勝する可能性は低いと予想している一方、優勝候補としては、下馬評通りにアイルランドとフランスを挙げている他、南アフリカとオールブラックスを含めた4チームのいずれかではないかと見ている。

 なお、ワールドXVには、2019年に同性愛者差別発言をしたことを理由に、オーストラリア協会から解雇されたイズラエル・フォラウをスコッドに入れている。これに対して、ハンセンは、何ら同性愛者差別を助長するような理由はなく、ただフォラウが優れたラグビー選手であることを理由にしただけと説明している。

6.U20日本代表52-46NZU(ニュージーランド大学選抜)

 無料試合ということで、27日、秩父宮へ友達と観戦しにいった、その簡単な試合経過と感想は以下のとおり。

 メインスタンドのみの使用だったが、好天に恵まれたこともあり、けっこう観客が入っていた。スタンドのあちらこちらには、U20代表入りした選手の大学の仲間や父母らしき姿が多数見えた。また、隣の神宮球場では六大学野球の早慶戦が行われており、そちらの方の人出は昔から変わらず非常に多く、地下鉄外苑前駅は大混雑だった。

ハカ

試合経過:
全体を通じてトライを取り合う乱打戦となり、前半を21-20としたU20の1点差リードで終える。後半に入り、57分までにNZUが28-39と逆転したが、その後U20が巻き返し、62分には35-39の4点差に迫った。そして71分、NZUに反則の繰り返しによるシンビンが出て、U20は数的有利を得る。PKのあった中央ゴール前5mのスクラムをNZUがつぶした結果、U20はペナルティートライを得て、42-39と再逆転した。その後、U20は連続トライで引き離しにかかったが、77分にシンビンが明けて15人揃ったNZUからトライを返されて、52-46まで迫られる。残り3分をU20は粘り、最後はマイボールのスクラムからSHが蹴りだしてノーサイドになった。

ラックの攻防
NZUの5分、アシのトライ
日本の62分、矢崎のトライ

感想:
NZU(州代表の下部組織であるクラブチームには、NZの各国立大学による「ユニヴァーシティ(略してヴァーシティ)」クラブがあり、そこから選出したメンバーによる混成チームがNZUである。チームは長い歴史を持ち、かつてはオールブラックスに次ぐ実力もあったが、ラグビーのプロ化に伴い州代表下部クラスの実力になっていると見られる)の力量がよくわからなかったので、U20がどこまでやれるかが心配だった。しかし、とりあえず勝てて良かったというのが、正直なところ。ただし勝利できた理由は、後半68分にNZUにシンビンが出た影響が大きく、もし15人対15人で最後まで戦っていたら、どちらが勝つかわからないゲームだった。

 プレー内容は、やはり個々のディフェンスが弱く感じられたほか、外側のラインディフェンスも弱い感じがした。アタックはNZUにイージーミスが目立ったことが幸いした印象があり、もし相手のディフェンスが整備されていれば、これほどトライは取れなかったと思う。個々の選手では、SO楢本幹志朗のゴールキックは良かった。一方NZUのSOブレアー・マレーのキックはミスが目立っていた。アタックでは、U20の6番FL小林典大、23番WTB矢崎由高、NZUのHOテアリキ・テプニ、11番WTBジェレマイア・アシが、それぞれ良かったと思う。

7.日本代表及び候補の発表について

 5月24日、日本代表36人及び候補10人を日本協会が発表した。7月のテストマッチ月間に向けてのスコッド決定であり、この中からセレクションを重ねていくことでRWCへ向かう最終スコッドが決まる。

 今回発表された46人は、ジェイミー・ジョセフ監督の構想するチームに必要な選手ということでセレクションされているので、私のような部外者があれこれ言うのはおこがましいが、それでもラグビー好きにとっての楽しみのひとつは、この代表スコッド選びでもあるので、恣意的なコメントをさせていただく。

 まず評価したいのは、FL福井翔太が入ったことだ。この働き者の万能プレヤーを今ここでスコッド入りさせることは、マイケル・リーチから次の世代に引く次ぐためにとても重要なことだと思う。そう、私は「次のリーチ」は福井翔太だと思っている。

 それから、「なんで入れてないのだ?」という選手たちについて。まずFB野口竜司。キック全盛の現代ラグビーの中で、ハイボールマスターともいうべきハイボールキャッチの名手というだけでなく、カウンターアタックにも長けたこの選手をスコッドに入れないことは、絶対にRWCで後悔すると思う。かつてオールブラックスは、数多くいるWTB候補のなかから、ハイボールに強いという理由でコリー・ジェーンを選んだ結果、2011年RWC優勝を勝ち得た。これと同じことが野口のスコッド入りにあると見ている。

 次に、稀代の万能フットボーラー(ファンタジスタ)であるSO山沢拓也が入っていないことは、とても不思議だ。たしかに過去のRWCでは、カルロス・スペンサーやクエード・クーパーのような、スキルフルな選手は活躍できず、グラント・フォックス、マイケル・ライナー、ヨエル・ストランスキー、スティーヴン・ラーカム、ジョニー・ウィルキンソン、ブッチ・ジェイムズらの、ひたすらパスあるいはキックに専念するSOが優勝チームにいた。しかし、ダニエル・カーターという素晴らしい例外もあり、スキルに長けたフットボーラーがRWCに向かないという理由はない。日本ラグビーが得た貴重な才能である山沢拓也を起用しないことは、ラグビーというスポーツの可能性を不当に制限しているとさえ思う。

 最後にリーグワンのトライ王であるWTB尾崎晟也だ。2019年RWCで活躍した福岡堅樹が去り、松島幸太朗が全盛期を過ぎている今、日本に必要なのはトライを取れるスキルのある選手だ。そのためには、尾崎晟也のような選手を入れることが必要であり、また現在選手としての全盛期を迎えているため、2015年RWC優勝のオールブラックスで彗星の如く活躍した、WTBネヘ・ミルナースカッダーのような存在になれるポテンシャルを持っていると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?