見出し画像

<ラグビー>2023ラグビーワールドカップ(開幕前週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 過去のRWCのベストゲーム及びベストシーンは、1995年南アフリカ大会準決勝で、オールブラックスの伝説的怪物WTBジョナ・ロムーが、イングランドの選手を次々とぶっ飛ばしてトライを取ったもの以外にはない。これに次ぐのは、2015年イングランド大会準々決勝で、オールブラックスの巨漢WTBジュリアン・サヴェアが、フランスの選手を次々とぶっ飛ばしてトライを取ったものだ。この二つはほんとうにラグビーの面白さ、楽しさ、素晴らしさを濃縮した「これぞ!ラグビー!」と言うべき最高のシーンだった。

 ところで、2019年日本大会は、初めて優勝チームが全勝でなかった大会だった。そして、1位南アフリカ、2位イングランド、3位オールブラックスは、いずれも1敗している他、オールブラックスは南アフリカに勝ち、イングランドはオールブラックスに勝ち、南アフリカはイングランドに勝ったという、三すくみ状態だった。そして、戦う順番が違っていたから、南アフリカの優勝になったのだと思う。また、もう一回同じ対戦をしたら、オールブラックスが圧勝していたと確信している。

 それから2019年大会は、決勝が南アフリカ対イングランドになったように、キックとFWに長けたチームが優勢だった大会だった。これは、2003年及び2007年大会のように、まったくラグビーの面白さをスポイルするものなので、今年は是非、2011年や2015年のように、パス&ランでトライを取り合う大会にしてもらいたい。またそうなれば、オールブラックス、ワラビーズ、ウェールズ、フィジー、日本が活躍し、南アフリカ、イングランド、スコットランド、フランス、アルゼンチン、ジョージアは活躍できないだろう。アイルランドはその中間か。


1.RWC関係のニュースなどなど

(1)日本代表スコッドの入れ替え

 LOヘル・ウヴェとCTB中野将伍の二人がコンディション不良により外れ、LOアマト・ファカタヴァとFL下川甲嗣が入った。

(私見)
 FWは良いとしても、BKはCTBが一人減ることになって大丈夫だろうか?現状でもBKにフレアーある選手がいないため、得点力が落ちている。もっとフレアーとスキルの高い選手と入れ替えるべきではないのか?

(2)スコット・バレットは出場停止処分はなし

 南アフリカ戦で2回のシンビンを受けたためレッドカードに格上げされた、オールブラックスのLOスコット・バレットは、悪質な反則は確認されないため、出場停止処分を課されないこととなった。またこの結果、RWC初戦のフランス戦への出場は可能となった。

 オールブラックスは、LOブロディー・レタリックとFL(LOもプレー可)シャノン・フリッゼルを怪我で欠いているため、スコット・バレットが欠場となった場合は、LOの選手がサムエル・ホワイトロック、ツポウ・ヴァアイ、ジョシュ・ロードのわずか3人になる可能性があったのを避けられた。

 また、南アフリカ戦で脛を30針縫う怪我を負ったPRタイレル・ローマックスについては、南アフリカFBダミアン・ウィルムゼのスパイクによるものと確認されたが、故意によるものではないと判断された。

(私見)
 ウィルムゼのローマックスに対するスパイク行為は、故意ではないとしても、ボーデン・バレットも似たような怪我をしたとのニュースがあったので、無罪放免とすることは良くないのではないか。一般的な認識では、ラグビーのスパイク(ポイント)は尖っていないため、切り傷を負うことはないが、この南アフリカが圧勝した試合で、こうしたことが発生したのは小さな問題ではないと考える。可能な限り、試合前のポイント(スパイク)の確認を厳重に実施すべきではないか。

 私が大昔NZで(ソーシャルグレードと称される同好会レベルの)クラブラグビーの試合をプレーしていたとき、試合前にレフェリーはポイントの確認を忘れずにしていた。私が日本から持ってきたスズキ製は、当時つま先の下にストッパーがあったので、⦅次回の試合では⦆これを取ってくれと言われたことがある(また、ポイントはアルミ製だった。これは砂地でプレーすると擦れて尖ってくる問題があったが、NZはどのグランドも天然芝だったので問題なかった)。そのため、NZで売っていたアディダス製に買い替えたことがある。当時のアディダスは、前が4本、後ろが2本のポイントで、いずれもプラスティック製だった。

(3)元スコットランド監督は、南アフリカのリザーブFW7人を批判

 元スコットランド監督のマット・ウィリアムスは、先のオールブラックス戦で南アフリカが取った、リザーブ8人のうち7人をFWにし、BKを1人だけにしたことに対して、「ラグビー精神をスポイルし、選手の健康を損なうものだ」、「WRは、リザーブには最低3人のBKを入れるよう推奨している」と述べ、強く批判した。

(追記1)エディー・ジョーンズは、リザーブの7人FWを称賛

 オーストラリア監督のエディー・ジョーンズは、他チームのことについての発言も自チーム同様に多いが、南アフリカがリザーブ8人中7人をFWにしたことに対して、「激しいFW戦に対抗するのは当然だ」、「伝統になっている5人FWと3人BKは、誰が決めた?ラグビーはいろいろなやり方がある」、「南アフリカが自分たちのやりたいことをやった、その勇気を称えたい。またこれは素晴らしい発明だ」と絶賛している。

(私見)
 このコメントから推測すれば、オーストラリアも7人FWあるいはリザーブ全員がFWということを、FWの強いジョージアやウェールズ相手にやってくるかも知れない。

(4)バーバリアンズのスコッド発表


 バーバリアンズは、RWCと並行して、英国及びフランスのクラブチームと試合を行うが、その25人のスコッドを、ジェイソン・ギルモア、べーリック・バーンズ、ネイサン・グレイ、ローリー・フィッシャーというオーストラリア人コーチ団が選出した。オーストラリア代表経験者が13人、日本代表経験者が5人いるという珍しい体勢になっている。

 その背景には、同時期に開催するRWCで、オーストラリア代表及び日本代表に欠員が出た場合、バーバリアンズから補充するということを意味しており、日本代表には既にFL下川甲嗣が招集されている。なお日本からは、下川の他にPR小林賢太、HO中村駿太、LOファウラ・マキシ、SH茂野海人、FB山中亮平、CTBニコラス・マッカラン、WTB高橋汰地が入っている。

 オーストラリアからは、先週ポルトガル代表に30-17で勝利したものの、前半は12-14と劣勢だったオーストラリアAから、FLピート・サム及びSOバーナード・フォリーを除いた先発した選手全員が含まれており、SOジェイムズ・オコナー、CTBハンター・パイサミ、FBトム・ライト、LOラッカン・サラカイアロト、FLハリー・ウィルソンらがいる。

バーバリアンズのスコッドは以下のとおり

FW14人
ジョシュ・カンハム(オーストラリアA)、ハリー・ジョンソンホームズ(ワラターズ)、小林賢太(東京サンゴリアス)、トム・ランバート(ワラターズ)、ラクラン・ロナーガン(オーストラリア)、ファウラ・マキシ(神戸スティーラーズ)、中村駿太(東京サンゴリアス)、ケイデン・ネヴィル(オーストラリア)、ラッカン・サラカイアロト(オーストラリア)、下川甲嗣(東京サンゴリアス)、ラクラン・スウィントン(オーストラリア)、サム・タラカイ(オーストラリア)、セル・ウル(オーストラリアA)、ハリー・ウィルソン(オーストラリア)

BK11人
ラクラン・アンダーソン(オーストラリアA)、フィリポ・ダウグヌ(オーストラリア)、ライアン・ロナーガン(オーストラリアA)、ニコラス・マッカラン(東芝ブレイブルーパス)、ジェイムズ・オコナー(オーストラリア)、ハンター・パイサミ(オーストラリア)、ディラン・ピーチ(オーストラリアA)、茂野海人(トヨタヴェルブリッツ)、高橋汰地(トヨタヴェルブリッツ)、トム・ライト(オーストラリア)、山中亮平(神戸スティーラーズ)

 試合予定は、9月2日ノーザンプトン、7日ブリストル、16日スカーレッツ、23日ペルピニャン、30日グロスター、10月7日ハーレクイーンとなっており、初戦のノーザンプトンには、元イングランド代表SOダニー・シプリアーニ、元ウェールズ代表SOオウウェン・ウィリアムス、元南アフリカ代表SHフランソワ・ホーハートらがいる。

(5)エディー・ジョーンズが、オーストラリアメディアとの「最悪の記者会見」を弁明


 オーストラリア監督エディー・ジョーンズは、今年NZ人のデイヴ・レニー前オーストラリア監督から代表チームを引き継いだが、強豪相手の対戦が続いていることもあり、5戦全敗となっている。一方、RWCに向けた33人のスコッドからは、ベテランSOクエード・クーパーや、長年キャプテンとしてチームに貢献してきたFLマイケル・フーパーを切り捨て、キャップ数が一桁の若手を多数起用して、「ベイビーワラビーズ」ともいうべき陣容にした。

 これに対して、オーストラリアのメディアや元ワラビーズ関係者からは多くの批判が出ている。そうした中で、RWCに向けて出発するオーストラリアの空港で取材した記者団から、辛辣な質問を受けたことにジョーンズは激昂して、「世界のラグビー界でこれまでなかった、最悪の記者会見をありがとう。よくやりました。こんな酷いものは見たことがない」と怒りをまき散らし、また会見の場から立ち去るときに、記者団に対して「自分たちに向けて、アッパーカットしなさい」と捨てセリフを置いていったことが話題になった。

 フランス到着後にジョーンズは、フランスのメディアからこの「最悪の記者会見」について質問されたことに対して、概要以下のように弁明している。

「(会見は)ちょっと面白かったね、(自分としては)チームを守りたかったんだ」
「我々はチームの面倒をみなければならない一方、チームには若手のグループがある。そして彼ら(若手の)選手たちには、ファンが応援していることを感じて欲しかった」
「(記者会見は)後悔は全くしていない・・・、自分にできるだけ正直にしようとした、自分の気持ちと感情に正直に、つまりその時自分がどう感じたかだった」

(フランス戦大敗について)
「我々の最良の時はフランスよりも良かったが、最悪のときはフランスよりも悪かった」
「一貫性(継続)に尽きる。簡単なことを継続すること。そして現時点では、その力を持っていないが、少しずつ獲得している」

「我々はさらに継続性を得ていく。そうしたことでメンタルの強さを得られるし、また困難な状況でチームとして共に戦うこと、さらにプレッシャーの下でスキルを繰り返し(発揮)できる力を得られる」

「トレーニングは(そうした力を得ることへ)進むための道のり(課程)であり、今我々は(目標に達成)できるという、とても楽観的な気分でトレーニングしていると言いたい。そうしてRWC優勝を勝ち取った時は、(チームは)最高の状態になっているだろう」

ジョーンズの「最悪の記者会見」の詳細を報じたニュース

(私見)
 私はこの方のような上司の下で、仕事は絶対にしたくない。また、激しく上下する気分をそのまま言動に反映する方とのお付き合いも、なかなか難しい。・・・一方、メディア的には話題を沢山提供してくれるので、とても良いタレントだと思う。これからは現場を離れて、メディアの世界で活躍された方がよいのではないか。

(6)エディー・ジョーンズが、イングランド協会を批判


 オーストラリア監督エディー・ジョーンズは、BBCラジオのインタヴューで、自らが首になったイングランド代表の現在の不振について言及し、現監督のスティーヴ・ボーズウィックではなく、イングランド協会に責任があると強調している。

 その発言は以下のとおり。
「イングランドの過去5試合の結果からは、・・・レベルの高い選手を生み出していない」
「そして、誰もが監督に注目して、『監督を叩け』と言う。しかしレベルの高い選手を生み出す責任は、イングランド協会にある。そして協会はそれができずにいる」

「なぜ才能ある選手を持てないのかと考えるのであれば、自チームの才能ある選手の育成システムが機能していないことへ目を向けることになる」
「システムが良くないのだ。そのための変革には何が必要か、どこに問題があるのか?その責任はイングランド協会にある」

「(イングランドのような)年齢の高いチームを持っていることは、スポーツを知る者なら誰でもわかることだ。そして、新たな選手を入れることになる」
「数人の選手はそれがうまくいっている。例えば(FBの)フレディー・スチュアートだ。他の選手たちは、自分たちの居場所を探している。(例えばSOの)マーカス・スミスのように」

「彼ら(ビリー・ヴニポラとオウウェン・ファレル)はチームを心配している。ビリーは、自分のゲームを、チームを、そして国を心配している。オウウェンもそうだ。ときどき試合では、想定外のプレーが出てしまう状況がある。そしてそれらは結果を伴うことになる」
「こうした状況は、(プレーの)判断や意思決定のミスによるものだ。状況を間違ってとらえた結果、その罰を受けているのだ」

(私見)
 もう自分が首になった過去の職場の業績不振について、とやかく言うことはないと思うが、自分が首になったことに対する弁解と(イングランド協会に対する)反論ではないだろうか。しかし、もしイングランドが活躍したら、今度は(自分の子分でもある)ボーズウィック監督の手腕を絶賛するのだろうか?いや、2019年の日本のように、自分の成果を誇るのだろう、たぶん。

(7)プラネットラグビーによる暫定順位


 プラネットラグビーが、現時点でのRWC参加20ヶ国の実力を評価した順位を掲載している。それによると、1位南アフリカ、2位フランス、3位アイルランド、4位オールブラックスとほぼWCランキングに比例したものとなっており、日本は14位に評価されている。

全体の順位は以下のとおり。

20位ルーマニア
19位チリ
18位ナミビア
17位ポルトガル
16位ウルグアイ

15位トンガ
14位日本
13位ジョージア
12位イタリア
11位イングランド

10位サモア
9位オーストラリア
8位ウェールズ
7位フィジー
6位アルゼンチン

5位スコットランド
4位オールブラックス
3位アイルランド
2位フランス
1位南アフリカ

(私見)
 こうすると、順位が違うことがそのまま試合結果に反映するような錯覚をしてしまうが、実際に試合をした場合はそうならない場合が多いので、細かな順位付けではなく、大まかなグループ分けをしてみた。そして、グループ内の実力差は少ない一方、グループ間の実力差はかなりあると見ている。

最下位グループ:
グループ内の実力差はまったくなし。下位グループ以上には大敗してしまう。
ルーマニア、チリ、ナミビア、ポルトガル、ウルグアイ

下位グループ:
グループ内の実力差はほぼなし。中位グループまでは良い試合はしても勝つまでは難しい。
トンガ、日本、ジョージア、イタリア、サモア

中位グループ:
下位グループ以下には勝てるが、上位グループには歯が立たない。グループ内で一番強いのはたぶんアルゼンチンで、次がスコットランド。フィジーは波が大きすぎる。
イングランド、オーストラリア、ウェールズ、フィジー、アルゼンチン、スコットランド

上位グループ:
下位グループ以下には絶対に勝ち、中位グループにもほぼ勝つ。グループ内の対戦は反則(レッドカード等)が影響する接戦となる。一応全て優勝候補に挙がる。
オールブラックス、アイルランド、フランス、南アフリカ

 ベスト8は、予選プールの組み分けの関係から、上位グループ4チームとオーストラリア、ウェールズ、フィジー、アルゼンチン。残念ながら、日本、イングランド、スコットランドは予選敗退を予想している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?