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<ラグビー>ザ・ラグビーチャンピオンシップ(オールブラックス対スプリングボクス)第2テスト,プレビュー

スプリングボクス対オールブラックス

日時:2021年10月2日(土)20:05キックオフ
場所:シーバススーパー・スタジアム,ゴールドコースト
レフェリー:マシュウ・カーレイ(イングランド)
アシスタントレフェリー1: ダーモン・マーフィー(オーストラリア)
アシスタントレフェリー2:アンガス・ガードナー(オーストラリア)
TMO:ジェイムズ・レッキー(オーストラリア)

オールブラックス:( )内はキャップ数
ジョー・ムーディ(53)、コーディ・テイラー(63)、ネポ・ラウララ(36)、ブロディー・レタリック(88)、スコット・バレット(47),アキラ・イオアネ(9)、アーディ・サヴェア(55、キャプテン代行)、ルーク・ジェイコブソン(9)、ブラッド・ウェバー(13)、ボーデン・バレット(97)、リエコ・イオアネ(43),デイヴィット・ハヴィリ(10)、アントン・リエナートブラウン(52)、セヴ・リース(13)、ジョルディ・バレット(31)
(リザーブ)
アサフォ・アウムア(3)、ジョージ・ボウワー(7)、オファ・トゥンガファシ(41)、パトリック・ツイプロツ(40)、イーサン・ブラカッダー(6)、TJ・ペレナラ(74)、リッチー・モウンガ(26)、ダミアン・マッケンジー(36)

スプリングボクス:( )内はキャップ数。
オックス・ニッチェ(5)、ボンギ・ムボナンビ(44)、トレヴァー・ニャカネ(50)、エベン・エツベス(93)、ルード・デヤーガー(52)、シヤ・コリシ(59、キャプテン)、クワッガ・スミス(15)、デュアン・ファルミューレン(57)、ファフ・デクラーク(35)、ハンドレ・ポラード(56、バイスキャプテン)、マカゾレ・マピンピ(21)、ダミアン・デアレンデ(54)、ルッカンヨ・アーム(22)、スブ・ヌコシ(15)、ウィリー・ルルー(69)
(リザーブ)
マルコム・マルクス(42)、スティーヴン・キッショフ(55)、ヴィンセント・コッホ(27)、フランコ・モスタート(47)、ジャスパー・ウィーゼ(7)、ハースケル・ヤンチース(17)、エルトン・ヤンチース(40)、フランス・ステイン(70)

プレビュー:
オールブラックスのイアン・フォスター監督は,先週の辛勝したゲームから、先発FWは交代なし(ただし、8番NO.8ルーク・ジェイコブソンが試合直前に病欠したため、イーサン・ブラッカッダーを先発させ、リザーブにホスキンス・ソツツを入れたので、ジェイコブソンは実質メンバー外から戻ったことになる)。リザーブでは、16番HOにサミソニ・タウケイアホに代えてアサフォ・アウムア、17番PRにはカール・ツイヌクアフェに代えたジョージ・ボウワーを、それぞれ入れた。

BKでは、ブレイクダウンでの劣勢が影響したとはいえ、素早いテンポのパス回しが想定したようにできなかったTJ・ペレナラに代えて、9番SHの先発にブラッド・ウェバーを入れ、ペレナラは21番のリザーブに下がった。また、13番CTBにアントン・リエナートブラウンが怪我から復帰し、オールブラックスとしては今シーズンベストのCTBの組み合わせが実現する。

この関係で、リエコ・イオアネが、実力を最も発揮できる11番WTBに移動し、前週の試合でハイボールを落球する致命的なエラーをしたジョージ・ブリッジは、14番WTBだったウィル・ジョーダンとともに、メンバー外となった。また14番WTBには、当初ハイボールに弱いとみられていたセヴ・リースが先発することとなったが、ブリッジやジョーダン以上に安定したハイボール処理が期待される。

また、リッチー・モウンガが妻の出産で欠場していたところから、リザーブの22番SOにようやく復帰してきた。本来であれば、モウンガが先発、ボーデン・バレットが22番に入る構想と思われるが、さすがに復帰初戦であることから、リザーブになった。この関係で、23番だったCTBクイン・ツパエア(前週では、ノーサイド直前の勝ち越し点となるジョルディ・バレットのPGの起点となった、ブレイクダウンでの反則を勝ち取った陰の功労者)がメンバー外となり、22番だったダミアン・マッケンジーが移動した。モウンガがSOのカバーとなるため、マッケンジーはバックスリーのカバーとなる。

フォスター監督は、ザ・ラグビーチャンピオンシップでのグランドスラム(全勝優勝)獲得のため、チームがさらに進化することを期待している。また、「前週のゲームでは多くを学べた。いつものようにボールを扱えず(そのため、ノッコンなどのミスをした)、ラックでは想定したプレーができなかった(そのため、プレーが寸断してしまった)」と述べている。

スプリングボクスのジャック・ニーナバー監督は,3番PRフランス・マルアーブが首の怪我で欠場するため、1番PRトレヴァー・ニャカネを3番に移動し、1番にはオックス・ニッチェを入れた。また、リザーブの20番FLマルコ・ファンスタッデンが肩の怪我で欠場するため、レッドカードで出場停止処分を受けていたジャスパー・ウィーゼを代わりに入れた。これ以外は、前週のメンバーと代わらない。なお、WTBチェスリン・コルビについては、足の怪我から回復しているものの、まだ試合に出る状態ではないため、引き続きメンバー外となった。

ニーナバー監督は、「前週のゲームでは、我々は自分たちの強みを前面に出すことに成功していたので、今週はさらに進化した状態で、自分たちのゲームプランをミス無くプレーしたい」と述べており、今週もFW戦とSHからのボックスキックによって、セットプレーからセットプレーにスローテンポでプレーする、前近代的なラグビーを行い、またブレイクダウンにおいて違法行為すれすれのペースダウンをする、さらに怪我の治療にグランド外に治療する選手を出さないことで、その時間に選手を休息させるなどの、いわゆるプランAを実施するものと思われる。

オールブラックスのSOボーデン・バレットは、現在688得点で700得点の大台に達することが予想される。歴代オールブラックスでは、ダニエル・カーター(1,598得点)、アンドリュウ・マーテンズ(967得点)に次いで3位。しかし、カーターの記録(世界記録)は凄い。

通算対戦成績は、100戦、オールブラックス60勝、スプリングボクス36勝、4引き分け。

前週の僅差となったゲームは,スプリングボクスが自分たちの土俵で,自分達の最も得意とするプレー(セットプレーからセットプレーをキックでつなぎ,常にスキルではなくフィジカルバトルでラグビーをした,まさに「腕相撲」)を,ミス無く最高にやった結果だった。

つまり,スプリングボクスとしては出来る限りのことをやったが,それでもオールブラックスに勝てなかった。そして,ベストのプレーを連続して出来るチームは,歴史上世界のどこにもないので,スプリングボクスは前週以上のプレーはできない。むしろ前週よりプレーのレベルが落ち,さらにミスが多くなることが予想される。

一方のオールブラックスは,自分達が希望しない土俵で,自分達が得意としていないプレーで,多くのミス(湿度が高い気候もあって,予期しないハンドリングエラーが多発した)をし,特にスクラムではレフェリーから一方的に反則を取られ,ラインアウトではポイントになるマイボールラインアウトでスティールされ,フェイズを継続する途中のブレイクダウンでターンオーバーされ,こうした結果1トライしか取れず,想定外のミスでトライを取られながらも,最後に2点差で勝利した。

この結果から見れば,スプリングボクスには前週のプランA(キックとFW戦に徹する)以外にプレーの選択・改良の余地はないが,オールブラックスには,セットプレーやハンドリングなどを筆頭に、改良すべきまた改善できるプレーが多々ある。それは決してスプリングボクスに敵わない領域ではなく,十分修正可能なものなので,確実に今週の再戦では,チーム力が上昇している状態で臨める。また何よりも,2019年以来となる対戦を経て,相手の良い情報が得られたので,より有効な対策を立てられるということだ。

だから,私はオールブラックスの圧勝を予想するし,またそうなることを強く期待している。

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