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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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2020年11月の記事一覧

<芸術一般>俳句について

<芸術一般>俳句について

松尾芭蕉の次の句が、鈴木大拙の「禅と日本文化」に引用されている。

やがて死ぬ けしきはみえず 蝉の声

大拙によれば、この句は人生の無常を意味したものではなく、芭蕉の無意識に対する直覚だという。それはまた、「明日をおそれず、明日に属する事象をおそれぬ、蝉や蝶の内的生命を理解するのである。」と説明している。

日本人は、こうした昆虫や草花に対する擬人的な投影が、芸術作品に多い。

朝顔に 釣瓶取ら

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<芸術一般>映画「シャイニング」について

<芸術一般>映画「シャイニング」について

ちょうどハロウィーンの季節と言うことで、スタンリー・キューブリックの「シャイニング」が、ホラー映画の名作として話題になっているが、何か違和感を禁じ得ない。

まず、題名の「シャイニング」からして、これはホラー映画の意味ではない。主人公の少年や、ホテルの従業員が持っている未来を予知できる特殊な能力を「シャイニング」と表現しているのだから、彼ら2人の存在こそ主役である。そして、映画は彼ら2人を中心に見

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