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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第269話:松茸な夜。

「全員が美味しいという料理はこの世に存在しない」陳建一


 香り松茸味しめじ。
 今夜、ぼくの家の食卓には松茸が並んだ。

 昨日行ったスーパーでなんとあの秋の味覚のキングオブキノコと言われている中国産だったら一本3000円ぐらい、国産だったら一本9000円ぐらいが相場の「一体どこにそんな価値があるんだよへーんだそんなものより松茸のお吸い物の方がよっぽどええわい!」とつい嫉妬から変な文句を言ってしまいそうになるあの松茸お大臣が売っていたのだ。

 そのお値段、一本半額で250円。

 どこ産かって?
 そんなものはどっちでもいいのさ。
 俺は別に松茸なんかに興味がないんだ。
 まあ、でもそこまで言われたら買ってあげてもいいけどね。
 ふーんだ!

 そしてぼくはそっと買い物かごに松茸様を入れたのだった。

 今夜、それを出すことにした。
 というか忘れていた。だからあわてて出すことに。
 ネットで調べながら料理する。
 まずは軽く表面を洗う。次に拭く。んで塩をパラパラとかける。ちょっと待つ。その間にオーブントースターにアルミホイルをしいて余熱を入れておく。松茸様をその上に置く。待つ。水分が出てくる。出す。スダチをちょこんと置く。写メをとる。以上。

 いざ実食。

 手で松茸大名を裂き、そして口の中へ放り込む。
 あー、これこれ!!
 永谷園の松茸のお吸い物の本物のやつじゃん!!

 じゅわっとキノコ汁が溢れ、松茸の香りが口中に広がり、塩とスダチの酸味が程よく味をつけ、それはもうなんとも言えない日本の至高たる味だった。

「うまい!!」

 ぼくはうなった。

「美味しいね!」

 彼女も舌鼓を打つ。

「うーん、あんまり」

 さすが娘! 確かに味は普通だ!

 あっという間に平らげた。ごちそう様。松茸様よ、どうか私の血と肉となり安らかにお眠りください。アーメン。

 さて、松茸をこうして食べたのはもしかしたらぼくは初めてだったかもしてない。ただ250円の激安でも十分美味しかったし、一本で充分満足だった。分かったことは、意外と白ご飯と合わないことと(ぼくはお昼の残りのチャーハンを食べていたけど、、、ごめんね松茸様!)、なんだか日本酒が飲みたくなること、そして焼くより個人的には土瓶蒸しのようが好きだということだ。

 ただ美味しかった。
 本当にそれだけは事実だ。
 うん、さすが王様。
 さすがキングオブ秋。

 松茸を今まで買わなかったのはきっとなにか高級品に対するブロックがあったからで、いざ買ってみるとそれはただの自分の思い込みだったということがよく分かる。

 ありがとう、松茸様。
 また来年お会いしましょう。

松茸より、きみと子供と一緒に食卓を囲んでいることに意味があり、そしてきみと子供が美味しそうにしている顔が何よりのごちそうなんだ。

ぼくは幸せです。

ありがとう。

初めての人生、経験が大切だ。

松茸だって買ってみないと分からない。

もしかしたらもっと高いものはもっと美味しいのかもしれないけど、それはまたいつかの経験のために残しておくとします。

一本9000円かぁ。

それなら焼き肉食べたいぜ!

今日もありがとう。

今年も、残り82日。

またね。

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