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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第276話:きみのとなりで二度寝したい。

「歴史は必ず繰り返す。最初は悲劇として、二度目は茶番劇として」カール・マルクス

 早朝、凛とした空気の中彼女の声で目を覚ます。

「見て、外が真っ白だよ」

 彼女がベランダから手招きしている。ぼくは布団から出ようか迷ったけど、眠たい目を擦りながらなんとか起き上がりベランダに向かった。

 確かに世界が真っ白になっていた。

 どうやら霧が発生しているようで、ベランダから見えるいつの景色が白い壁に阻まれているようで、それは幻想的でありどこか寂しくもありそして美しかった。

「ここは山だから寒くなるとよく霧が出るの」

 引っ越してきて初めての光景だった。ぼくはその景色を見ながら、まるで自分の家だけがどこかの異空間に飛ばされて世界から孤立してしまったんじゃないだろうかと思った。その霧はそれぐらい白く分厚く世界を覆っていたのだ。

 彼女が娘にも声をかける。しかし娘はうーんと唸るだけで一向に起きようとはしない。
 そのうちぼくも再び眠たくなってきたので、そのまま起きていようが悩んだ挙句にもう一度寝ることにした。

「ねえ、となりで寝たい」

 彼女に声をかける。彼女は仕方なさそうに布団に来てくれる。
 いつもは娘を挟んだ川の字で寝ているのだが、なぜか今朝はぼくがものすごく彼女のとなりで、厳密にいえば彼女と触れ合いながらゴロゴロしたくなったので彼女にとなりにきてもらった。

 横になって彼女の手を握る。
 たまにふと顔を彼女に猫のように擦りつけたくなるときがある。自分でも分かっている。もう34歳だ。でも甘えたくなる時がある。あるもんはあるから仕方ない。だから甘える。顔をこすりつける。そしたらなんだかほわっとする。そしてそのまま手を握りながら再び眠りに落ちる。

 その前夜に明日は早起きしようと言っていた。
 そのことを夢の中で思い出す。
 ぼくはパチッと目を開けた。時計を見る。うん、もう一度寝よう。それを延々と繰り返して、そのうちに娘が起き始めてテレビのアニメを観だす音が聞こえてきた。
 頭の中ではもうそろそろ起きないと、とは思っているのに、となりに彼女が寝ているせいか気持ちよすぎて例え今大金を貰ったとして「こりゃ起きれないよてやんでい」という状態だった。

 大人だって男だって甘えたいときはある。
 動物だもん。
 きっと本能に刻まれているんだ。

 いや、もしそうじゃなくても構わない。
 本能にも科学的にもスピリチュアル的にも大人で男が甘えるのはおかしいぞ、それは病気かただの変態だ! と言われても構やしない。

 そうだ、ぼくは病的に変態として生きていく覚悟がある!

 うつらうつらそんなことを考えていると、娘がコーンフレークを食べだしたのでいい加減起きることにした。
 時刻は昼前。

「明日は朝活をするから早く起きるで!」

 と豪語していた自分が恥ずかしいし、やっぱりある意味変態だとも思った。
 そのまま起き上がって娘に抱きつきにいく。娘が嫌がる。その嫌がる顔を見てぼくは大きく笑う。

 みんなもそうだと思うけど人が嫌がる顔とか、自分のことをけなすように見ている顔を見ると興奮するあれだ。

 うん、みんなもきっとそうだと思う。

 白い目で見られて嫌われるとすごく興奮する。
 ちょっと苦しそうで嫌そうな顔をみるとすごく興奮する。

※この話はフィクションです。

 と、そんなときもたまにはあるよ!
 という話でした。

 そしてみんなでごろごろ。
 お昼過ぎにご飯を食べようとしたタイミングで娘が再び寝始めたのでぼくたちはそのまま予祝飲み会をコーヒーで開いてから、娘が起きたらご飯をたべてみんなで掃除してお買い物に行って半額になった中トロを買って……。

 幸せになればなるほど夢がなくなる。
 幸福が身近にあれば欲しいものが消えていく。

 そんなことをふと思うようなそんな日曜日。
 ぼくはただ二人の幸せを見ていたい。

きみと一緒に寝た今朝の時間が幸せ過ぎて、ぼくは夜になった今でもその余韻がずっと残っている。

確かに手は痺れてくるし、体勢は変えられないけど、きみと触れ合ってるだけでぼくはこんなにも幸せになれるんだって改めて思ったよ。

前は一緒に寝るなんてできなくて、年に1,2回泊まれたらいい方で、それが今では毎日一緒に眠ることができる。

ありがとう。
きみと一緒になってぼくは本当に幸せです。
心からきみを愛しています。

おやすみなさい。

初めての人生、失敗をたくさんしよう。

きみは今日もぼくやママに怒られていた。

でもそれはきみが嫌いだからじゃなくて、きみに幸せになってほしいからという勝手な願いなんだ。

きみはこれからどんどん大きくなって、どんどん大人になっていく。

人生にマニュアルはない。

だからきみが一人でも歩けるように、ぼくたちも含めてたくさん失敗を重ねていけばいいと思っているよ。

今日もたくさん笑ったね。

たくさん遊んだね。

いつもありがとう。

愛してるよ。

今日もありがとう。

今年も、残り75日。

またね。

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