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【オランダ】イエナプランに学ぶ

オランダは、歴史や伝統が強く新規参入のチャンスが少ないヨーロッパの中でも、自由な発想がどんどん形になる国だ。教会を改装してナイトクラブにしたり、エレベーターを入れて展望台にしたり、他国に類を見ないユニークな建物も数多くある。

オランダでは、大麻・売春婦・同性婚・安楽死が合法だ。他国で真っ先にタブー視されるものが、この国では堂々と合法化されている。禁止にしても隠れてやられれば取り締まりが困難になる、ならば合法にして国が管理しよう。という他国とは逆の発想を行く。オランダ人は、古くから移民を受け入れ、干ばつマイナスの厳しい環境の中で変化しながら国を作ってきた。

いったいその頭の柔らかさや逆の発想はどこで育まれるのだろう。オランダの教育を見てみたい。

学費が無料で、通学に必要な交通費すら国が負担してくれるオランダでは、学校選択の自由がある。通常の学校はもちろん、モンテッソーリやダルトンやシュタイナーといったオルタナティブ教育から、宗教を軸にした学校まで、選択肢は多様である。

オランダで最も普及しているイエナプラン教育では、チャイムや時間割や制服がない。この時点で、日本の学校からは大きくかけ離れている。クラスはリビングルームと呼ばれ、3学年の生徒が同じ部屋で家族のように助け合いながら学ぶ。そのため、わからないことがあれば、先輩後輩でお互いに教え合うと言う。話を聞くこと、質問すること、話を掘り下げてすり合わせること等、そこでは実践的なミニ社会を体験できる。



時間割もそれぞれが自分で作ってそれに従う為、ある子は算数、隣の子は英語、あちらの子は読書というように、同じリビングルームで同じ時間に皆バラバラなことをしている。机も日本で言う給食スタイルで並べているので、隣人が自分と違うことを認識し、個性を認め合う環境がそこにはある。先生はあくまでも、生徒同士で解決できないことがあった時のサポート役だ。


このように、完全どフリーな選択肢を与えられた子供たちは、自分で学びたいことや必要なものを決められる為、自分の選択に責任を持て、自立する喜びを得る。



またテストや宿題もないので、プレッシャーはなく、放課後は友達と遊んだり、早く帰って家族と過ごしたりと自由そのものだ。オランダでは、学校は生徒が幸せになる為の場所であり、学校だけが学びの場ではないと考えられている。勉強は、子供が学びたい!楽しい!と自発的に思わなければ、意味がないと言う。子供の幸福度が世界一位なのも頷ける。


子供が興味を持つものをとことん応援できる環境が整っているので、DJブースがある学校もあり、イビザ島やトゥモローランドでプレイする世界的なDJもオランダから多く輩出されている。個性を潰さない教育の結果だろう。日本で小学生がDJになりたいと言い出したら、もっとしっかりした職を考えなさい、と教師に捻じ曲げられてしまうだろう。



日本やイギリスやアメリカでは、親も教師も、学校は成績を取る為の場所という考えを強く持つ。プレッシャーを感じる教師は山のような宿題を出し、プレッシャーを感じる親は遊ぶ暇も与えず塾や習い事に子供を送る。見えないプレッシャーを抱えて縛り合う。だけどそれが後々、優秀な成績となり子供の幸せに繋がると信じて疑わないのだ。


旅人がユーチューバーになり、そのユーチューバーが自らネットでCDを売って生計を立てられる時代だ。従来の下積みを重ね、規制だらけのテレビの中で視聴率を狙うお笑い芸人より、人気インスタグラマーやユーチューバーコメディアンにスポンサーが付く。英会話教室は、24時間対応可能な外国人教師のオンライン英会話へ。高級ホテルから、Airbnbなどの民泊へ。買い物は店舗よりネット注文へ。タクシーからウーバーへ。


このように正解のない社会や価値観の変化は、これからも加速し続けていく。詰め込み式の教育で育った私たちは、世の中を見渡して自分で考え行動するオランダ式の教育に学ぶことが多くあるのではないか。

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