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ことばつむぎ

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心の琴線に触れた出来事を綴っています。ほっ、としたい時にどうぞ♡
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#お別れ

空耳だとしても

空耳だとしても

体に電気が溜まっている。

帯電

体電

コロナもあってあまり外出もできずにいる。
雨が多くて寒いBC州。
つい家の中でコンピューターや携帯の画面を見続けて1日が過ぎてしまう。

体に溜まった電気のせいか、湿度が低いせいか、毛が逆立ち頭の中がゾワゾワする。

せめて地面に足をつけよう、と思って素足のまま小雨の中、庭に出て、芝生に足をつける。

息を吸って、吐いて。上半身を伸ばしたり、足を伸ばした

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あげられなかったコイン

あげられなかったコイン

Save on foodの前で、晴れの日も、雨の日も、夏も、冬も、物乞いをしている男がいた。

汚れたダウンジャケットを羽織い、ボロボロのリュックを背負って、キャップ帽を募金箱代わりにコインを恵んでもらうのをずっと待っている男。

私の記憶が正しければ、私がスコーミッシュに越してきたときから彼はそこにいた気がする。

BC coastには、物乞い(beggar)がとても多い。
見るからにホームレス

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HAKU 〜生きている証〜

実家の猫が旅立った。

18年前の夜のこと。
うちの前の道路に、小さな塊がポツンと落ちていた。
ネズミかと思ってよくみたら、耳の大きな死にかけの子猫だった。
周りをみてみると、子育て中の母猫がいた。
死にかけのその子のことは、目に入らないのか、見捨てたようだった。

片手の手のひらよりも小さい子猫は、かろうじてまだ息をしていた。

あれから18年。
私が一緒に暮らしたのは3年ほどで、あとの15年は

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