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空耳だとしても

体に電気が溜まっている。

帯電

体電

コロナもあってあまり外出もできずにいる。
雨が多くて寒いBC州。
つい家の中でコンピューターや携帯の画面を見続けて1日が過ぎてしまう。

体に溜まった電気のせいか、湿度が低いせいか、毛が逆立ち頭の中がゾワゾワする。

せめて地面に足をつけよう、と思って素足のまま小雨の中、庭に出て、芝生に足をつける。

息を吸って、吐いて。上半身を伸ばしたり、足を伸ばしたり。

すると、茂みから

「にゃあ」と死んだはずの愛猫、太郎の鳴き声がした。

えっ?太郎?まさか。
きっと近所の猫だよね。

そう思ってしばらくあたりを見回すも、猫らしき姿はどこにも見当たらない。

近所の猫とは言ってみたものの、あの鳴き声は太郎だった。

空耳、とか、気のせい、とか色々考えたけど
「あれは太郎だったんだ」と考える方がシンプルな気がして、そばにいるだろう目に見えない太郎を抱っこした。

その後、部屋に戻り翻訳の仕事をしていたら見慣れぬ番号から電話がかかってきた。

獣医さんからだった。

太郎が死んだ時にお願いしておいたPaw Print(粘土で足跡を型どったもの)が届いたとのことだった。

太郎の鳴き声を聞いた直後に、太郎のPaw Printが届く。
そういうことってあるんだなあ。

子供を迎えに行きがてらクリニックに寄って、太郎の小さな足跡を見たら、鼻の奥がツーーンとなって。

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動物に49日があるのかわからないけれど、太郎が死んで40日が経ったところだったから、もしかしたら「そろそろいくね。最後に形を残していくから忘れないでね」って言いにきたのかなあ。

1ヶ月前に涙は流しきったのに。
太郎のいない日常には慣れたのに。

夢には何度か出てきてくれたよね。
夢の中では抱っこしたよ。

でも

やっぱり悲しいなあ。
会いたいなあ〜、

触りたいなあ、ふわふわの毛に。

また、たまに声を聞かせてくれるかな。

でも自立心が強くて勇敢だったあなたは、もうきっと振り返らずに行くんだよね。

太郎。

長くて寒い雨。
灰色の空。
パソコンの画面を見つめる日々。

起きているような、眠っているような
激動の中なのに淡々と過ぎていく日々の中でキラッとひかる。

掴めそうで掴めないけれど、確かに触れたのだ。

目が覚めるほど眩しく、波紋のように静かに、心に届く。

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