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終わりよければ全てよし、ガトー・マルブレ(gâteau marbré)

作ることは生きること

料理をすることが生きがいの変態酔狂系クッカーとしたことが、4月に入ってからというもの、料理をほとんどしていない。

なぜなら、移動が多くて自宅にほぼいなかったから。精神衛生を保つのに必要なパーツ(=クッキング)が欠けたことで、常に殺気立ってるし情緒不安定になるしで、もうひっちゃかめっちゃか。いやー、落ち着かない生活って地味に疲れるのだなあ。

とはいいつつ、先週末ようやく、客人(同い年の義弟)を連れて自宅に戻ることができた。

満開のコルザ(菜の花)を眺める道中

久しぶりに港町の自宅で過ごす日曜日。何かが弾けたかのようにキッチンに立ち続けた。


朝、鬼焼きクレープ

Otto氏の弟ですもの、甘いものはなんでもござれ。自宅に到着した土曜日の夜、ひっそりとクレープ生地を仕込んでいた。

最近のレシピはもっぱら義母がくれたフランス家庭料理のキホン本に載っているpâte à crêpes。フランスのママンの味って感じでシンプルかつ失敗しないのがいい。

何度も作っているから材料も暗唱できる。
卵3つ、牛乳500ml、薄力粉250g、溶かしバター50g、砂糖大さじ2、塩ひとつまみ。この2倍量、つまり牛乳1リットル分を巨大ボウルで合わせて混ぜ、一晩冷蔵庫にて寝かせておいた。

で、起床後寝ぼけ眼のまま焼き開始。フランスの家庭に一台、クレープ用フライパンを取り出して、焼きに入る。ニッポンのラジオを聞きながら、ぼんやりと30枚くらい焼いた気がする。

ちなみに私は、隣でおにぎりをほおばり味噌汁をすする。


義弟氏、Otto氏と比較して体格はいまんとこ正反対でひょろんとしているけど、Otto氏並みに食べてくれるから作り甲斐がある。とりあえずこの朝で10枚近くなくなった。

昼、フリカデル×フリット×グリーンサラダ(自作玉ねぎドレッシング)

長らくベトナム住みの義弟。故郷の味がさぞ恋しかろうと、北フランス〜ベルギー定番のジャンク系フード、フリカデル×フリットを用意。

フリカデルは冷凍のをこんがり揚げ焼きするだけだし、フリットはオーブンで。いきなり手抜き。

付け合わせはサムライソースが大定番

ドレッシング。フランスで市販されているもので未だ美味しいものに出会えたことがないので、どんなサラダにも合う和風たまねぎドレッシングを作る。

これ、ずっと前に百均で買ったものだけど、この分量ベースで適当にうまみとか辛みとか気分に応じて足すだけで美味しいのができるから気に入っている。


夜、ハンバーグ、ポテサラ、ミルクリュスティック

夕飯は、フランス人ムッシュ2名に捧ぐジャパニーズ洋食。Otto氏、お子ちゃまが喜ぶものは大抵好きなので、ハンバーグとポテサラでいこうかね。

夕方17時くらいからデザートと同時進行で無我夢中で作っていたので、工程は全てすっとばすけど、メイン・付け合わせ・パンと全部イチから作った。え?そんなの当たり前だって?ひとくちコンロ的にはフル中のフル稼働なんですよ奥さん。

パンを焼き上げる時間に合わせてア・ターブル(ほぼ22時)

ポテサラはちょっと肉肉しくしてみたくて、筋肉もりもりマッチョなお兄さんがYoutubeにあげていた、フライパンで炒め混ぜるという斬新なレシピが面白そうだったのでチョイス。

ベーコン玉ねぎにんにくを炒め合わせたところに、茹でたじゃがいもを加えて焼いて水分とばして、そこにほかの具と調味料をぶち込むという斬新ぶり

レシピはこちらを参考にしましたよ。


ハンバーグは普段牛オンリーだけど、今回は豚挽きを仕入れていたので牛豚の合い挽きで。ソースは赤ワイン・ケチャ・ウスターでこちらも洋風に。

そういえば昼も形違いのハンバーグらしきものを食べていたような・・・

2人ともぺろりと完食してくれたけど、特に完全なるつまみ系のこのポテサラ、義弟が絶賛していた。気をよくした私は、パンの残りでポテサラを挟んでサンドにして、今日道中で食べるように包んでもたせた。

甘いもの、ガトー・マルブレ

クレープ鬼焼きに続き、1ヶ月ぶりにがっつり甘いデザートも作ろうね。

やっぱりシンプルがいいでしょってことで、ガトー・マルブレ(gâteau marbré)。ただのマーブルケーキである。かつて界隈の度肝を抜いた、ズッキーニを使ったガトー・オ・ショコラでもおなじみのエルベレシピで作ってみる。

(↑このレシピは至極ノーマルです)

材料は、卵3つ、薄力粉200g、砂糖200g、牛乳50cc、ひまわり油100g、バター50g、ベーキングパウダー1/2袋(5gくらい)、重曹小さじ1、カカオパウダー20g、バニラ風味砂糖やバニラパウダーなど適宜。

卵黄と砂糖を混ぜ合わせたところにオイル・バターを加えて攪拌、牛乳を加えてよく混ぜたら合わせてふるった白粉系を加えてゴムベラで合わせる。ここに別口で作っておいたメレンゲを加えてやさしくまぜたら半分に分けて一方にカカオパウダーを加えて2色の生地を作る。

唯一写真におさめていた、2色の生地を型に流し込むところ

あとは生地を型に交互に流して行って、最後に竹串でぐるりんと回してマーブル化したら、オーブンへゴー。

オーブンに入れて数分後、オーマイゴー。。。

溢れ出す生地たち。。。

料理と化粧はしなければ確実に腕が落ちる(持論)。

まさにその通りで、かつて抜群の群をぬいていた空間把握能力が絶望的に低下している。ひゃー。

オーブンを開けるわけにもいかないので、まるで溶岩のようにどんどん溢れ出す生地たちを眺めながら、ただひたすら焼き上がるのを待った結果が、こちら。

見 る も 無 惨 !

これいきなり出されたらなにかわかんないよねほんとね

落ち込んでる暇はない、このあとパン焼かなきゃいけないし、とりあえずオーブンを空けなくては。


で、夕食後。さすがにこのまま出すのはあれなので、ドクターY、オペ入ります。

型から溢れ出た部分をうまいことナイフで削って、

慎重に型から外す。

ちゃんとバターと粉ふるっておいたので、型外れは問題なし

これでだいぶ見栄えはマシになった。
ここまできたらなんかもうちょっとおめかししてあげようか、という忘れかけていた乙女心が芽生えるPM23時。

チョコ・湯煎溶かしからの、アーモンド・フープロクラッシャー、オイルちょい入れ合わせからのグラサージュ!

ドロドロドロドロ

流れ落ちたチョコを無駄なく塗りつけて、サイナス。

チョコ、絶対無駄にはしねえ…!との強い気持ちが大事

なかなかにいいテカテカ具合。
翌朝までこのまま放置して、固まるのを待とう。

今朝、あの溶岩たちは夢だったのかもしれない。
カッティングして中身を確認。

ちゃんとマーブルにはなっているな


「失敗と思ったら負けだよ?」

どことなく聞こえる天からの声。
料理からは学ぶことばかり。

まあ、あれだ。終わりよければ全てよし!ってことで、本日はこのへんで。


ちなみにこのガトーはまるっとOtto氏と義弟に捧げ、私はあの溢れ出た溶岩たちをつまむことにしますよ。これが一番美味しかったりするのだ、ひひ。

久々の登場、イッタラのジャー


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