「子どもの誇りに灯をともす」②学校の文化が子どもを伸ばす
アメリカで20年読み継がれているプロジェクト型学習のバイブル。
「子どもの誇りに明かりをともす」の紹介記事、前回からの続きです。
↓前回↓
人間性や真摯に課題に取り組む力を伸ばすには
生きていくうえで大切なのは、誠実な人間性や、課題に真摯に取り組む姿勢、その仕事のクオリティです。
それを伸ばすため、ICTの活用やアクティブラーニングなど、真新しい手法が次々と現れていますが、著者は「それひとつで全てが改善する、魔法のようなやり方はない」と言い切ります。
必要なのは、新しい文化を根付かせる地道な取り組みということなのです。
私は最初、この「文化」というものの大切さがよく理解できませんでした。
ですが、読み進めるうちにその意味が分かっていきます。
真摯に取り組むのがクールという文化を作る
授業中に手を挙げて発言したり一生懸命課題に取り組むとバカにされる。あるいは、勉強をしていると「がり勉」と言われて仲間外れにされる。
この環境化に置かれた子どもは、どうなるでしょうか。
積極的に質問したり、課題のクオリティを上げるため何度もやり直すことがかっこいいし当たり前。知りたいことをどんどん掘り下げて勉強するのが、仲間である証拠。
この環境ならどうでしょう。
人間は社会的な動物ですから、どうしたって置かれた環境に影響されます。
同調圧力というのは、悪い意味で使われがちですが、「その環境に馴染もうとする力」なので、当然ポジティブに働くことだってあるのです。
つまり、必要なのは最先端の技術や手法ではなく、課題に真摯に取り組むことが取り組むのが当たり前、という文化なのです。
必要なのは優れたロールモデル
では、その文化を育てるにはどうするのか。
著者のロン・バーガー氏は「どんなに言葉を尽くすよりも、一つの優れたモデル(規範)の方が多くのことを教えてくれる」といいます。
実際、著者であるロン・バーガー氏の思想を受け継ぐ学校には、卒業生たちが残した数々の作品が美しく展示されています。
そして、著者自身、学校の理念を伝える時には、子どもたちの作品を示しているというのです。
大人の姿勢が問われている
私は、この優れたモデル(規範)の部分を読みながら、背筋が伸びる思いでした。子どもに接する大人自身が、最も身近なモデルになると感じたからです。
子どもに対して、豊かな人間性と仕事に真摯に取り組む姿勢を身につけて欲しいと望むのであれば、親である自分がそれを目指していく必要がある。
24時間365日そうすることは出来ませんし、そんな風に張り詰めた大人になって欲しくもないです。
でも、子どもに「こうなって欲しい」と願うなら、まずは自分がその姿に近づけるよう努力ことが大切なのだと感じました。
今回はあまり触れませんでしたが、著作の中では、子どもたちの素晴らしい取り組みや、具体的なエピソードが満載です。
「子どもの自尊心は、心を込めた作品づくりを通じて育っていく」という、著者の想いが詰まった1冊となっていますので、ぜひ手に取ってみてください。
次回
文部科学省が新たに発表した不登校に対するプランについて紹介します。
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