短歌連 『金継ぎ』
急げ月はじきに丸くなる
掻き回せ忘れるな裂傷のじくじく
星屑の煌めき買っては知る
永遠に照らせぬきみのこころのこと
星屑の煌めき買っては知る
シルウェットの黒色 落ち先は知らず
朽ち薔薇を湯に沈めては
錆びぬ皮膚を漬け込む いろ覚えるまで
朽ち薔薇を湯に沈めては
錆びぬ皮膚を漬け込む 経血のにおい
継げば継ぐほど煌めくから
壊しては拾いましたミッドナイトの欠片
真暗闇を返して
貴女のたましいを愛していると告ぐ
きみの瞼のグリッターラメひとつ摘む
ほとに例はれし貝殻の襞撫でる
かたちなきおんなの肉とは常 不在なり
古代緑青のなまめき追いて
腐る躰の夢々はふるさを知らず
覚えている、空が割れた夜のこと
もう戻れぬことわりを捨て
あなたに触れる不足のたましい
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