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真の意味での「守ること」とは:ドラマ『青のSP(スクールポリス)ー学校内警察・嶋田隆平ー』

4月から始まる新ドラマの情報を入手しようと、「2021 ドラマ」と検索して、こちらに辿り着いた方、

ごめんなさい。

こちら、2021冬ドラマの記事になります。
つまり、3月に終了済みのドラマの記事でございます。

どうして今頃こんな投稿してるんだよ、おい、と突っ込みを入れさせてしまったでしょうか。

で、でも、ほ、ほら、予習より復習の方が大事だって、言うじゃないですか。今ではドラマの予習をきちんとされていらっしゃる方も、学生時代に予習なんて、きっとやっていなかったですよ、ね!

だ、だから、復習だと思って、よ、読んでくれたら、嬉しい、なあ、(おろおろ)。

まあ、今のご時世、動画配信サービスも充実していますから。
Tverでの無料見逃し配信は終了している時期ですが、Amazonプライム・NetFlixを始め、U-NEXTやらNHKオンデマンドやらテラサやらのね、配信でいつでも楽しめますから。

それらのコンテンツを大いに活用して頂きたい。
そして、ドラマという、(今回だと)ひと冬限りのエンタテイメントを、長く愛して頂きたい。

すみません、キャラ変してしまいました。

まあね、このnoteは、作品を消化し、次の新ドラマへと向かうために、私自身のために綴っている記事でもあるからね、ごちゃごちゃ言って来る人がいたら、うっせえうっせえうっせえわですよ、ええ!(読んで頂けて、本当に本当に嬉しい限りです。丁重に土下座させて下さい。)

このタイムラグについて、あれこれ言っても仕方がない!と開き直り、アンチの逆風にもめげずに(まず、そんな風は吹いていない)、私は私の風を吹かせてやろうと思いますよ。

言いわけが長くてごめんなさい。
やっとこさ、本題に入りましょう。よっこいしょ。

改めまして、2021冬ドラマの個人的総括、はじまりはじまり。

曜日順に紹介して行こうかと思います(月曜始まりのカレンダーによる)ので、本日はこちら、フジテレビ火曜21時放送の『青のSP(スクールポリス)ー学校内警察・嶋田隆平ー』(現在は、カンテレドーガ・FOD・U-NEXTにて配信中)。

「警察官×学園エンターテインメント」異色のコラボ作品が誕生!
法に触れれば、教師であろうが生徒であろうが容赦無く逮捕!?
過激で毒舌!そして冷静沈着なスクールポリスが、校内にはびこる“悪”を痛快に成敗する!

学校内に警察官が常駐し、トラブル対応や予防活動を行う「学校内警察(スクールポリス」制度。この制度が試験導入されることとなった赤嶺中学校に、主人公・嶋田隆平は自ら志願して配属される。

表向きは何の変哲もない公立校に見える赤嶺中学だが、スクールポリス・嶋田の登場によって、SNS、薬物、盗撮、さらにはマタハラやセクハラなど、
様々なトラブルがあぶり出されていくことに…。

警視庁捜査一課の敏腕刑事だった嶋田は、なぜスクールポリスを志願したのか?
「確かめたかったからだ、この学校の生徒に守る価値があるのか…」
その言葉の意味が明らかになるとき、嶋田の目的、そして赤嶺中学が抱える本当の闇が明らかになる!

藤原竜也演じるスクールポリスの嶋田隆平が、学校内の膿を、荒療治でデトックスして行くストーリーです。

「守ってやるが、容赦はしない」と、イントロダクションにありますが、文字通りの容赦のなさっぷりが、逆に潔く清々しいドラマでした。

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もうね、やり過ぎだろ、おい、という程にね、毎回毎回、学校内で問題が発生しまくる。ドラマだからね、事件が発生しないと作品が成り立たないからね、仕方がないのだけどさ、「こんな学校はいやだ」のフリップ芸をおっぱじめたくなる程に、生徒も先生もやらかしまくっている。こんな学校にいたら、人間不信に陥り、不登校になってやるんだから。ぷんぷん。

学園ドラマというと、大抵は、アウトローでありながら超絶生徒想いで熱くて格好良い童貞教師やら、東大へ行け!を連発する偏屈優秀教師やら、魅力的でキャラの濃ゆい教師あってこそ展開されるのがセオリーだけれど、『青のSP』は教師の皆さんが、まあ酷い酷い。

教壇に立ち、子どもの手本となるべき者のはずなのに、ちっとも褒められた人間がいない。というか、話の通じない頑固な人間ばかりで、そんなやつらが先生をやっている事実が恐ろしくなるほど。

校長(高橋克実)と副校長(峯村リエ)のツートップが、両名共に使えない先公という点も、やはり容赦がなかったなあ(どちらかは生徒想いの素敵な先生であるのが一般的)。

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教師達は、何かにつけては「子どものため」を連呼して自身の正当化に躍起になり、「生徒のため」と言っては平気な顔で過重労働を強いる。

こうやって客観的に見れば、不条理な現実だと感じるけれど、でも、これって、実際の教師あるあるではないかと。

「教職は聖職」であることを前提に、教員ならば自分の命よりも生徒を優先するべきだと、親は平気で考えているし、教師は教師で、それに応えるためなら何をやっても良し、と追い詰められては人としての道を踏み外してしまう、という本末転倒っぷり。そして、いつだってそれに振り回される子ども達。

「子どものため」という正論を振りかざしては、結局のところで子どもを縛り、抑え付ける。でも、当の本人は、一分の隙も無く、それが正しいと信じ切っている。「子どものため」というごく真っ当な正論でさえ、時には暴力となり得ることを、大人は自覚せねばならないよね、と。

教師や学校や保護者は「子どものため」と称して、事件や問題を隠蔽する。でも、それだって、大人の都合であって、大人側の自己保身であって、真の意味で子どもを守ることにはならない。

子どもを庇うことや責任の所在を曖昧にすることではなく、罪は罪として、悪は悪として認識・徹底させ、社会に出てから同じ過ちを繰り返すことのない様に教え導くこと、それが、守るということのはず。

その点、スクールポリス・嶋田の活躍ぶりはお見事で。
「守ってやるが、容赦はしない」というフレーズそのままに、警察という職権を乱用しつつ、一つ一つの歪みや捻じれを正して行く。

『MIU404』の時にも感じたことだけれど、警察の仕事とは、悪を成敗することではない。

人を守る仕事だ。

そして、それは、罪を犯した者に対する救済でもある。

逮捕することで償う機会を与えることは、犯した過ちや自分自身と向き合う時間を授けることであり、更生への道を用意することである。

「取り返しのつかないことなんて無いんだよ。お前らなら、ちゃんとやり直せる」という嶋田の言葉は、誰の言葉よりも説得力を帯び、中学生でない私自身も励まされました。

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台詞で言えば、音尾琢真演じる体育教師・阿部先生の言葉も、私の中に強く残って息づいている。

「夢を叶えることよりも、夢を叶えるために努力した経験が必要なんだ」といった趣旨の言葉で(ごめんなさい、正確な台詞はメモしておらず)、そうなのそうなの!と、首をぶんっぶん縦に振りまくって同意してしまった。

しかも、これがね、音尾さんの、あの声で、あの声帯から発せられるわけですよ。

皆さんね、音尾琢真の、職質されかねない人相のわる、、鋭い目つきばかりが印象に残っているかもしれないけども、実はめっちゃくっちゃに声が良いことを、どうか思い出して頂きたい。

そして、そんな音尾琢真と藤原竜也という、目覚まし時計に声を吹き込んで欲しい、その声で目覚めから起こして欲しい2人、が、並んだ時の贅沢感たるや。2人共、声に色気があるんだよなああああおいいい。

すみません、取り乱してしまいました。時を戻そう。

この歳になれば、努力した経験・夢中で必死になれた時間の有意義さや尊さを理解できるけれど、ついこの間まで、結果を出せない自分の価値なんて、1mmも感じることができなかった。

でも、本当に、阿部先生の言う通りで。

夢を叶えること以上に、夢に向かって突き進んだ時間こそが、その人の人生を煌めかせるはずで。

努力することが出来たら、それだけで自信になると思うのね。これから先も、また頑張れると思うのね。結果なんてどうでも良い、ただただ自分に逃げずに向き合って欲しい、それがいつかの自分を支えるから。という、阿部先生の教育愛が、ひしひしと感じられる回でした。

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あとは、中学校ものとあって、ネクストブレイクしそうな役者陣をチェック出来たことも、今作の収穫の一つ。

中でも、佐々木悠馬役の宮世琉弥くん。
彼は、間違いなく来ると踏んでいる。ネクストにブレイク必至でしょう。

『恋する母たち』で、仲里依紗の長男役として認識した彼。
にしても、2004年生まれって!好きな食べ物いちごタルトって!
おばさん、びっくりだよ!

本作では目立った出演シーンは無かったものの、雰囲気と存在感は抜群で(色眼鏡による贔屓目もあるかも)、その行く先をついつい目で追い掛けてしまいました(恋か)。

甘さたっぷりでありながら気怠さを感じさせる、あざとさと辛辣さを同居させた様な、今時の俳優さんです。要ちぇけら。

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捜査一課の敏腕刑事である嶋田が何故スクールポリスに志願したのか、その理由が至極個人的なものであったことに、一時は愕然とし、「嶋田お前もか…」と肩を落とした私でしたが、タイトルを確認したら納得。

なんてことでしょう。『ー学校内警察・嶋田隆平ー』という副題があるではないですか。

敢えて主人公の名前をフルネームで入れてしまう点からは、彼のパーソナルなエピソードありきで進行するよ、という前置きが示されていたのです。

だったら、まあ、いいでしょう。

と、気持ちを切り替えて、最後まで楽しむに至ったのでした。

私は呑気にドラマを楽しむ人間だが、きらきらの学園ものも作れない程に、現在の学校教育を取り巻く環境は厳しいものがあるのだろうなあ、と。
完全なる「やりがい搾取」が横行している学校現場だけれど、教師という職も、数ある仕事からの職業選択の一つであり、教師も一人の人間であることを思い出そうではないの。

ああ、それにしても、藤原竜也に叱られたいなーあー。

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