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【社会人日記】サービス業って難しい。

私は、とある施設の、受付と広報をしている。

その日はとっても寒かった。
丁度施設に出勤したとき、施設の表の入り口の前で寒そうに立っているおばあちゃんがいた。

寒い中待っていたので、かけよって、声をかけた。
「私ここの職員のものですが、何かありましたか?」
と聞くと、その方は施設利用者で予定時間よりも早く来てしまった、とのことだった。

まだ開館時間ではなかったが、施設利用者であったし、
寒い中、待たせていることを申し訳なく感じてしまった。
小走りで、裏口から施設に入るとすぐに表の入り口を開け、施設内へ
入れてあげた。

「良かったら、あちらのスペースでお待ちくださいね」
と、丸テーブルといすのあるラウンジを案内したら、目を細めて、とても嬉しそうに「ありがとうございます」と言ってくれた。

その後、施設内の巡回をしていた早番のスタッフが戻ってきた。
「表の入り口空けた感じですか?」と聞かれ、
「利用者さんが寒い中待っていたので、開けちゃいました」と伝えた。

ふと、なぜわざわざ入り口のことを聞くのだろうと思い、
入り口を開ける時間があるのか?と尋ねると、時間が決まっていた。
それも、だいぶ前から、施設長から言われていたようだった。

それを知らなかった自分は、巡回スタッフに対し、一瞬、なんて気の利かない人なんだろうと思ってしまった。
「外で待っている方がいたら、いれてあげた方が良いですよね?」と自分のやり方を押し付けるようにして言ってしまった。

そうすると、巡回スタッフは、「自分では判断できないことなので」
と言った。

なぜそうなるのだろう。
自分が逆の立場なら、早く入れてほしいと思うのに。

その後、同じスタッフから
「たしか、時間を決めたのは、早く来たら入れてもらえると思っている方が出てきてしまったり、人によっては『前はいれてもらえたのに、人によって対応が違う』と怒ってしまう人もいるからだったと思います」と言われた。

そういうことか、と納得し、私は自分の勘違いを深く反省した。
これは、自分一人の問題ではなく、組織としての問題だということにようやく気付いた。
事情も知らずに勝手に人を決めつけ、自分のやり方を押し付けようとしていた自分が情けなく、とても恥ずかしかった。

ただ、スタッフは怒っていなかった。
むしろ、今回のケースなら、入れてあげてOKだという反応だった。
私の行動も、間違ってはいないとわかり、少し安心したが、組織としての
視点に気付けなかった自分への恥ずかしさが勝った。

たしかに、みんながみんな、同じような解釈をするとは限らない。
待っているからと言って、全員に対して開館時間前に開けてしまえば、
施設で時間を決める意味がなくなってしまう。

サービスの一環と言っても、全て利用者の言う通りにしたり、
気づいたら絶対的に行うということが正しいとは限らない、ということに
気付かされた。

サービス業という、正解のない問いに対し、私は新たな視点を得ることができた。
そして、はじめての経験に自分なりによく考えて対応した姿勢、ナイス。

…と、そんな風に前向きに、考えてみることとする。

2024/01/28

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