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日本一周 京都・滋賀編

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日本一細かい京都・滋賀旅行の記録。
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#京都旅行

【日本一周 京都・滋賀編1】 そうだ 京都・滋賀、行こう。

・旅立ちは夜に限る  筆者:明石  アルバイトを9時40分に終えると、大急ぎで自転車を走らせ、朝に荷造りをすませておいたリュックサックをひっつかんで駅へと走った。何を隠そう、発車時刻がシビアなのだ。  駅に着くと、すでに到着している尾道の姿が見えた。青春18切符による九州旅行以来、およそ1年ぶりとなる二人っきりの旅である。深夜バスの時間の関係から課金して有料特急に乗車し、先頭列車を占拠した。乗客は1車両に1人、多くて2、3人ときわめて少なく、鉄道会社の経営を案じた。  

【日本一周 京都・滋賀編2】 ファストフード店の惨劇

・毎度お馴染み朝マック  筆者:明石  京都駅到着のアナウンスで目覚めるという深夜バスにおける最上級の夜を過ごした僕は、無機質な白色灯に目をくらまされながら、安眠グッズをのそのそとリュックサックに収めた。  今回の深夜バスタイムにおける失態を挙げるならば、旅行道具を詰め込んでパンパンに膨れたリュックサックをバスの下っ腹に預け忘れたことだ。そのせいで足の置き場に困り、寝返りの回数が増えたことは火を見るよりも明らかだったが、夢の世界に居場所を見つけられた点において致命的ではな

【日本一周 京都・滋賀編3】 清水寺を貸し切りで

・ゴーストテンプル清水  筆者:明石  マクドナルドを出ると、京都駅構内でバス一日券の券売機を見つけ、早速購入した。これまで幾度となく京都へ足を運んできたが、市内観光する上での最適な移動手段はバスであると、自信を持って太鼓判を押せる。一日券は600円(当時の値段)とリーズナブルで、3回乗車すれば元が取れてしまう。京都市の隅々まで張り巡らされたバス網にかかれば有名観光地はもちろんのこと、穴場の銭湯や定食屋に行くときも重宝する。  ただ、バス路線が多いために1つのバス停にたい

【日本一周 京都・滋賀編4】 平等院の鳳凰堂に入る

・鯰愛好家を魅了する如来の髭  筆者:明石  平等院は著名な観光地ながら、京都の中心地からは驚くほど離れている。バスの一日乗車券を購入した僕たちだったが、平等院はその範囲外に位置しており、苦渋の電車利用を迫られた。最寄りの宇治駅は小さいながらもモダンな作りで、公衆室内プールのような清潔感があった。  平等院への道すがら宇治橋を渡った先に、夢浮橋の古蹟と命名され、「源氏物語」の作者たる紫式部の石像まで設置されている空間があった。夢浮橋といえば源氏物語の宇治十帖における最終話

【日本一周 京都・滋賀編5】 駆け足平等院

・10円玉には収まらない国風文化  筆者:尾道  平等院鳳凰堂の最寄り、京阪宇治駅のロータリーに「大人はズルいと思いませんか?」を店名に掲げる食パン屋を発見した。そういえば最近この手の、奇を衒った店名で街行く人の注意を引きつける食パン屋をよく目にする。  明石曰く、これらの店は、とあるプロデューサーの手によって数を伸ばしているらしい。とにかく目に留めてもらいたいという一心での広告戦略なのだろうが、食パンの良さをアピールするわけでもないやり方は、広告として不健康である。食パ

【日本一周 京都・滋賀編6】 惰性で寺田屋に来てみた

・歴史のエセ証人  筆者:明石  宇治駅から三十三間堂へと向かう途上にある中書島駅の近くに、坂本龍馬の寺田屋事件の現場となった寺田屋があるらしい。僕たちはついでながら見物しにいった。駅前のパブの立ち並んだ極小歓楽街には、モダンな造りの銭湯があった。その佇まいは興味をひいたが、あいにく銭湯は休業中だった。残念。もっとも、開いていたとて入浴する時間はないのだけれども。  寺田屋は何の前触れもなく、ひょっこり現れた。建物は車道に面しているのだが、その道幅は狭いにも関わらず車通り

【日本一周 京都・滋賀編7】 コスパ最強?三十三間堂

・1軀あたり0.58円  筆者:明石  三十三間堂へとやってきた。途中の電車がふかふかのボックス席で離れ難かったことや、東山七条駅から三十三間堂まで歩く道すがら美味しそうなうどん屋を見つけたことはさておき、中学の修学旅行ぶりの訪問である(高校の修学旅行においても訪れていたのだが、どういうわけか拝観料をケチって友達と外で待っていた)。  チケットを購入して堂内入り口の下駄箱へ向かうと、観光地としての整いぶりに驚かされた。100人は靴を納められるのではないかというほど巨大な下

【日本一周 京都・滋賀編10】 棚から京博

・はじめての京都国立博物館  筆者:明石  期待していた養源院が開いていなかったり、方広寺を思いの外すんなり観光できたり、昼食をすばやく食べられたりしたために京都国立博物館を訪れる時間を捻出することができた。それも一時間半ほど。  我々は国立の主要な博物館のキャンパスメンバーであるため、上野の科博や東博、西洋美術館などは無料で入ることができる。それの延長として、国立博物館たる京博も無料で見られるのではないかという淡い期待を抱いて、我らが学生証を振りかざして入場ゲートを通ろ

【日本一周 京都・滋賀編12】 初日最後の銀閣寺

・疲労の色も見えない  筆者:明石  次はいよいよ初日最後の目的地である銀閣寺。京博からだと50分近くバスに揺られることになるため、ゴールデンスランバーを堪能するつもりだった。しかし、その願いはむなしく水泡に帰した。  後ろの席に大学生らしき女子二人組がやってきて、「最近韓国ドラマばっかり見てるわー」と女子大生の雛形のような会話をし始めた。さらに、「そのせいで二外(大学生の履修する第二外国語の略)の中国語よりも、韓国語の方がわかるかも」とこれまた定型的なオチをつけている。

【日本一周 京都・滋賀編13】 京都の激安宿と昔ながらの銭湯

・はるや梅小路とその眷属たる日の出湯  筆者:明石  銀閣寺を後にした僕たちは、ようやくこの旅行の拠点となる「はる家 梅小路」にやってきた。僕は咋夏に京都を訪れたときに宿泊した以来だったが、相変わらず清潔で、値段も驚くほど安い(大人一人二泊で3,500円)。図書室は充実、ドリンクサービスまである最高の宿である。もっとも、フロントなるものは存在しないため、ポストにて暗証番号を受け取るという防犯意識0のチェックインをする必要がある。  部屋は前回と同じ図書室棟の2階を予約して

【日本一周 京都・滋賀編14】 寝床と風呂

・ベースキャンプ  筆者:尾道  本日の宿「はる家梅小路」に到着。明石が前に利用したことがあるとのことで、ハズレでないことは確実だ。宿泊棟の近所に建つ別館のポストから鍵を回収し、部屋に入る。建物は築100年余りとのことで、外観同様、内部も古めかしさが目立つが、清掃がきちんと行き届いているため、全く嫌悪感を抱かせない。  このような宿に限ってトイレが汚いことはなかろうが、念のため確認してみると、比較的新型の便器が備え付けられており、心底安心した。別に古式の便所だろうと、清潔

【日本一周 京都・滋賀編15】 夢破れてモスバーガーあり。

・楽しい夕飯  筆者:明石  お風呂に浸かってすっかり癒された我々は、次なる幸福の一手として夕飯を所望した。最近の回転寿司業界の動きとしては、スシローの寿司ネタの鮮度のよさがずば抜けている、そんな話をことあるごとにしていたため、今晩はスシローにお世話になることを決めた。Google Mapsにて調べてみると、バスで20分のところにスシロー五条七本松店が店を構えているらしい。早速、東寺東門前からバスに揺られてがたんごとん。一路、スシローへと向かった。  一見平和そうに見えた

【日本一周 京都・滋賀編15.5】 京都で過ごす夜

・京都初夜  筆者:明石  夕飯を済ませると、コンビニで日本酒(伏見産!)とおつまみを買い込んでからはる家に戻った。尾道に押しつけ損ねて、1日中リュックで持ち歩いた大量のみかんを宿の炬燵に並べた。実に冬らしい光景である。宿のアメニティとして置いてあった半纏を尾道にまとわせ、みかんや炬燵といった小道具を用いての「東北の純朴そうな青年」の撮影会をした。  一通り盛り上がったあとは、それぞれ自由な時間を過ごした。僕は一階の図書室にあった安部公房の短編を読み耽り、心理描写によって

【日本一周 京都・滋賀編16】 天龍寺の新しすぎるシンボル

・寝起きそこのき天龍寺  筆者:明石  7時起床で7時半には宿を出発する予定だったが、目を覚まして時計を見ると7時半。やばし。てんやわんやで支度をすませ、10分ほどで宿を出た。  なんとか7時50分のバスには乗ろうと近くのバス停へ急いでいると、尾道が財布と携帯を宿に置いてきたことに気がついた。現代における三種の神器を2つも忘れるとは。僕はリュックを預かり、尾道ははる家へとダッシュした。 (今思うとここまで急ぐ必要はなかったような気もするが、結果として充実した午後を過ごせ