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【日本一周 京都・滋賀編1】 そうだ、京都と滋賀に行こう

・旅立ちは夜に限る。

 アルバイトを九時四十分に終えると、大急ぎで自転車を走らせ、朝に荷造りをすませておいたリュックサックをひっつかんで駅へと走った。何を隠そう、発車時刻がシビアなのだ。


 駅に着くと、すでに到着している尾道の姿が見えた。青春18切符による九州旅行以来、およそ一年ぶりとなる二人っきりの旅である。深夜バスの時間の関係から課金して有料特急に乗車し、先頭列車を占拠した。乗客は1車両に1人、多くて2,3人ときわめて少なく、鉄道会社の経営を案じた。

 車内ではノープランだった滋賀県についての観光計画を練り、延暦寺への移動手段を仔細にノートに記すも、はなはだ広大な境内に返り討ちに遭い、徒歩での観光はチビシイとの結論に至った。山法師恐るべし。


 バスターミナルのある文化会館は駅から歩いて十分程だったが、のんべんだらりと歩いていたらいつの間にか発車時刻の3分前。慌てて駆け出し、なんとか間に合った。乗車率は50%ほどで、深夜バス特有のむんむんとした人の熱気はなく、快適に過ごすことができた。昼間に仕入れた耳栓とアイマスクを装着し、ネックピローを頭の下に敷いて完璧に近い睡眠を手に入れることに成功した。深夜バス攻略も板についてきたぞ。

明石

・DEPARTURE
 日本巡行企画第2弾、今回巡るは京都と滋賀。大学入学以降、相当なペースで旅行経験を積んできたので、もはや遠出に対する緊張感を感じなくなった。遊びの延長線上的な気分である。今回も安全第一で遂行していきたい。

・みかん戦争
 夜行バスの発車時刻と、明石のバイト終了時刻との兼ね合いで、池袋までの移動は有料特急を利用することになった。平日の22時台、我々以外の利用客は殆どおらず、自由な席選びが可能な状態だったので、先頭車両の前から2番目の席に座った。(最前列は足元が狭いのと、夜なので景色を楽しめないという理由で避けた)

 着席すると、彼が徐にリュックサックから大量のみかんを取り出す。家に余っているらしく、消化するために持参したとのことだった。「尾道も食べる?」と言ってもらったが、あいにくみかんの口ではなかったためお断りした。

 が、どうやら、早いうちにみかんを消化しきって荷物を軽くしたかったらしく、親切心でみかんを渡してくる彼の心根には、みかん全消化の野望が渦巻いているように見えた。どう対処しようか。無下にするのも心が痛む。

 散々考えたあげく、彼の押し付けが度を越してきたと判断した私は、正当防衛をするかのような心持で、みかんの受け取りを拒み続けた。ごめん、こうするしかなかった。こうするしかなかったんだ...

尾道

・メンバー
明石、尾道

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