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ダイバーシティ企業人事はレイハラ解雇裁判について質問されたら何と答えるだろう

韓国籍の元社員が「レイシャルハラスメントを訴えたことを背景にした不当解雇」と米国系証券大手モルガンスタンレーを訴えた裁判が、東京地裁での2月15日15時30分からの期日で結審し、判決に進みます。元社員支援団体が傍聴を呼びかけています。

この裁判については、2021年11月に弁護士ドットコムが報じています。ヤフーニュースにも転載されました。知っている人はいるはずです。

元社員(当時エグゼクティブディレクター)は在職中、当時の日本人上司(現社外取締役)から長期にわたって国籍に基づいた攻撃的な発言を受けていた問題を会社が解決しなかったことを、グローバル本社のCEOにメールで訴えました。そのことで「会社のハラスメント調査の結果を口外しないという社内規則に違反した」とされて解雇されました。元社員は「レイシャルハラスメントを訴えたことを背景にした不当解雇」と提訴しました。

そうしたなか、同社は2月16日、「ダイバーシティキャリアフォーラム2023」というイベントに登壇予定です。ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業の人事・ダイバーシティ担当者が実際の取り組みや企業風土についてプレゼンテーションし、「ミートアップ」で参加者が質問をするなどして交流するというもの。イベントホームページによると、同社人事部タレントデベロップメントおよびD&I担当のヴァイス・プレジデントクラスの社員が登壇する予定。登壇者は新入社員からリーダー層の人材開発や、女性やLGBT+などの多様な人材の採用と育成のための戦略および施策の立案から実行までを担っているといいます。

こうしたイベントの参加者には、外国籍、LGBT、障害などの事情から、差別やハラスメントにあったり、またそれを背景に職場を不当に解雇されるなどの経験を抱えている方が相当数いることが想定されます。こうした方々は自然と、ハラスメントについて社内で声をあげたことで解雇になるなどの危険のない職場を求めて、イベントに参加していると考えられます。また、「弱者切り捨て」が起きやすい極端な成果主義を説く企業も、避けた方が無難と周囲からアドバイスされている人がいるのではないでしょうか。

イベント参加のルールにより、ミートアップで話された内容はここだけの話にすることになっているのですが、登壇者は、仮に参加者から元社員の件について質問があった場合、どのように回答するのでしょうか…。

イベントの参加者が、同社の問題を知らないで、あるいは知っていたとしても理解しないで入社した場合、どのような影響があるでしょうか。

実際、D&Iをうたう企業に内部の問題を知らないで入り、不本意な形で居場所をなくし、社会復帰が困難になってしまった人もいます。そんな人が裁判で被害を訴えています。そうなってしまったら取り返しがつきません。

このイベントには、株式会社セールスフォース・ジャパンも登壇予定でしたが、諸般の事情により登壇を見合わせることになりました。セールスフォースでは、発達障害シングルマザーパワハラ雇い止め訴訟やマネージャー報復解雇訴訟が起きました。また昨年1月から500人以上リストラ中で、対象者には相場より極めて低額の特別退職金と引き換えに一切の請求権放棄、不公平な守秘義務、広範囲の誹謗禁止・秘密保持、1年間の競合転職禁止などを盛り込んだ退職合意書へのサインを迫っていました。

企業のダイバーシティ、就活、転職活動のあり方について、問題意識を喚起します。

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