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キラキラした採用広告があふれる現状への警鐘、「うちは自由なカルチャーだからそうならない」と言い切れる?

セールスフォースの調査報道、リンクトインでの発信を重ねるにつれて、コメントが来るようになっています。

Best Place To Workをうたう、大手企業は今まで莫大な広告費でその印象操作ができましたが、最近ではそれは難しくなってますよね。誰でもSNSで実態を発信できるので。だからこそ会社はSNS禁止にしているのでしょうが。実態は異なるのに、世界的有名なあの会社のような社風を目指そうとして、悪い部分を模倣する問題もある。それと成果の定義をきちんと考える必要もあると思います。全員一律の成果を求めるなんて、ありえないですし、貢献できる役割を見つけるのは会社の義務でもあるはず。その中で成長しているわけなので。ドライで短期的なものの味方しかできないと、市場からも短期的な評価しかされないですね。

きょうの記事は、こちらのコメントをいただいた方への返信をもとにしています。

SNSで実態を発信できるようになったいま、キラキラした採用広告が垂れ流される風潮への警鐘を鳴らしています。

多くの企業が程度の差こそあれ、それを行っているなか、なぜセールスフォース社が対象となったか?それは、ビジネスと社会貢献の両立を目指すステークホルダー資本主義の旗手たることや、Great Place To Workを自他ともに認めてるグローバル企業だからです。こうした発信を信じて入社した人が被害を訴えています。

セールスフォース社は自由なカルチャーをうたい社員のSNSを禁止してはおらず、筆者も大量の広告記事および関係者のSNSをつたってリサーチしたり、それを引用して書いています。
会社がいまなお社員のSNSを禁止し、莫大な広告費で印象操作を流していて、かたや不祥事を隠蔽…というのは論外として、「うちの会社は自由なカルチャーだからそうなることはない」と思ってる人達も気を付けないといけない、と気付かされました。

最近は日本企業が低迷するなか、働きがいのある会社ランキング上位を外資系企業が占めるようになっています。「あの有名外資系企業が実践する○○」が記事の見出しや本のタイトルになったりしています。
一方で、外資系企業に「ドライで短期的なものの見方しかしない」と警戒心をもつ見方が根強くあるのも事実です。
外資に限らずドライで短期的な見方により、障害者の雇用が切り捨てられてきたという歴史的事実が当事者側にはあります。そこからもう目を背けられません。

この事案ではどのような成果やKPIが求められたか、どのような判断基準で合理的配慮が行われたか、核心部分がみえてくるのはこれからですが。果たして「働きがいのある会社」と評価されるのもいつまで続くのか…。それまで成長の痛みとして許容されてきた問題が、表面化していくのではないか。

ところで同社が採用・広報のアピール材料としてきた、「働きがいのある会社」Great Place To Workの評価方法は、どうなっているのか。

全社員(正社員以外含む)を対象に、ランダム抽出されて回答。1000人-9999人規模だと400人以上に調査票を配布し、最低240人を必要回答とします。セールスフォース日本法人の場合、従業員3551人(2021年12月)のうち240人、つまり全社員の6.7%の回答のみで参加できることになります。また2021年6月は雇用率が2.1%だったことから、障害者社員は2%とみられます。残り98%は健常者。つまり回答しているのは98%が健常者といえます。マイノリティの声を反映させるのが難しいという現実も残念ながら露呈しました。

Great  Place To Workは留意事項でコンプライアンス問題のある企業を締め出すことがあるとしていますが…。

筆者がGPTWに問い合わせたところ、「現段階では判決が出ていないため、違反があったかどうかは客観的な判断ができず、またGPTWでは事実認定についてお力になることができかねます。」という回答でした。

「現段階では判決が出ていない」といいますが、事案によっては裁判所の判断がいつも適切とは限らず、客観的証拠が少ないだけできわめて不適切な行為が行われていた可能性が否定できないにもかかわらず、コンプライアンスの問題や社会的・道義的責任を一切認めず、違反認定の判決さえ出されないようにと、非常に巧妙に法廷戦術を展開し、狙い通りに着地できた、という印象が見受けられるケースもあります。そもそも「会社側の対応にひどく傷ついた人がおり、それを裁判で争わなければならなくなるほど内部統制や自浄作用がきいていない」ということは事実。そのような会社が表彰され続けるリスクがないでしょうか。また判決が出るまでには1年以上かかり、それを待っていては、キラキラした発信を信じて入社して被害を訴える人が再び現れることを防げないというリスクも抱えます。

訴訟になったところで違法性認定の判決が出なければよいとするならそれは問題があります。Great Place To Workのブランド失墜にもつながりかねません。


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