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岐阜特例子会社裁判 きょう名古屋高裁で控訴審第一回口頭弁論

きょう2月8日、岐阜県内の特例子会社における高次脳機能障害の元社員への合理的配慮をめぐる裁判の控訴審が、名古屋高等裁判所で始まった。

控訴審までの経緯

岐阜地裁での一審は、パワーハラスメントや合理的配慮義務違反の物的証拠の不足に加え、高次脳機能障害の元社員の供述の信用性が認められなかったことが問題となった。

原告女性の支援組織によるパンフレット

高次脳機能障害のような見えない障害への理解がなかなか進まない現実や、特例子会社のあり方が問題提起されている。

過重な負担でない合理的配慮や、高次脳機能障害のような精神障害や記憶障害の特性のある人の困難さや供述をどう評価するか。

2月9日続報・控訴審まとめ

第一審判決への各方面からのコメント一覧

金政玉氏

(現立命館大学生存学研究所 客員研究協力員。DPI日本会議障害者権利擁護センター所長、内閣府障がい者制度改革推進会議及び障害者政策委員会担当室政策企画調査官、明石市障害者施策担当課長および障害福祉課共生福祉担当課長を歴任)

(以下、若干長文になるかと思いますが、お許しください。)

まず、最初に思ったのは、「やっぱりこんな判決がでてしまったか」ということでした。

障害者権利条約の批准を目的とした国内法の整備として障害者制度改革の横断的課題に位置付けられ制定された障害者差別解消法と施行日を同じくする改正障害者雇用雇用促進法における合理的配慮の提供のあり方をめぐっては、従来の障害者法制との解釈における誤解や混乱を含む軋轢がいずれ表面化してくるのではないかという危惧は、この課題に取り組んでいる関係者にとっては人によって濃淡はあるとしてもあったと思います。

(※)差別解消法(施行日2016年4月1日)における合理的配慮の事業者を対象にした「努力義務」の規定は、21年に「法的義務」に改正、施行は改正から3年を目途とされている。差別解消法と施行日が同じ改正障害者雇用促進法の事業主に対する合理的配慮の規定は、施行時から「法的義務」になっている。

端的にいえば、その危惧の背景には、権利条約の「障害の社会モデルと医学モデル」の本質的な相違にあると思います。私は現在、障害福祉サービスを提供するNPO法人の事業所の職員ですが、身近な関係者間の議論では、「社会モデルが社会的障壁の除去に向けて合理的配慮の基本になるのはそうなのだが、医学モデルもその時々の局面や対応において重視される必要がある」的な意見を聞くことがあります。

こうした意見(ニュアンスは個々の事案によって幅があります)は、現状として、実態的にはかなり平均的な意見として根強くあるように思います。

上記のことがこの度の岐阜地裁の判決において、どのように表れ何が問題になっているかを考えてみました。

判決の内容を見る限りでは、2013年(平成25)の3月に取締役が変わり新しい経営体制になって原告に現場でかかわる担当者が変わってからの問題であるように思います。そうであれば、会社の原告に対する合理的配慮の対応の引継ぎがしっかりできていなかったことがまず背景にあることを認識する必要があると思います。それを前提に、以下の点について疑問が残ります。

第1は、高次脳機能障害と身体障害に関連する症状との関係です。

判決では、原告の交通事故による脳外傷が原因となっている高次脳機能障害の主な内容として、注意障害、遂行障害、言語機能障害、記憶障害、強迫性障害が挙げられていますが、身体障害に関連する症状は、あらかじめ除外されています。しかし、脳外傷には多様な症状があることが言われながら、履物との関係で足に合わない履物は腰に負担がかかることや原告の言葉として紹介されている「脳の疲れによるめまい」などは身体障害に関連する症状として含めることが適切かかどうか、担当医師の専門的な知見を慎重に受け止めそれに即した対応が求められと思いますが、「判決」ではそれに該当する記述がありません。

第2に障害者雇用促進法の合理的配慮について、裁判官の判断指針はどういうものだったのかという点です。

※以下は、支援者の長谷ゆうさん(フリーライター)による「やはり高かった、高次脳機能障害の人の供述の信用性と配慮違反立証のハードル」からの「判決」(9ページ最終行から10ページ)の引用部分です。

原告の雇用主である被告が、障害者である原告に対して自立した業務遂行ができるように相応の支援、指導を行うことは、許容されているというべきであり、このような支援、指導があった場合は、原告は、業務遂行能力の向上に努力すべき立場にあるというべきである。よって、被告が、原告の業務遂行能力の拡大に資すると考えて提案(支援、指導)した場合については、その提案(支援、指導)が、配慮が求められている事項と抵触する場合であっても、形式的に配慮が求められている事項と抵触することのみをもって配慮義務に違反すると判断することは相当ではなく、その提案の目的、提案内容が原告に与える影響などを総合考慮して、配慮義務に違反するか否かを判断するのが相当である。(太字は金氏による)

(つづいて、長谷ゆうさんの「判決深堀」の記述から)

判決の特徴として、女性が配慮違反と主張するエピソードの事実認定がすべて、「本人は、ウソは言ってないが、支援や指導を強要と受け取る傾向が強く、そこに高次脳機能障害による『解釈のズレ』が生じたことが、今回の事件の本質」という被告会社側の認識を追認したものになっていた。物的証拠(特にハラスメントを受けていた時の録音やビデオ)・会社でハラスメントを目撃した第三者の証言の不足に加え、女性に記憶障害があったことや、「上司の指示を正しく理解していないところがある」ということで、本人供述やmixi(日記)の信用性がないとされた。 「解釈のズレ」という言葉は、判決文には出てこないが、被告側の「強要ではなく提案だった」という主張の根拠になるキーワードだ。双方の主張が真逆となり、どちらの側にも客観的証拠が不足するなか、裁判所の判断は供述の真実性がどちらにあるかに基づいて行われるとみられた。その結果、(判決文から)「原告は、記憶力に障害がある上、被告会社上司らの発言内容が仮に正確であったとしても、被告側が強要したとは認められないし、一般にブラウスやスーツや革靴を着用することは、社会人としての業務遂行能力(就労の機会)や活動範囲を広げることにつながるところ、それを正しく理解せずに記載していると認められるから、少なくとも原告の認識や意見にわたる記載部分は必ずしも信用性が高いとは認め難いといわざるを得ない。」  女性は高次脳機能障害の症状で記憶障害があり、「指示を正しく理解できないことがある」ということが、供述の信用性を減退させるような事情となり、mixiや意見陳述は核心部分に近い事情についての客観的な裏づけがないとされた。(太字は金氏による)

上記の内容をみると、二つの疑問及び問題点があるように感じます。一つは被告の対応に対する疑問として、被告側が原告に対して伝えた指示が強迫ではなく「提案」として伝えたことになっていますが、会社が新しい「体制」になってからの伝え方と、2013年(平成25)3月以前の指示の伝え方に違いがあったのかどうかという点です。もう一つは、「判決」で述べられていて、長谷ゆうさんも指摘されている太字部分の箇所です。同太字部分の記述は、「判決」において複数の個別事項に関する内容でも同様に記述されています。例えが適切かどうかは分かりませんが、私は3歳(1958年)の頃のポリオ(脊髄性小児マヒ)の後遺症によって、日常生活は車いすを使用しています。歩きたいという気持ちはあっても両足が自分の意思とはまったく無関係に動かないという状況です。つまり「障害の特性」というのは、当事者にとってはある「事柄」についてごく一般的「社会通念」を理解していても、それが当事者の「障害の特性」よって、どうしても行為として実行できない、そのことが心身の機能障害として作用しているという関係になっているということは、どちらかといえば障害に関する初歩的認識のレベルだと思いますが、この「判決」を書いた裁判官は、(無礼だと怒られそうですが)そもそも「障害の特性」に関する基本的理解が不十分か欠けているのではないかと思います。あえてこの点を指摘している理由は、障害の特性に関する理解と合理的配慮の提供は密接不可分だからです。しかし、この点に関する理解が不十分または欠けているのは、本件の裁判官に限らず(特例子会社のはずの)被告だけでなく、障害のある人の社会参加にかかわるあらゆる分野の多くの行政機関等や事業者にとっても共通の課題になっていることは明らかです。

最後に、控訴審に向けて思うことは、「判決」の内容を俎上に挙げてきちんと反論していくために、障害者差別禁止法制と合理的配慮に関する専門的知見をもたれている有識者または高次脳機能障害を含めて精神障害、発達障害の雇用における現状と課題に精通されている有識者や現場の支援者の意見書の提出や場合によっては証人としての出廷依頼を検討されてみてはいかがだろうかと思います。 加えて出過ぎた指摘になるかとも思いますが、本件で原告が求めているのは「損害賠償の請求」となっていますが、本筋としては、やはり状況が改善されたうえでの「職場復帰」になるかと思います。訴訟の進展が膠着状態となり、裁判官から「和解」の進言がされたときの和解金による解決の選択肢もあるかと思いますが。しかし、あくまでも原告ご本人の心身の体調の実情や意思の尊重が第一ですので、くれぐれも無理のない判断をされることが何より大切と考えます。大変拙い感想となってしまい失礼いたしました。

植木淳教授

(現名城大学法学部教授。研究分野は憲法学・人権論。障害者の権利関係で、アメリカ合衆国憲法修正14条「平等保護条項」及び障害のあるアメリカ人の法律(ADA)との関係を参考にすることによって、日本国憲法14条から障害差別禁止法理を析出することを試みており、障害者差別解消法を見据えながら、従来の障害差別判例を分析。代表著作『障害のある人の権利と法』)

判決文を拝読しました。前提として、証拠調べ(証人の供述含む)に基づいて裁判所が行った事実認定(本件でいえば「強制」であったか?「勧奨」であったか?)に関しては、証拠に接することができない以上、私から評価することはできません。あくまでも法律論として判決文の法的構造に関してコメントさせて頂きます。

この点、雇用に関する障害差別禁止に関しては、使用者側の「業務上の必要性に基づいた職務命令権限」と労働者側の「差別されない権利=合理的配慮を受ける権利」が対立する構造の中で、後者によって前者が制約されるのが基本的な構造になります。これに対して、本判決では、雇用促進法4・5条を根拠として、使用者が行う「支援・指導」は障害のある労働者の利益にもなるから許されるという趣旨が滲みでるものとなっており、上記のような差別禁止法の基本構造が歪められているように思われます。事実認定自体の当否は判断できませんが、「業務上の必要性」ではなく「支援・指導」の名のもとに当事者の意に反する関与が正当化されているという疑念があるところです。

もっとも、上記の問題は、特例子会社制度自体が通常の使用者ー労働者関係とは異質な福祉的・恩恵的関係を作出しているという批判にもつながるところであり、ひいては、障害者雇用促進法の中で「割当雇用」と「差別禁止」という相反する要素が混在しているという問題につながるところだと考えます。これらの制度に関して全体的な評価をする知見はありませんが、少なくとも本判決は特例子会社という仕組に内在する問題を象徴しているように思われます。

中島隆信教授

(現慶応義塾大学商学部教授。代表著作『障害者の経済学』)

判決文を読む限り、言った言わない、強要した強要していないという水掛け論になっていて、そうなると企業サイドが有利になると思います。

差別解消法における最も重要な点は、「障害を理由とする差別をするな」「過重でなければ配慮をせよ」ですから、この2点に絞ったエビデンスを集めて、提訴する必要があるでしょう。やはり、録音とか企業と取り交わした契約文書などが必要になりますね。日本はやはり企業寄りですね。

戸村智憲氏

(現日本マネジメント総合研究所代表。国連勤務にて、国連内部監査業務の専門官、国連戦略立案業務専門官リーダー、国連主導の世界的CSR運動である「国連グローバルコンパクト(UNGC)」広報などを担当。ダイバーシティ経営やコンプライアンス・リスク管理/危機管理・監査指導・経営倫理・人権指導・倫理指導などに当たりつつ自らも実践。代表著作『なぜダイバーシティ施策を推進するほどダイバーシティ経営が崩壊するのか?』)

本件の判決文をざっと見ていて、「要するに、履物への配慮が本件で直接関わる法的な要素からみてどうか」というところに、被告側の狙い通りに着地したような感じは受けます。

ただ、私が昔から指導していることですが、「コンプライアンス=法令遵守+社会的規範の積極的尊重」という構図に沿っていけば、地裁の判決上は「違法性は帯びないがきわめて不適切」ということになろうかと思われます。

裁判上で脱法的に巧妙に法廷戦術で、どちらが悪かったのでもなく単に"状況"が悪かっただけだ、といったような、よくあるまとめ方にしているようにも見受けられそうでもあったり、特例子会社が生産性・経済効率性を重要視して、その会社としての意義をもはや開き直って法令にさえ触れなければなんでもよく、履物ひとつでごちゃごちゃいうな、というような、公共案件の受注などのも差しさわりが出たり、会社の信頼失墜などの経営上のリスクを、履物ひとつへの配慮さえ十分にしてもらえない企業・企業集団、というような、悪しきイメージが定着してしまったりする方が、経営上・生産性上・経済効率上の最大のリスクではないかと危惧されかねないように思われますし、SDGs・ESG対応で、金融機関や投資家や、人権デューデリジェンスの観点から大手企業の発注元などから、かなり厳しい目でみられかねない状況に陥ったのではないかとも危惧されそうにも思われます。

履物ひとつでも、間接的には原告の関わる法令上の問題に波及しやすいでしょうし、なによりも、原告の心身の安全・健康を害しないよう配慮する上では、ひとつひとつの対応に慎重に取り組んでいくべきことに変わりはないように思われます。

また、「履物ひとつ」で争わなければならないほど法令上の合理的配慮に当たらないとする判決を得ないと正当性が確保できないほど、被告が違法でなかったとしてもきわめて不適切な経営をしてしまっているのか、と見られる方が被告にとってはリスクではないかとも思われます。

判決文などからの被告の主張の文言を見る限りでは、特例子会社というより、一般の営利企業の感覚で障がい者の方々に寄り添うというより、障がいのない「社会一般」でいう「普通」にやってくれ、そういうやり方を「雇用や成長を促す取り組みというのだ」と、都合よく被告側が正当化し、裁判官としては極めて不適切であったとしても、法令に反しなければ良いという裁判の世界で、それを追認せざるを得ない状況だったのかもしれないといった感じにも見受けられそうでもあります。

本件に限らず、特例子会社の仮面をかぶったオオカミのような、障がい者の方々をビジネスの道具として利用したいという本音が透けて見える企業・企業集団は、少なからず見受けられるようにも思われます。

会社法上の企業集団内部統制の観点からも、子会社なども含めて親会社が一体として健全に対応すべきものであるわけで、その点では、特例子会社だけの問題ではなく親会社の問題として、本件をどう親会社は見ているのかは気になったりもするところでしょう。

特例子会社でも、場合によっては、親会社から「左遷」されるかのように追いやられた方が経営するような状態だと、形式的に合理的配慮・社会的な意義の健全性を装うしかできないまま、本件のような障がい者への配慮などより生産性・経済効率性を最優先してしまい、履物ひとつですら、法的に問題ないからごちゃごちゃ言うな、という経営になってしまうのかもしれません。

「合理的配慮を問いに出た」という点では社会的意義のある第一審ではありました。

一方で、合理的配慮違反だけを一本の柱にして全面に出している印象も受けました。

法廷戦術としてみると、裁判官が合理的配慮や特例子会社の実態を理解しているとは限らないなか、「パワーハラスメントや精神疾患発症、経営の問題で復職を閉ざされたことによる精神的苦痛への賠償」と「合理的配慮違反」の二本立ての戦術で行くと、より勝ちやすいのでは、という印象を受けました。

大手人材会社・障害者雇用支援事業責任者

あらためて、合理的配慮の提供と享受(または授受)の難しさを感じさせる事案と感じました。

実態として、合理的配慮の提供は、その仕組み化が進んでいない企業が多いという印象を感じます。

そのため、上司や組織が変わると、その継続性が担保されないという課題が生じるのではないかと思われます。

個別事案については、回答が出来かねますがあらためて労使双方がどういう状態であればWin-Winの関係になるのかを考え、その関係を仕組みで担保することが重要であると考えます。

また、障害者雇用においては、法的義務や障害の有無に関わらず、『企業は雇用した人材の活躍や戦力化をはかり、事業活動を推進する。労働者側は仕事を通じて成果を生み、価値を発揮する』という本質的な考え方が前提にあるべきであり、障害者の雇用か否かにとらわれ過ぎず、企業活動とはたらく人材に対する本質的な考え方を持つことが重要だと考えていますので、本件に対しても、障害者雇用の本質として、同様のことが言えるのではないかと思っています。

障害者雇用支援会社・関係者

見えない障害への理解がなかなか進まないようで心が痛みます。

大手外資系IT企業発達障害者雇用訴訟原告

ツイッターより

原告のミカちゃんと自分が重なることがあり応援していました。判決後に公開された文章を見て「こ、こんなに障害に対して理解がないの!?」と絶句。

認定NPO法人日本障害者協議会(2月21日声明発表により追加)

声明 障害特性を理解し、合理的配慮義務の遵守を 
障害のある人に対する合理的配慮提供義務に関する岐阜地裁判決について 
認定NPO法人日本障害者協議会代表 藤井克徳

特例子会社に勤務していた高次脳機能障害のある労働者が、上司の交代を機に、自らの障害への理解と職場環境改善を求めた提案を拒絶され、やむを得ず退職せざるを得なくなったことによる精神的苦痛に対する賠償請求を求めた裁判で、2022年8月30日、岐阜地方裁判所は、原告の請求を棄却する判決を下しました。
 障害者雇用促進法は、募集・採用時・採用後の障害を理由とした諸事情の改善のために必要な合理的配慮を示しており、合理的配慮の提供は国や自治体、事業者の義務としています。
 障害者権利条約では、第8条(意識の向上)で「社会全体の意識の向上、並びに権利及び尊厳に対する尊重の育成」、第27条(労働及び雇用)で「政策及び措置(積極的差別是正措置、奨励措置を含む)を通じて、民間部門における雇用を促進すること」「職場での合理的配慮の提供を確保すること」としています。さらに、国連の障害者権利委員会による日本への総括所見では、第27条に関して(58パラグラフ)「個別支援と合理的配慮を尊重すること」「障害者、特に知的障害者、精神障害者及び障害のある女性の雇用を奨励・確保するための積極的格差是正措置及び奨励策の強化、実施のための効果的な監視機構の確立」を求めています。
 原告は、採用面接時に自ら高次脳機能障害の理解を求め、入社時には、指示の方法や服装の自由、強迫性障害によるトイレ時間への配慮などを申入れ、会社は了承しています。
 当協議会は、以下の三点を極めて重大な問題として指摘します。① 障害者雇用の促進及び安定を確実に達成することを認定要件とする特例子会社で起こった事件であること、② 採用時と採用後で上司が変わり、個人的価値観で障害ならびに合理的配慮の理解が異なっていること、③ 障害理解を深め、合理的配慮を浸透させるべき役割をもつ司法が、原告の症状を認めながらも判断を誤り、多様性を受入れていこうという社会目標に逆行した判決を下したこと、です。
 原告弁護団は、この判決を不当判決として名古屋高裁に控訴しました。私たちは、この活動を支援するとともに、高裁での社会モデル/人権モデルに立脚した判決を求めます。
 当協議会では、今後も、障害のある人の多様な働き方が実現するよう、労働現場での合理的配慮の拡充を含め、障害のある人の職場環境の整備推進に向けて取り組んでいきます。

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