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時事問題から学ぶ高校生の英語授業:無料ワークシートダウンロードつき

日曜日、韓国での群衆雪崩事故のニュースが目に飛び込んできました。何気なくニューヨークタイムズで文法の授業で使えそうな例文を探していて、体に電流が走りました。自分が教えている生徒たちと同世代、そして彼らの大好きなソウルでの事故です。出ているあらゆるニュースを読みました。そして、これは明日の授業で使おうと決めました。夜までかかって教材をCanvaで作り、翌日の高校1、2、3年生の4クラス前授業でこのワークシート を使いました。

この事故はどうしたら回避できたのか、また個人としてはどうなのか。みんなで考えることで未来の命を救いたい。それだけを願っています。

このワークシート に関しては、学校関係者の教育現場での利用に限り無料でお分けしています。

ワークシート の内容

Small talk

生徒のペアトークから入ります。この記事を知っているか、なぜ若者たちはこの日集まったのか。また、生徒に人の大勢いるところで楽しみたいか、それとも少人数の自宅での集まりがいいか。またそれはなぜか。

Read and find out

実際に事故現場にいた人の証言をもとに、なぜその場に行ったのかを探ります。文法的には、分詞構文の完了系部分の9語を抜き出す形になっています。知識を得つつも、私は既習文法と絡めて話しました。

さらに、3人のレポーターの証言から事故について知ります。どのくらい深刻なのか、現場からの声です。

Read and be informed

群衆雪崩についての文章です。その仕組み等について長文から答えを見つけていきます。生の文から英語でそのまま読み取ります。その時どのような状況だったのか、そしてなぜ危険なのかを知ります。

Express yourself

一体どうすれば危険を回避できるのか、そして個人としてはどうすればいいのかを考えて書きます。考えてからTHINK=PAIR=SHAREしてもいいですし、ペアで話してから書いてもいいでしょう。私は、英語で分からない単語は日本語まじりを推奨しています。とにかく、正しさよりも表現することが大事です。

Reflection

この事故についてどう思ったかなどを日本語か英語で書きます。自分ごととして落とし込むのです。生徒たちは真剣に考え、いつも以上にしっかりと書いていました。

生徒の声

生徒たちは事故の規模に驚き、同世代が命落としたことを悲しみ、この命が救われなかったことに残念な気持ちをストレートに書いていました。普段の授業では教科書を扱うので、当然かなり前の過去の話ばかりですから、いつもとはかなり教室の雰囲気は異なりました。

この授業は10/31に行ったのですが、その時点ではあまり情報はなかったため、正しい情報を知ることができたのもよかったと聞きました。日本のニュースでも最初は「転倒事故」などと報じていましたが、途中から群衆雪崩がどれだけ危険なのかに転じて言ったように私は感じました。

使った方の声

友人の何人かが実際に授業で使いました。YMさんより以下のようなメッセージをいただきました。

ワタシは「生徒が情報を知り、感じて考える」を大事にしていますが「自分の命を考える」を今日の裏目的にしました。その点で、この雪崩れは数値だけ見ても実感が湧きづらいと思ったので、ナショナルジオグラフィックの動画も使いました。その中で倒れてどれくらいの重さや重力がかかるのか、どこでこの事故が起きたのかも合わせて、ほぼ4クラス分の人が一晩で亡くなるってどういう事なのか。そんな時間にしました。
生徒のコメントでは、
①どう感じたか↓
◯150人という数が恐ろしかった
◯日本でも十分起こりうるから気をつけないといけない、怖い
◯人って簡単に死んでしまうんだと思った
◯人が倒れただけでこんなに死ぬんだと思った
◯日本人が含まれていてショックだった
◯ドラマで群衆雪崩を知って以来、人混みは避けてきました。
②どうしていくべきか
◯細いところや坂道は規制する
◯人が集まりすぎる所には行かない
◯まずはこういうニュースを知ること、周りに知らせること
◯体を鍛える
◯なんとなく人が多いところを避けることも大切
◯冷静に行動する
◯ハロウィンなどのイベントは、自由じゃなくてツアーにする
◯開催する場所を増やして、人を分散させる
◯事前に注意を呼びかける
◯混んでる時間がわかるサイトを作る
という意見が出ました。

高校教諭、YMさんより

その日、事情があって自宅から授業を行うことにしていたYYさんは、ロイロノートを使って授業をされました。

リアルタイムで生徒が今回の事件に向き合い、考えていることを英語と日本語で書いてくれました。やはりリアルタイムの題材で授業をすることの大切さ、生徒が心を動かすしかけを作る大切さを感じた日でした。江藤先生ありがとうございます。

YYさんより
YYさんの許可を頂いて掲載しています

ダウンロードリンクについて

こちらからお申し込みいただくと自動で送信されます。

最後に

今回の授業は英語を学ぶだけでなく、命について真剣に考えるきっかけになりました。でも、考えてみれば、言語を学ぶ目的が「言語を学ぶ」だったら意味がないと思いませんか?やはり琴線に触れるコンテンツ、英語だけでなく本気になって議論したり、共感したりできることが大切です。

この事故で犠牲となった方々は生徒と同世代であるだけでなく、20代の人たちは実はあのセウォル号の犠牲者と同世代です。痛ましい事故、特に人災の部分をどうしたらこの世界からなくすことができるのか。それは学校で無味乾燥な知識偏重授業だけでなく、生徒が未来の命を救うことを真剣に考えられるような授業をしていくことです。小さなことを大切に、続けていきます。最後に、犠牲となった方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

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