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商品とかブランドのリリースの在り方 ~「12/十二」の起ち上げ【番外編】

僕なんか、まだまだ従来の考えに縛られてるなーというか、商品というものは、こういう準備ができて初めて発売・リリースするもんだ、みたいな思い込みがあります。

今、作ってるシャンプー「12/十二」なんかも、中身の開発にも時間かかったし、製造でのスケールアップにも時間は取られたりもしたけど、結局、ネーミングやデザイン、容器、パッケージ、コピー、写真、と「商品」を構成するに必要な諸々のことが準備できてなければ、発売開始はできないんだ、という思い込みみたいなものを持ってて、そこの準備やら企画やらにも時間が取られてるという状況です。

ブランドの立ち上げ自体にファンを巻き込む

でも、最近の尖がったブランドの立ち上げなんかだと、商品がなくても(完成してなくても)、そのブランドのコンセプトを何かしら活動や運動にして人を巻き込んでいったり、ブランドを作っていく最中そのものをストーリーにしたり、それこそクラウドファンディングなどで、ブランド立ち上げから共感者や応援者を募ったり、今までのセオリー的なものとは違うやり方で、ファンを獲得している光景をよく目にするようになりました。

かつてブランドのリリースや発表というものは...

かつて、ブランドとか商品とかって、世界観とかコンセプトとかを作り込んで磨き上げて、じゃーん、どうだ凄くない?とお披露目するのが、普通だったと思うんですが、今、そのやり方で何かメリットがあるのかなと思うと、もしかしたら大手以外はあまりないのかもしれません。

もちろん、リリースされてからアップデートされていくのは普通にあります。ただ、リリースタイミングでは、それはそれで一応「完成」したものとしてリリースされるのが今までは普通だったのではないかと。

ITサービスやソフトウェアなんかだと、インターネット環境の普及もあって、「永遠のベータ版」みたいな手法がもはや主流になってはいますが、カタチあるモノとして世に送り出されるものは、物理的な制約もあり、なかなかそういう手法も取れません。

なので、基本的には、リリース=その時点での完成系であり、それがブランドであるなら、やはりブランドのコンセプトや世界観みたいものが伝わる一定のクリエイティブやら環境やらも整備したうえでのリリースというのが一般的な考え方だったんだろうと思うのです。

(※大手さんの場合は、リスクの問題や生産量の問題、流通の問題、社内社外の調整やらなんやらかんやらで、そもそもある一定規模を持った「完成系」を用意しないとそもそもオペレーション効率が悪すぎとか、リスクが高すぎるとか、色々な事情もあるんだとは思います。)

「新商品」「新発売」にバリューがあるのか?

また、作り込まれた状態で、一斉にお披露目するというやり方は、リリースタイミングが一番ニュースバリューが高いから、それを活かして、一気に認知を獲得しようとか、話題をつくろうとか、そういう意図もあるんでしょう。

「新発売」「新商品」は、注目を集めるのには分かりやすい価値だけど、これだけ商品が溢れかえって、似たようなものもゴロゴロあるなかでは、余程の新規性がない限り「新発売」「新商品」の力も、随分と弱まってるんじゃないでしょうか。

それでも資本力も影響力もある大手は「新」の価値を高めるためのリソースを投入できるし、それで実際、メディアも一斉に取り上げるし、人々の話題にもなって、一気に認知拡大に成功したりもするけども、そもそもマスを狙ってない、僕らみたいな会社のブランドでは「新」の価値に重きを置きすぎるのも良くないなぁと。

あと、小出しにしていくと、パクられる、真似される、というリスクはどうなんでしょうか。確かにリスクはあるでしょう。でも、本当のところは、色んなものを小出しにしていって、ブランドの開発や成長そのものに生活者やファンが関与していく、関与していける、という、そういうブランドの組み立ての方が、パクられにくいんじゃないでしょうか。パクられにくいというより、パクっても意味がないし、そのブランドが本当に熱狂的なファンとの関係を築くことができれば、パクった側のほうがリスクがあるんじゃないかと思います。

12/十二の今後について

と、くどくど書いてきたのだけど、何を言いたいかというと、「12/十二」という今作ってるヘアケアブランドに関しても、「12/十二」を構成する諸々のものが一通り完成してから、リリースしようと考えてて、準備中だつたわけです。

が、こちらで書いたように、ネーミングんところで、同じではないけど、一部被ってしまうという出来事があって、そのやり取りをしてる中で、いいや、もう先に名前やロゴも出してしまおう、と考えたんですね。

まぁ、そもそも、このシャンプーとコンディショナーに関しては、開発中からモニター募集の模様もブログで展開してたり、多少、商品開発過程も含めて、ブランドとしてのストーリーづくりみたいなものは意識をしているところはあったの事実です。

ただ、でも、商品は一応ラインアップとしての全体像が出来てからリリースしようと思ってたわけですが、必ずしもそうじゃなくてもいいかもなと。

例えば。(あくまでも例えばです。なんも決まってません)
まだ本体デザインはできてないし、固まってもない。でも、とりあえず社内にあるパウチ袋で詰め替え用だけ先にリリースしてしまう、みたいなことだってありなのかもしれない。ブランドのイメージ写真とか、ちゃんとしたコピーとかもない状態だけど。商品ページもブランドサイトもできてないけど、一旦はブログのエントリーや、noteとかを使って買いたい人を募ってみるとか。

モニターに参加いただいた方の中には、早く欲しい、発売したら今すぐでも買うと言って頂いてる方が少なからずいらっしゃって、その方たちは、ブランドの世界観云々より、まず、中身が気に入って、とにかくその中身が欲しいと要望されています。

であれば、まず、どういう方法にせよ、中身だけでも可能な限り早く提供できるようにして、その方々からの意見もまた反映しつつ、商品の開発、拡張を進めていけばいいのではないか。

うーむ。そんな行き当たりばったりで、いいのか、と問われると、良く分からないのですが。そもそもブランドの立ち上げ自体に人々を巻き込むという方法も、そのストーリーや戦略はきちんと練られてるケースが普通なのかもしれないですしね。

きちんと練って、設計して、念密に計画して、そうやってリリースすることで、伝えたい人に伝わって、ブランドの価値も認めてもらうことができたものが、単に行き当たりばったりでやったことで、全然うまく伝わらない、広がらない、そういうケースも十分考えられます。

ただ、今回は偶然とはゆえ、ネーミングが被るということがあり、それもこれが仮に相手さんもヘアケアブランドだったり、あるいは大手さんのブランドだったら、こんな展開にもならなかったとは思うんで、その意味は、ラッキーだったんじゃないかと。

こういう偶然やラッキーも、ブランドのキャラクターの1つなんじゃないかという気もしてて、まずは出来るところからやってみようかなと思ってます。

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