爆安マグロのカマ焼いて
いやはや、世知辛さすら感じる物価高をね、肌で感じる今日この頃ですけれども。
いっせーのせでお賃金もヨイショってね、上がってくれればまだみんなで元気いっぱい感もあるのですが今のところあまりそれもね、うふふ、ふふふ・・・。
なのでまあ、何とかかんとかやっていきましょうねと思う次第でございます
そんな昨今においてなお、「コスパ」という言葉を超えて「大丈夫?」となってしまう状況に、ときどきありがたいことに遭遇する。
最近あったのは厚手のサテンのシャツがセールもあって1000円台だった時。これが本当に良くて、光沢も上品で何にでも合わせやすく洗濯機に突っ込んでも一切シワにならない。ありがたいありがたい。でも大丈夫でしょうか・・・大事に着させていただきますね。
他にもいくつかあるが、最近インパクトがあったのが近所のスーパーにあったマグロのカマである。毎年大体このくらいの時期に650mlのペットボトルくらいの大きさのカマが手に入るのだが、お値段なんと、、、500円。
500円!他の切り身のお魚でもそんなお値段はなかなか嬉しい部類なのに。
初めて見つけたとき、驚きを超えてマグロのカマだぞ!!マグロのカマ!!と自分が世界の認識を誤っていないか心配になって脳内で叫ぶ事態になった。レジに持って行ったところほんとに500円だったし、そのあと見掛けるたびに500円だったし、季節がめぐって今年もまた500円で店頭に並んでいた。
というわけでこの街に引っ越して来てからというもの、初夏には美味しいマグロのカマが我が家の定番だ。
最初にマグロのカマの美味しさを知ったのは、代々木上原にあるSARUさんという海鮮ビストロに行ったときだった。
こちらでいただく海鮮はどれも本当に美味しくて、一皿一皿感動したのだが。
ふと目に止まって尋ねたところおすすめしていただいたマグロのカマのステーキ、これがもう…絶品だったのだ。お魚のイメージを一新するようなと言っても過言でない、良質なしっかりしたタンパク質といった歯触りにまず驚き、ゆっくり味わうほどに旨味を感じる。スパイスやソースと絡んだ味わいもさることながら、そもそもの素材の力強さと柔らかさに感動が止まらず。あの体験は素晴らしかった。
そのおかげでマグロのカマというものは日常離れしているほど大層美味しいという印象があり、従って近所のスーパーで見かけた時は我が目を疑いながらも大喜びしたという次第だ。
いざ買ってみて、照り焼き風、ガーリックと塩胡椒、ガーリックとバターと醤油、なんちゃって燻製、ハーブをまぶしてオイル蒸し、どれも試してどれも最高に美味しかった。
この歳になって、どんな出会いも嬉しい。認知の範囲が拡張されるからだ。どうしても、すでに知ってるものばかり良しとしてしまう自分のありように気づいてしまう。突き詰めれば既知への安心感は生存本能なのかもしれない。しかし同時にこの広い世界で年々閉じていってしまわないか時々不安になったりもするのだ。まして新しいものと接する機会は、偶然でも必然でも能動でも受動でも、減った。減ったというより、幸いにして知っていることと覚えていることが増えたと言ってもいいだろう。しかしだからこそ、新しさというものは感じ方はどうあれ歓迎すべきものとして認識し続けていたいと、思うのだ。
その点でマグロのカマは近年恵まれた新しい出会いの中でもかなり最高の部類だった。知らずに過ごすことだっていくらでもできるが、今となってはマグロのカマの美味しさを知らない人生について少し考えてしまう。それくらい美味しい。もしもこのnoteが読者諸兄とマグロのカマとの新しい出会いのきっかけになることができたら…いやいや、でもほんとに、美味しいのでおすすめです。
新しい出会いを嬉しいとこれからも思い続けられるひとで、あれますように。
マグロのカマ、大好き。
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