緊急ミネラルウォーター
暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので、すっかり秋らしくて嬉しい気候になりましたね。
皆さまいかがお過ごしですか?ふふふ、さっそく食欲の秋、でしょうか?
あっウチですか?シンクが壊れてました。
三連休中日、美容院でのんきにカラーしてもらっていると夫からLINEの連投があった。なんじゃらほ〜いと思ったところ、シンクの下が水浸しになってしまったという。引き出しを根こそぎ取り出し、拭き取り、乾かし…ととても大変そうだった。すぐに助太刀したかったが、しかし頭に黒い液体をまんべんなく塗っていただいていて身動きが取れない。す、すまない、すまない…!
私は非常に焦った。というのもその前日に、蛇口をクエン酸と重曹で綺麗にしたばかりだったのだ。その手法自体になんら因果関係があるわけではないはずなのだが、十中八九私が"なんか"やったな〜と冷や汗を垂らしながらシャンプー台ですすいでもらっていた。いつもなら柔らかいガーゼで顔を覆っていただくが、もう緊急事態なのでスマホ見てていいですかと懇願しめちゃくちゃ目かっぴらいてスマホ見まくっていた。泡だか水だかわからないが、普段ガーゼって結構防御力高かったんだなと思えたのはこれが初めてだった。
そしてうららかな秋の三連休、お役所も水道局もお休みで(良いこと)、近所の業者さんもみなお休みだった(良いこと)。それならばもう、我々にできることなどない。夫にはシンク下の元栓を一旦閉めて、防災備蓄のミネラルウォーターを出してもらった。ミネラルウォーターたちも「えっ出番早くね!?大丈夫!?」と思っているかもしれないね。ごめん、この場所自体は安全、だが我が家は規模はさておき有事だ、緊急だ!出動!
そうして始まったシンクに頼らない暮らし。かなり厳しくて、普段、食いしん坊かつめちゃくちゃ水分を摂るわたしたちがどれほどシンクに助けられて生きていたか痛感するのであった。ちょっとお湯を沸かす、ちょっと手を洗う、ちょっとコップを濯ぐ、濃く入れたお茶を薄める、その全てができない。なかば癖のように何も考えずに使っていたものがなくなり、ほんの少しのことなのにとても不便だった。
そして、我々が普段思っているよりも多くの水を使っていることを自覚する機会だった。お味噌汁作って、大きめのコップに一杯ずつお水を飲んで、そしたらもうほとんど1リットルくらい行ってしまう。ふだんペットボトル飲料を飲まないこともあり、次々に空いてはキッチンに鎮座してゆく空き容器の迫力に驚いたりもした。洗面所の水道なども併用しつつ、普段わたしたちがどれくらい水を頼っていて、どれくらい有事の際の備蓄が必要なのかを可視化できた機会であった。
そしてちょっと嬉しい発見もあった。
いつも大きな鍋でお米を炊いて冷凍しているのだが、たまたま切らしてしまったのである。炊飯なんて一番お水を使うのに、ミネラルウォーターで炊いたらどうなるか気になってしまい試してみたのだ。我が家はたまたま各種水道の浄水システムが付いている物件であらゆる水を飲めると聞いていたので、それを信じてお米を研ぐのは洗面所で行い(すごくなんか、良い意味での違和感があった)、お米をミネラルウォーターで炊いてみた。
そしたら笑っちゃうくらい美味しかったのである。ミネラルウォーターを使っている…という事実によるプラセボかもしれないけれど、いつだかお祝いで行った良い焼肉屋さんで「当店では焼肉に適したオリジナルブレンド米を使用しております」と言われて食べた、あの輝かんばかりに美味しかった一杯のご飯、あれを思い出さずにはいられないような味わいだった。ツヤンツヤンで粒立ちがしっかりしつつ、柔らかくてお米ならではの味わいが優しく伝わってくる。普段からお米は美味しく食べていたが、思わず箸を止めてお茶碗を見つめてしまったくらい美味しかった。なんか特別な時にまたやってみたいと思う。
さて洗面所でお皿を洗う前に軽くキッチンペーパーで拭きますかね…とキッチンに向かったところ、蛇口にメーカーさんの修理用電話番号を見つけた。なぜかその瞬間までメーカーさんに問い合わせることを考えていなかった。しかも年末年始を除き年中無休とある。えっ、まさか、今日ご相談ができる…!?と一縷の望みをかけて電話をすると、なんと繋がった。優しいオペレーターさんと症状や機種のやり取りをすると、すぐ業者さんをご手配くださり休み明けにご対応いただけることになった。か、感謝しか、ない…!ありがたすぎる…ありがたすぎる…!
その後のご対応も本当に早くて、業者さんはビデオ通話で症状を特定して見積もりを出してくださり、翌日の午前にはシンクが治っていた。伸びるタイプの蛇口(金属のホースがついている)なのだが、内側がゴムになっていて6〜7年以上経つと劣化して起こることがある症状なのだそうだ。ちょうど我が家の築年数とも一致して納得…という感じだったとともに、先の蛇口掃除でヘマしてなくてよかった、というちょっぴり後ろめたい安堵もあった。
つくづく、暮らしが少し不便になるだけでいかに恩恵を受けていたか痛感するし、元の暮らしに戻るに際して助けてくださる存在のありがたさを噛み締める。夫、修理の方、オペレーターの方、はもちろん、スペアの設備を作ってくださった方や安全な水を供給してくださる方だっている。ミネラルウォーターやそれに携わる方々にだって助けられた。1人で生きていなさすぎる。ありがとうございます。
これからも大小さまざまの有事があるだろうが、予想できないなりに備えつつ、その時にできることをちゃんとせんとな…と、たくさん空いたペットボトルをリサイクルに出しながら考えさせられた秋の入り口となった。
ミネラルウォーター、大好き。
助けてくれてありがとう…!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?