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部活・学生スポーツ出身者が社会に出て乗り越えるべき3つの壁

本日は巣ごもり生活史上最も長い計13時間のオンライン会議。慣れてきたとはいえ、首がやられつつあります笑
今日の一番最後のミーティングでは、日頃のコンサルタントとしての立ち位置よりも、ゆるく脳みそを使えたので少しリフレッシュできました。

最後の会議の中、特に社会人の若手の方(2~5年目くらい)が、部活・学生スポーツを卒業してから感じる「ギャップ」についての話が出ていましたので、本日はその点を語りたいと思います。
以前、『皆さんの部活・学生スポーツの経験は、社会人でも活きる!』という話もしていますが、もちろん物事には両面あるので、その両軸を皆さんが知った上で、学生であれば今の部活・学生スポーツを、社会人であればご自身のお仕事を振り返るきっかけにしていただければと思います。

私が接してきたスポーツ経験者(もちろん私も含む)が社会に出て感じる主なギャップは以下の3点が大きいと思われます。

【GAP1:プレーヤーか、サポーターか】
特にプレーヤーとしての実績があればあるほど、この観点でのギャップが多いように思います。これまでの部活・スポーツ生活では「自分がプレーの技術を高めることでチームを勝利に導く」という自分が主役となっていたものが、ビジネスでは「『誰か』の目標達成や困りごとの解消のために、自社の持っている商品・サービスを提供する」という形で、『誰か』が主役で自分がサポーターという立場に変わっていきます。
これは一部の業種・業態に限った話ではなく、ほぼ全ての企業が「お客さまに商品・サービスを提供し、その対価として収益を得ている」ということを考えると、私たちが提供した商品・サービスを実際に使って「何か」を為すお客さまがやはり主体となります。
部活・スポーツ経験者からすると、自分が動いて結果を出すよりも、他人を動かして結果を出す方が結構難しかったりします。これまでやってきた「背中を見せる」スタイルから「背中を押す」スタイルに変わるわけですね。そういう面では、チームではマネージャーやトレーナー、コーチの役割を担っていた人たちが社会に出てから花開くことは結構多いです。そこの切り替えがあまり必要なく、スムーズに入れるからかもしれませんね。
非常に苦しいことかもしれませんが『自分が成長することが組織の成長に繋がる』という幻想を一度打ち砕く必要があります。『お客さまに価値を感じていただけることが組織の成長に繋がる。そのために、自分を成長させる』のように、自身の成長というのがあくまで方法論の一つでしかないことに気付くことができれば、かなりプレッシャーから解放されるのではないでしょうか。

【GAP2:同一性か、多様性か】
いかに多様性を受け入れる現代と言えど、ことスポーツという世界においては、「スポーツそのものが共通言語」の状態、すなわちメンバー全員をつなぐ共通の価値観であると言えます。みんなバラバラのように見えたとしても、その競技を通じて何らかつながりを持っているわけです。特に、勝ち負けは別としても、辞めずにそこにいるということは少なからずその競技に対する愛着があるということです。
「仕事も同じでは?」と思う方もいるかもしれませんが、体育会出身者の私の感覚では、これが結構違います。部活・スポーツに懸けてきたような『全てを投げ打ってでも競技(仕事)に懸ける!』という熱量で仕事に取り組んでいる人は悲しいかな、そんなに多いわけではありません。むしろそちらの方が至って普通、大多数派です。さらに言えば、全精力を注いで仕事をすることが必ずしも周囲に認められるという訳でもありません。
『努力を積み重ねた人が評価されて欲しい』という価値観が、社会においては実は当たり前ではなく、限られた範囲の中でしか存在しないことを、最初はなかなか受け止めきれず、意気消沈してしまう人が多いのではないでしょうか。もちろん、その努力を認めてくれる人はたくさんいますが、同じ価値観を持って同じ熱量で努力をしてくれる人がたくさんいることに期待し過ぎてはいけません。むしろその価値観を持てるのが自分だけの特性だということに誇りを持ち、異なる価値観を持つ人への興味関心を育ててください。必ずしも全ての人を受け入れる必要も、同じ価値観を持っている必要もないのです。

【GAP3:自主性か、主体性か】
この違いはもしかしたら(特に学生の)皆さんからはご批判があるかもしれません。ただ、最近強く感じるこの違いについてどうしてもお伝えしたく、最後のギャップとして挙げました。
自主性と主体性は「目標を自分で産み出しているか否か」という観点で分類が決まります。自主性は「与えられた目標に対して自ら行動すること」であり、主体性は「自ら産み出した目標に対して自ら行動すること」です。そして私は、部活・スポーツに携わる大多数の人が『自主性』寄りで取り組んでいる、と考えています。
☝がまさに批判ポイントなのだと思います。「私(・私のチーム)は自分で自分の目標を決めている!」と仰る方はたくさんいると思います。私はその答えについて「その目標は本当にあなただけの唯一無二の目標ですか?」と問いかけたいです。日本一を目標にする、オリンピックを目標にする、XXX大会で記録更新するなど、それらは本当に『あなたにしか描けない目標』なのですか?1代前の先輩たちも、同じことを言っていませんでしたか?
この問いに自信を持って答えられなければ、それは自分で目標を「産み出した」ことにはならないと思います。厳しく言えば目標を「借りてきた」だけの状態です。
社会に出て真に求められる力は、「与えられた目標に向かって努力できる力」ではなく「どんな環境下でも自ら目標を産み出し、それに向けた努力をいとわない人」です。自分の人生を生きていきたいのであれば、答えなき世界において、あなたなりの答えを仮説として描き、自らをその目標に向かって奮い立たせることがとても重要です。

かなり説教臭くなってしまいましたが、安心してください。私も含めてほとんどの人が社会人になった時にうまくいかず、時に投げ出したりしながら、いろいろな経験を通じて、上記のようなことを考え身につき今があります。
スポーツ経験者が若手社会人のうちにいろいろ悩むのは至って自然なことです。十分に悩んでいただいて結構です。もしその時にこの記事を思い出し、道標としていただければ大変嬉しいです。

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