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何も表現できないけどアートが好きでもいいじゃない

大学2年生の頃、夢もなく希望も持たず、何と無く茫然と日々を過ごしていた私がアートと出会った事で人生は変わらなかったけど、楽しい趣味ができた話。

私がアートにハマったきっかけや考え方、見方、楽しみ方を書いていきます。

超ミーハーでも自信持って好きと言える私の楽しみ方が何かの参考になれば幸いです。

※固定画はモナリザを生で見てみたい!という気持ちだけで訪れたルーブル美術館です。

アートが好きだからってクリエイティブになる必要も独自性を持つ必要も個性的になる必要も無い

私は現在進行形でアートが大好きです。好きですが絵は描けませんし、芸術と呼べるようなモノは何も作れません。独創的な創造力も無いですし、ずば抜けた表現力もありません。そしてアートに関する知識も…全く持ち合わせていませんが、アート大好きです。

3年前からアートに関する本を読んだりするようになりましたが、それまでは事前に予習することもなく美術館やギャラリーに通うような日々を5年ほど送ってました。

今では気づけばアートを観るためにパリへ行き美術館巡りをするようになってました。滞在した期間全日美術館に行って毎日アートを観る…そんな旅をするほどハマりました。

また、他にもポーランドやカタール、東南アジアの国々を旅した時も美術館や博物館があれば必ず立ち寄り、その国のアーティストの作品を観たり触れたり買ったり…と表現できないし知識も無いけどアートを観た数なら割と多い方なのではないかな?と思うぐらいにはアートを観てきました。

最近はデザインや工芸品などにも手を伸ばし…アートという文脈を背景に持ちながら漫画やアニメ、イラスト、写真、映画、ドラマ、小説、舞台、音楽、ダンス…などを観るようになりました(元々好きだったものにアートという文脈を加えただけですけどね…)

アートを好きになるのに特別な資格なんて必要無いし、アートが好きなことをビジネスに役立てたり、思考法として組み込んだり、何かクリエイティブなモノを作ったり、表現したりする必要は無いと私は思ってます。私は現にクリエイターでも無いですし、アートな感性はあまり持ち合わせていません。

何も表現できないけど、アートが好きでもいいじゃない!

と音楽を聴くようにアートを観ることの楽しさを娯楽にしたって良い。崇高である必要は無い。無理してビジネススキルのために…とか考える必要は無い。

描けなくても作れなくても表現できなくてもアートって楽しいよ!そう思えることが何よりも素敵なことじゃないか…

アートは自由だけど、本質を理解するにはそれなりに教養的な部分は必要になるし、文脈を理解するために歴史や文化、社会、政治、宗教、科学、技術、工学、言語、差別や抑圧、戦争…様々なことを知る必要が確かにありますが…そういう奥深さは音楽や映画にも実はありますし、私は勉強したことないけどアートを楽しんでたら少しずつ分かってきて「楽しい」と思えてます。

アートは楽しいですよ。

アートにハマるきっかけは突然に… | 心が震えた時が目覚め! :  【真珠の耳飾りの少女】

私は「アートを観ることが好き」です。仕事のために〜とか、美的センスを養うために〜とか、教養のために〜といった理由は無く単純にアートを観ることが好きです。

また、アートについて研究してるわけでも無く、作品を作ったりデザインしていたりと何かを創作してるわけでもなく、アートが好きという理由で美術理論の書籍や現代アート市場に関する本などを読みます。

全ては「アートを観るのは楽しいなぁ」という娯楽目的のためで何かしらの崇高や理由は一つもありません。

私はそれでいいと思っています。

そんな私が「アートって楽しい!」となったきっかけは大学2年生の頃です。単位が取りやすいという理由で美術に関するゼミを受講していました。

ゼミ初日に教授から「美術を好きになってもらいたい」と澁澤龍彦の本を貰ったが全くもって興味を示さず…。

教授の研究資料である企画展の図録もいくつか観させてもらったり、教授が好きな60年代から80年代に活動した日本の前衛芸術家の映像を観させてもらったが…全然理解できなかったのを今でも覚えています。

今思えば最初に現代アートから触れさせてくれたのは後にアートにハマる自分の原体験だったかもしれない…とは思うけど、それでも「もの派」とか「具体」とか美術に興味無い人に最初に触れさせる内容じゃないなぁ…と思います。

そんな私がアートにハマったのはその年の夏に開催されたある企画展で、何故だか分からないけど心が震える衝撃を受けたからになります。

2012年6月30日(土)~9月17日(月)に東京都美術館のグランドオープンを記念して開催された「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」でオランダの画家『ヨハネス・フェルメール』のシンボル的存在である【真珠の耳飾りの少女】が来日をしました。

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もちろん、当時の私は「フェルメール?」な状態でしたし「真珠の耳飾りの少女…興味無いなぁ…」と今なら考えられないような態度でした。

が、美術関係のゼミに所属してるし、講義でも西洋美術史を受けていたし、何と無く本物の絵画とか観てみたいなと思って足を運びました。

会場は…まぁまぁの人混み。

2018年10月5日 (金) 〜 2019年2月3日 (日)に上野の森美術館で開催されたフェルメール展の激混みからは想像できないほど快適でしたけどね。(それでも当時は「人いるなぁ…」と思ってました)

初めて絵画を観た時「おお!これが絵画!確かに綺麗だな!」と感動したのを覚えてます。「マジで400年も前なの?すげー」と思いながら先へ先へ進み…そしてその先で私は運命の女神と出会いました。

優しく微笑む彼女の姿を観た時、辺りの音は消え、視線は彼女の唇、頬、目…青いターバンを巻いた彼女の全体像へと移り、今まで感じたことのない美しさが私を捉えます。

足に根が生えたようにその場から動けず、まるで永遠にも感じる一瞬が私に訪れ…気づけば彼女に魅了されていました。初恋のように、一目惚れのように、私はあの一瞬で心を奪われてしまったのです。

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私はきっかけがフェルメールという有名な画家の超名作である【真珠の耳飾りの少女】を観た時に「なんて美しいんだ」と心を奪われたことでアートにハマり色んな作品を観たいと思いました。

未だにアート関係の友達はいないので常に1人で行き、特に感想を話すことなどは無いのですが…それでも楽しいです。

アートにハマったことで歴史や当時の技術や文化、宗教や哲学、色や構図などの技法、文学や自然と言った多くのことに興味を持てましたし、ルネサンス時期の絵画や18世紀の絵画と近代絵画や現代アートの違いについてや今のアート市場などにも興味を持てました。

でも、勉強はしておらず全て作品を最初に観て記念に図録を買いそれを読んで何と無く「そうなんだー」を5年積み重ねていたら段々理解してきたので専門書なども読めるようになった…感じです。

それは仕事やモノの考え方、創造力には活かされていない…ので私は胸を張って「アートは楽しい!」「作れなくてもアートが好き!」と豪語しています。

アートの背景を知ると楽しくなる : バンクシー 【Banksy Does New York】

私はアートに関して言えばかなりの雑食です。好きなの幅は広くて、古代ローマやエジプト…日本だと縄文土器とかそういう考古学的なものから古典美術、近代美術、現代アートと幅広く観てます。

最近は写真とか建築物やオブジェ、コンテンポラリーな舞台表現なども追いかけてます。

と言っても全てのアート作品に対して大好きというわけでではなく、あくまでアートそのものが好きなんですけどね。理解できないものが9割…といっても過言ではありません。

2013年か2014年辺りまでは古典的な西洋絵画は分かりやすくて好きでしたが抽象絵画は「お洒落だなぁ〜」という感想で、独断好きというわけではなかったですし近代以降のアートは理解できず…ギブアップ状態。

そんな中颯爽と私の前に現れてアートのイメージを変えてくれたのが…バンクシーです。

多くの場所で語られてるので、私は自身の受けた衝撃のみを語りますが…バンクシーの持つ社会風刺の強いストレートなメッセージ性と正体不明なアンノーンな神秘性。そして、バンクシーに踊らされる民衆達に二極化する批評家たちの言葉。

当時の印象派画家やマルセル・デュシャン、アンディ・ウォーホールと言ったアートの流れを変えた画家が起こした「スキャンダル」を実際に体験出来たことは嬉しかったのと同時に胸が躍りました。

また何よりもそのあまりにもロックでパンクな姿勢が私の心を揺さぶりました。正にダークヒーロー。アートテロリストは私の心を奪ったのです。

そこからメッセージ性や文脈を重要視する現代アートやストリートで生まれたイリーガルなストリートアートが好きになりました。

アートの持つメッセージ性を知ると一気に「楽しい」が増えていきます。

背景を知れば見え方が変わる。

これは楽しい体験なので是非やってみていただきたい。そう思ってます。

あまりにも衝撃的すぎる極彩美 : 伊藤若冲 【動植綵絵】

私が日本美術にハマったきっかけは間違いなく「伊藤若冲」であることは間違いないです。

超がつくほど綺麗で美しくて見惚れる日本画との出会いは2016年4月22日(金)~5月24日(火)に東京都美術館で開催された「生誕300年記念 若冲展」です。

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東京初となる「釈迦三尊図」と「動植綵絵」全30幅の同時公開という記念すべき企画展で、会場は大混雑の極み…

「釈迦三尊図」と「動植綵絵」全30幅が展示されていた空間は今でも忘れられないほど神秘的で美しい場で、全てしっかりと細部まで観れたのは奇跡と言うほど上手く回れたのはちゃっとした自慢です。

若冲の絵は観る人の心をワクワクさせる躍動感と極彩色の美しさがあり、日本画にのめり込むきっかけとしては刺激が強かったなと今なら思います。

私は和太鼓をやってたこともあり日本美術には興味があったので直ぐハマれましたが、今でも詳しくはありません。

それでも日本美術の展示会には行ける限り足を運びますし、少しずつ仏教美術の良さも分かってきました。また、何度も観てると書道も少しずつ背景を理解していくので良さが分かってきます。

早めに勉強してればもっと早い段階で楽しめたかもしれませんが、私はゆっくりと本物を見ながら少しづつ分かっていく楽しみ方の方が長く続くな…と思ってます。

事前に知識を勉強するのも良いけど、何も知らない状態で観てから学ぶのも悪くないですよ。

知らないからこそ観る!それが楽しいアート体験

私は知らないアーティストの企画展や見たことのない国の企画展、その時知らなかったアーティストの個展など「一度も観たことも聞いたこともないアート」ほど足を運びます。

予習はほとんどしません。

それでも十分楽しめますし、観てから背景を知るので理解しやすいと思ってます。

知らないものだからこそ観たい!

旅をするような高揚感と未知との遭遇による刺激を与えてくれます。このワクワク感が楽しいですし、自分はまだまだ知らないことだらけだなぁ…と思えてアートの深さを知ることもできます。

最近はアートに関する書籍を読むことも増えたにも関わらず企画展ベースでアーティストや有名な作品の存在を知ったりします。

全然恥ずかしくないですし、むしろ「お!なにそれ!」と気になって気になって仕方ない気持ちになるので楽しいです。

アートは広く深い底も天井も壁も見えない世界なので知らないことだらけなのが当然!

だから知らなくても堂々としてても良いのです。むしろ無知だからこそ楽しい。

私はそんな風にアートを楽しんでいます。

まとめ : 先ずはアートに触れてみよう!

アートに触れてみる。

これが全てだと思います。

先ず本物を観て「なるほど、分からん」と素直に思う。そしてどこかで「何でか分からないけど動けないぞ」…そんなアートに出会えたら思いっきり飛び込んでみること!

観る専門でも良いし、作ってみても良いし、調べても良いです。とにかく飛び込む。

そしたらアートが楽しくて仕方なくなってると思います。

音楽を聴くようにアートを観る。

そんな楽しみ方でも良いのです。

気軽に楽しくアートを楽しみましょう!

良いアートライフをお過ごしください。


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