見出し画像

〈自由詩〉天国と地獄


 いつもみたいに
 寝て起きただけなのに

 世界が真逆にひっくり返る

 ふわふわ浮いていた夜が
 朝にはずしんと落ちるのです

 気のいい仲間と話したことも
 乗った電車も歩いた道も
 夢と区別がつかないのです

 いつもより遠慮がなくなるせいで
 何をしたかもあいまいなのに
 勝手に申し訳なくなるのです

 鳴り響く頭と気分の悪さが
 昨日の迂闊さを物語るのです

 一つ自分を救うものは
 温かいおだしが沁みることでしょうか

 こんなのはもうこりごり
 せめてほどほどに

 生きる中で一番あてにならない決意を
 今日もまたするのです



この記事が参加している募集

自由律俳句

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?