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『シン・仮面ライダー』とカメラの話

ストーリーのネタバレはありませんが(おそらく)、これから観ようと思っている方は避けていただいたほうが良いかと思います。

目線としてのカメラ

写真と映画(動画)は違うという前提を元にした話。今日6月4日まで劇場公開されている『シン・仮面ライダー』を見に行った。庵野監督といえば『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズかと思うが、そちらはアラサーになった今でもちゃんと見たことがない。一方で、“シン”が付く最近の実写映画については今のところすべて映画館で観ている。映画のストーリーや批評などは専門家にお任せするとして、『シン・ゴジラ』を見た時は「色んなカメラを使ってるなぁ」という感想を持った。通常?のシネマカメラは当然のこと、スマホやアクションカムのような映像(画角)が含まれている。それによって、臨場感・緊迫感が出ているのだと感じた。

物語としてのリアリティ

今回の『シン・仮面ライダー』でも、様々なカメラやレンズが使われているように見えた。アニメーションは1コマごとに画角やフォーカスしたい部分を自在に変えられるのかなと素人アラサー会社員は妄想する。故に、実写でそれを再現するには多様なカメラが必要なのかもしれない。加えて、映像の“暗さ”に驚いた。序盤に木造のセーフハウスでのシーンが出てくる。その屋根が実にボロボロで、隙間から太陽光が入って来ている感じ。映像では、むしろその光を強調するように、室内で会話している主人公たちの顔は薄暗い。もし人物をメインの被写体として撮影するならば、写真的には「標準露出ではない状態」とあえて表現出来そうだ。

実際の意図は分かりかねるが、私自身はその光と影のコントラストがとても綺麗で斬新だなと思った。こうした、撮影者が「これぐらいの明るさで撮る」と思う露出のことを“適正露出”というらしい。デジタルカメラの写真だと、あえて暗めに撮る方も多いと推察する。私もスナップ写真では表示される露出レベルをたまに無視してしまう。ここにも明確な正解はないと思うので、結局はどういう写真(映像)が撮りたいかという撮影者の考え次第になる。したがって、この映画での暗さというのは庵野監督が考える“特撮におけるリアリティ”なのかなと私的に解釈した。そんなことを観ながら感じつつ、アラサー会社員は劇場で手に汗を握ったのだった。

これまで

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