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渋谷でソール・ライターを見る

先日、渋谷ヒカリエで行われている『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』を見に行った。会場はある特定の年齢層が多いというわけでもなく、幅広い人々で賑わっている。ただ、多くの人がカメラをぶら下げて来ていたのは微笑ましかった。一般的な絵画展などでは見られない光景だ。そんな私ことアラサー会社員もライカQ2を携えて向かった。


視点

ソール・ライター(1923年〜2013年)は、ニューヨークで活動していた写真家である。私自身はまったく彼について詳しくはない。始めて知ったのは『永遠のソール・ライター』という写真集が発売された2020年頃だと思う。若い頃は商業写真なども撮影していたが50代で表舞台から引退。そして、2006年に80代にして初の写真集を発売した。そこから再び注目されることになり、日本でもこれまで数回の展示が行われている。

自分の中では“カラー写真の人”というイメージだったが、本展では初期作品のモノクロ写真も展示されている。それを見るに、カラーがどうこうの前に“視点”が素晴らしいのだと実感した。最も好きだったのは『歩道(Sidewalk)』という作品で、写っている人物たちの表情は見れない(影になっている)。それでも、この時代のニューヨークの生活が納められていて、今にも動き出しそうなエネルギッシュさを感じた。見えない色がある。

写真

モノクロ作品には同じく著名な写真家であるアンリ・カルティエ=ブレッソンを撮影した1枚があったり、若きアンディ・ウォーホルの姿もあった。こうした作品も、近年の再評価がなければどこかで眠っていただけだったかもしれない。そう考えるとゾッとする。もとより写真家であったし、作品に独自の視点があったからこそ私の目の前にあるのだと思う。いずれにしても、撮らなければ写真はどこにも残らない。フィルムでもデジタルでも。

本展は作品の写真撮影が可能だ。作品のみを撮るのではなく、せっかくなので初期ソール・ライター気分で私もスナップをしてみた。まったくそのような感じにはなっていないが、そこはご容赦いただきたい。会期は8月23日までとのことで、あと1回は見に行きたいと思っている。同時開催している写真家・平間至さんの展示も素晴らしいので、ぜひとも見ていただきたい。「写真とは?」ということへの答えが少し分かったような気がした。

「ポートレート群」
「ファッション誌の時代」
「アパートメント」
「残されたもの」
「記憶、または記録」

これまで

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