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山村のコミュニティと水環境

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2022年度の2年生ゼミでは山梨県早川町におけるコミュニティと水環境をテーマとして調査プロジェクトを実施します。このマガジンにはゼミ活動を通じて学生が書いた記事を掲載します。
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記事一覧

山村コミュニティの距離感の近さについて

1.はじめに  何度か早川町にフィールドワークに行った中で、私は山村コミュニティでの人と人の距離感の近さに驚かされた。都市部では近年人のつながりが失われてきている一方で、山村コミュニティでは住民同士の交流が深いのはなぜなのか。このレポートでは今まで早川町で実施してきたインタビュー結果をもとに、早川町の住民同士の関わり方について考える。 2.調査方法  早川町で実施したインタビューを元にする。 雨畑地区(29 世帯)でのインタビュー 黒桂集落(16世帯)でのインタビュ

早川町内の3集落の行事との向き合い方

1. はじめに  山梨県早川町は人口が少ない町であり、町内には数世帯ごとで構成される集落がある。今回は、黒桂集落、雨畑地区本村集落、千須和区柿島集落にお住まいの方へのインタビューで伺った現状や事実をもとにそういった人口減少が進む集落はどのように行事と向き合っているのかについて考察する。 2. 黒桂集落 2-1.集落と行事について  黒桂集落は16世帯人口36人の集落である。集落内には町営住宅があるため移住者が多く住んでおり、子どもの人数もほかの集落より多い。   黒桂集

早川町の移住政策と移住者とのかかわり

1. はじめに 山梨県早川町は人口が 1000 人をきるという現状であり、人口減少の著しい町となっている。そのような問題を抱える早川町について興味関心を持ち、早川町内で生活を送る方々にインタビュー調査を行った。そこで状況改善の一助となるような移住政策が早川町に存在していることを知った。本レポートでは早川町の移住政策についての事前調査やインタビュー調査から得た気づきや、そこから考察した早川町の移住政策と移住者の関わりについて記述していく。 2.早川町の移住政策 早川町について

早川町の地域運営の今とこれから

1.はじめに 早川町は山梨県の最南西の国中地方にある町で、「日本一人口の少ない町」として知られている。この町は、面積が広大であるためにいくつかの集落を形成し、それぞれに地域を運営しながら生活している。本レポートでは、現在の早川町における集落ごとの地域の運営方法がどのようなものであるかを地域住民への聞き取りをもとに比較・記述し、今後どのように変わっていくのかを考察することを目的とする。 2. 現在の早川町における地域運営方法2-1. 奈良田集落  奈良田集落は10世帯22人

早川町内の集落において移住者が果たす役割

1. はじめに 山梨県早川町は日本で一番人口が少ない町であり、そのような情況のなかで多くの移住者を迎え入れ、移住者の方々は多方面で活躍をされている。本レポートでは、フィールドワークでの聞き取りをもとに、早川町内の集落において移住者が果たしている役割を考察することを目的とする。 2. 早川町内の移住者の事例紹介 まず、フィールドワークでの聞き取りから分かった早川町内の集落における移住者の事例を紹介していきたい。 2-1. 山村留学制度を利用して移住してきた方の事例  早川

雨畑地域のダム問題~ダムによる水害について~

はじめに  2022年9月2日に雨畑地域の望月さんにお話を伺った。主に地域コミュニティや集落の水環境のことでインタビューを行ったが、その中でも雨畑ダムが集落を危険にさらしているお話に関心を持った。この記事では雨畑ダムに対する住民の今までの活動についてまとめていく。 ダムの問題点について  まずは望月さんたちが住む雨畑地域のダム問題について整理する。雨畑地域ではダムの堆砂率(総貯水容量に対する堆砂量の割合)が問題になっている。この堆砂率が雨畑ダムでは120%台(※望月さん

早川町における水管理

1.はじめに  この note 記事では、雨畑地域にお住いの望月三千生さんにインタビューをした中から、早川町及び雨畑地域の水管理について知ったことをまとめていく。 2.水源管理  早川町は、川や滝などに恵まれている、自然豊かな町である。そんな早川町内の雨畑地域では、昔から水源の確保は町民が自ら行っている。昔は見神の滝の上を水源としており、水道組合の人を中心に水槽を作るなどしていたが、滝の上だと荒れたり、すぐ壊れたりしてしまい、直すのにも一苦労という状態だったそうだ。その

雨畑地区本村集落における移住者との関わり

1. はじめに 9月2日に3回目となるフィールドワークを行った。今回のフィールドワークでは、早川町の雨畑地区にある本村集落にお住まいの望月三千生さんに聞き取りをさせていただいた。今年度の2年生ゼミでは、「コミュニティ」と「水環境」に関心を持って活動をしているが、それらについて望月さんから詳しいお話を聞くことができた。本記事では、お話のなかで私が興味を持った雨畑地区の本村集落における移住者との関わりについて紹介していきたい。 2. 雨畑地区本村集落における移住者との関わり○ 

富士川でラフティングを体験して

1.はじめに  2022年度地域実践演習箕浦ゼミで3回目となる早川町でのフィールドワークを9月に行った。これまでの活動で早川町付近には早川や富士川などの水源豊かな地域資源が多く存在していることを知った。今回はゼミのフィールドワークの一環として、早川町を拠点として早川や富士川で自然体験のガイドツアーを実施している本流堂さんにお世話になり、今回は箕浦先生と学生二名でラフティングを体験した。  本記事ではラフティングツアーの様子や体験して感じたことを書いていこうと思う。 2.

実際に早川町を訪れて感じたこと

1. はじめに  私たち箕浦ゼミでは、6月と7月に早川町でフィールドワークを行った。フィールドワークを行う前には、事前に早川町について調べた。私は山梨県出身であるが、フィールドワークで訪れるまでは早川町に行ったことはなく、早川町に関する知識もあまりなかった。しかし、ゼミでの活動を通して、早川町について学んでいくうちに、コミュニティに関心を持つようになった。ここでは、早川町の様子と奈良田集落のコミュニティに焦点を当てて、実際に訪れてみて感じたことについてまとめていきたい。

フィールドワークで感じた山村の空気感

はじめに  前期に2回早川町でフィールドワークを行った。ゼミが始まったばかりのころは、早川町は研究室で調べるだけの存在だったが、実際に現場に出て活動していく中で、かなり身近なフィールドになってきたと感じる。自分がどんな分野に興味があるのかなども前期の間で定まってきたので、このタイミングで私が早川町で感じてきたことをまとめる。 人という資源  この2回のフィールドワークでは早川町で活躍されている方々にお話を伺った。皆さんの活動分野は様々で、硯作りの修行や焼き畑農業を復活さ

初めて早川町を訪れて -観光としての早川町‐

 この note では、早川に初めて行った感想と、私からの視点で観光に関する早川に対して思ったことを書いていきます。  私は、この地域実践演習の授業を受けるまで、早川町がどこにあってどんな町なのかさえ知りませんでした。授業で早川についての以前の note 記事を読んだり、行ってみたい場所を探したりしていくうちに少しずつ「こういう場所なのかな」というイメージはできていましたが、やはり実際行ってみないとわからなかったことが多くありました。  まず早川に行って思ったことは、「自然が

早川町を訪れての所感 ~コミュニティの観点から見て~

1.はじめに  2022年度地域実践演習箕浦ゼミでは前期の6月と7月の2回早川町を訪れた。私たちゼミ生の皆は早川町を訪れたのは初めてであり、事前学習を行ったうえでの訪問であったが、事前知識だけでは得られることのない早川町について感じることが多々あった。1回目のフィールドワークの後に私たちのテーマは早川町の「水環境」と「コミュニティ」に決定したが、今回のエッセイでは「コミュニティ」の視点から実際に早川町を訪れた所感について書いていこうと思う。 2.早川町を訪れての所感  

早川町へのフィールドワークを通して

 私達は、山梨県立大学のゼミ活動の中で2022年6月5日と7月9日の2回、早川町にフィールドワークで訪れました。早川町は、山梨県の西部に位置する南アルプスの山間の町で「日本で一番人口の少ない町」として知られています。2022年7月18日現在の人口は、932人です。私達ゼミのメンバーは、今回全員が初めて早川町に訪れました。早川町には、山梨県立大学がある甲府から1時間半ほどで到着します。早川町は山間にあるため、通行車両は甲府などの市街地に比べ、少なかったです。また、道は狭く、勾配