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四流色夜空
2021年10月30日 21:14
『エモーショナルきりん大全』(上篠 翔、書肆侃侃房 、2021)フリッツ・ラングを引くまでもなく、ましてや西田幾多郎を引くまでもなく、あまつさえヘラクレイトスを引くまでもないし、もちろんパスカル・キニャールを引くまでもない。別にだれの言葉も引用も必要がない。なぜならここには彼の文字があるのだから。上篠翔の文章がある。だからそれについて語ろう。それ以外のすべては必要ない。少なくとも今は。なん
2021年10月10日 02:35
舞城王太郎の作品を読むのは、「スクールアタックシンドローム』以来、約一年ぶりだった。定期的に摂りたくなる癖の強い料理のような、そんな魅力を舞城作品は持っている。獅見朋成雄(しみともなるお)という高校生が主人公なのだが、彼は背中に先祖由来の獣のタテガミを生やしていて、それをコンプレックスにしている。舞城の魅力の最たるものはその文体にある。(本作では、それはもちろん音の描出として表現される。)舞台