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この気持ちを、どこに吐き出したらいい

それは、ふいに訪れる。部屋の電気を消して、布団をかぶってまぶたを閉じても眠れない。枕元のスマホを手探りで取り出しインスタを開く。

SNSを見始めたら余計に眠れなくなることはわかっているのに、指を止められない。意味もなく友達のきらきらした投稿を見る。いかにも”充実してます”って感じだ。その子みたいになりたいわけじゃないのに、自分と比べてしまう。自分はどこで間違えたのだろうって。

他人のきらきらした投稿に素直に”いいね”をつけることができない。羨ましいのか、妬んでいるのか、自分の気持ちもわからない。自分から他人の投稿を見に行っているのに、面倒な性格だ。

インスタに載せられている写真はその人の生活のほんの一部で。きらきらした部分だけを切り取っているわけで。良い面しか見せていないってわかっているのに、自分だけが違う気がしてしまう。自分だけが孤独に悩んで、自分を嫌って、眠れない夜を過ごしている気がしてしまう。とんだ勘違い自意識過剰女だ。

人と話すことは疲れる。それがどんなに親しい間柄で、心から好きな人だとしても、無意識に相手を気遣って平穏な時間を保てるように考えている。誰かと一緒にいたいのに、ひとりの時間も欲しいと思ってしまう。わがままだろうか。

眠れない夜に、インスタを見て自己嫌悪に陥るぐらいなら誰かとおしゃべりして気を紛らわせていたい。こんなつまらない気持ちを気軽に話せる人が自分にはいるのだろうか。夜中にいきなり電話して、「声が聞きたかっただけ。」と言ってたわいもない話をしたい。でもそんな自分を受け入れてもらえる自信がなくて、今日も電話を掛けられない。

別に日常生活に困っているわけじゃない。死にたいと思うほど追い詰められたこともない。大学に通って、それなりに友達ができて、それなりにやりたいことをやって、それなりに暮らしている。不満はないけど満足もしていない。でも現状を変えようとする努力もしていない。怠惰な人間。

人と違うところが気になってしまう。ありのままの自分を認めてほしいのに、自分をさらけ出すのが怖くて個性を消している。無難な服装、無難な行動、無難な考え、無難な意見。自分が誰なのかわからなくなってしまいそうだ。

怠惰で弱くてちっぽけな自分も受け入れようと決めたのに、まだ私は私が嫌いなままだ。眠れない夜はもっと嫌いになる。こんな私を誰かに見つけてほしい気持ちを押し殺して、今日も遠い朝を待つ。

#眠れない夜に

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